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2014年8月26日 (火)

ももたろう【OKAYAMA'S】140825

2014年08月25日 fouet゜ (55分)

何やら、不思議な作品です。
いつの間にやらたどり着いた、鬼たちがはびこる鬼が島で時を過ごしていた人が、自分のこれまでのルーツと向き合って、その島から旅立つまでを描いたような感じでしょうか。

遺跡発掘のバイトをする女性二人。
ここは、鬼が島。二人は名も無き妖怪。一応、治外法権区域であるが、たまに鬼が襲ってくる。
自分たちの故郷、ルーツは分からない。気付けばここにいた。
たまに大阪に出て、妖怪だから500歳近いが、人間の妙齢ぐらいの女性としてちょっとした婚活をする。
スコップでずっと掘り返すものの、出てくるのはミミズ、猫の骨、剣山・・・
二人は心理テストをしたり、おばあちゃんとの思い出を語ったり、怖い話をしたり、毒蜘蛛に噛まれて踊って治したり、寿命の話をしながら仕事に励む。
やがて、土器らしき物が見つかる。責任者に見せに行くが、責任者は鬼に襲われ、バラバラになっていた。

犬とキジは鬼が島へ向かう。
桃太郎と猿はいない。多分、彼らは来ない。
キジは脅えて、逃げ出したい様子。でも、犬は忠実に桃太郎との約束を守ろうと船を鬼が島へと進める。
キビ団子をもらったから。弟も死に不遇な環境で生きていた自分に声を掛けてくれたから。たとえ、桃太郎が単に鬼が島へ向かうために仲間が欲しくて、それが誰であろうと構わなかったとしても。

婚期を逃しつつある妙齢の少々、変わった女性二人。
いつまでも、お花畑で遊ぶ少女でいたいような感じ。
恋愛のパワースポットと噂される鬼が島へやって来る。
キビ団子作り体験に参加。
鬼が島の観光を存分に楽しむ。

バイトの女性二人は、責任者を襲ったのであろう鬼と出会う。
絶体絶命。スコップで応戦し、船で鬼が島を逃げ出す。
船には猿が乗っている。
牛や馬や羊や虎が海に流されている。
そして、大きな桃も。
犬とキジもその風景を見ている。
桃は鬼が島へと向かっている。

・・・みたいな話だったと思います。
バイトの女性、犬とキジ、婚期を逃した女性の話のシーンを切り替えながら、途中、何かよく分からない女性のあばら家にいた鬼のイレズミをした男の思い出話などを交えながら話は展開。
なるほど、なるほど、これが最後に収束するのだろうなんて、分かったつもりで観ていましたが、結局、私の中では全部バラバラに終わってしまいました。
ヘンテコなお話です。

牛やらとかは、牛・馬・羊・猿・虎と旅をして、どれを順番に捨てるかみたいな有名な心理テストからきています。
順に食、仕事、恋人、子供、プライドと相関しているらしいです。

感覚として残るのは、女性の人生みたいなものでしょうか。
漠然と鬼への恐怖を感じていた幼少期の回想、そんな鬼のことなどすっかり忘れて、今の時間を楽しむ婚期を逃した女性たち。猿という子供、桃という女性の象徴を置き去りにして、鬼が島へ向かう犬とキジ。酸いも甘いも知り、鬼たちと表面的な共存状態で、仕事をしながら不毛な時間を過ごす遺跡発掘の妖怪たち。
鬼を倒して逃れ、また新たな人生へと旅立つ妖怪たち。手には猿を抱える。母性の本能的な復活みたいな感じかな。海に漂うかつて、自分たちが捨てたもの。桃も含めて、それは自分たちがいた島に流れ着こうとしている。繋がりの妙を感じ取った時に、この島から女性たちは旅立つ。

鬼も含めて、この島にやって来るのは、異形の者。世間から追いやられたり、排斥された人たちのような感じかな。
そんなところに、自ら、入り込んでしまう時があるのだろうか。その時のどうにもならない環境や悲しみ、苦しみから逃れるために。そんな気持ちが全て解消された時に、そこから飛び出して歩み出せる。
あのあばら家で世間の目を逃れるように生きていた男。そんな姿が鬼に見え、食、仕事、恋人、子供、プライドなんかに悩む者たちが、苦しみから逃れるためにそれらを捨てて、そんな鬼たちの棲家に吸い寄せられる。そこで知る、自分たちのルーツ。おばあちゃんに大切にされていた頃の思い出。恩やら大義やらに惑わされることなく、キビ団子をおいしく食べていたあの頃。
島に再び流れ着くかつて失ったもの。自分の心の中に戻ってくるような感覚か。
そして、自分の本当の大切なことと対峙し、新たな人生の旅へと向かう。
鬼は世間的な常識から排他されてしまう者を苦しめるような物。そんな物がいっぱいはびこってしまう心が鬼が島。鬼は退治できない。そんな島にたどり着いてしまった自分を見詰め直して、新しい島へと向かうのが人生。その時には、自分の残さないといけない大切な物もきっと分かっている。
思い返して、こんなことを考えてみた。
よくは分からないが、童話風に語り継がれる話に、そのまま溶け込んでしまうような不思議な作品でした。

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