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2014年8月

2014年8月31日 (日)

Hello! WELCOME TO HAPPY Arboretum (and zoo)【劇団冷凍うさぎ】140830

2014年08月30日 Cafe Slow Osaka (130分)

練りに練られたような脚本でびっくりしました。
非常に話の構成がよく出来ているなあということと、不可解な人間の心理を露骨に浮き上がらせる奇抜なキャラを見事に演じられる役者さん方の魅力に感心。
いわゆる秀作と評される作品に仕上がっているように思います。

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酔筆奇術偏狂記【劇団レトルト内閣】140830

2014年08月30日 HEP HALL (110分)

明治から昭和。
日本の激動期に生まれた大衆娯楽文化の奇術に焦点を当てて、その発展へと寄与した人の姿を創り手側、受け手側の視点から見詰めたような作品。
後の世に、この楽しい娯楽を繋いでいきたいという想いが、昔ながらの大衆のお家やプロの一門の継承なんかも交えて描かれており、文化を守る、そして未来に繋げていくことへの全ての者たちの願いが込められたような話でした。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

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いつのまにか、ちがう野原を歩いてる【JUIMARC】140830

2014年08月30日 OZC GALLERY (65分)

同期の女性お二人の会話劇。
自分が歩んできた道、これから進もうと決めた道。
正解、不正解なんかは分からない。人が決めることではないし。
夢や期待ももちろんあるけど、それ以上に不安も大きい。そんな不安を、かつて手を取り合っていた者の自分への温かい想いを感じることで、不安の中にほんの少しの、でもかけがえのない勇気と自信を抱いて、前へ進もうとするまでの素敵な時間を描いたような作品。

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2014年8月29日 (金)

覇道ナクシテ、泰平ヲミル 蝕王曹操編【劇団ZTON】140829

2014年08月29日 インディペンデントシアター2nd (95分)

まあ、残念。
この作品、この編と、もう一つ、偽王劉備編があるのですが、こちらを観れないので・・・
こんなこと書くと、叱られるでしょうが、両方観れないなら、いっそどっちも観ない方が、気が楽だったかもしれません。
気になって仕方がないです。

曹操に焦点を当てて、黄巾の乱から、漢王朝復興のあたりまでを描いたような話。
泰平の世を得るために、自らの運命と対峙する覚悟ある者たちの行動を綴ったような感じです。そして、そんな者たちの一人一人の想いが歴史を作り出しているといったことが分かるような作品でした。

この劇団の本公演を拝見するのは初めて。これまで、1500本以上観てきたのに、なぜか縁がありませんでした。
エンタメストライクと名打っての公演。エンタメ力の凄さは、これまでに色々な人から聞いていたので、かなり期待していました。
ただ、初めの20分ぐらいは、どうもバタバタしているなといった印象が強かったです。動きの止めが緩くて、なんか常に流れているみたいな感覚がどうもしっくりこなくて。それと、何だこの人の動きと驚愕するような人と、まあ普通みたいな人がいるのは当たり前だとしても、その融和が無くて、要は一体感が無いという感覚が大きかったです。エンタメ力、それほどでも無しという、言葉をこのブログに書かないといけないかなあなんて思いながら観ていたのですが、何か最後は惹きこまれていましたね。高品質だからこそ、少し観るのに慣れがいるのか、時間の経過と共に舞台でも役者さん方がノッてきたのか。そのあたりは、分かりませんが、かなり見ごたえがある舞台になっていることは間違いありません。
それよりも、感じたのは、話の分かりやすさでしょうか。登場人物も多いし、その相関もそれなりに複雑だし、歴史的な知識もいるしで、不安がありましたが、これはすんなりと溶け込んでしまえるようになっており、物語自体を楽しむということが出来たように思います。

<以下、ネタバレにご注意願います。有名な歴史ですし、許容範囲と判断して白字にはしていません。公演は日曜日まで。月曜日までやってくれていたら、もう一つ観れたのに・・・>

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2014年8月26日 (火)

ももたろう【OKAYAMA'S】140825

2014年08月25日 fouet゜ (55分)

何やら、不思議な作品です。
いつの間にやらたどり着いた、鬼たちがはびこる鬼が島で時を過ごしていた人が、自分のこれまでのルーツと向き合って、その島から旅立つまでを描いたような感じでしょうか。

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2014年8月23日 (土)

女子芸人【DOORプロデュース】140823

2014年08月23日 インディペンデントシアター1st (125分)

作品自体が漫談のように、ボケとツッコミが満載。シャレタ言葉を交えながらの、まさに芸を楽しむような話でした。
女性であり、芸人でもある苦悩や葛藤、降りかかる試練をリアルに描きながら、それを乗り越え、覚悟を決める女性の凛とした美しい姿が映し出されます。
女子芸人の魅力はもちろんですが、師匠陣の味のある演技もなかなか楽しい。
爽やかな、生き続ける誇りと希望を感じるような素敵な作品でした。

<以下、あらすじがネタバレしますが、原作があるので、白字にはしていませんのでご注意願います。公演は日曜日まで>

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HI↗GH SCHOOL 関ヶ原【劇団みゅーじかる.321♪】140822

2014年08月22日 芸術創造館 (120分)

ミュージカル、芝居、歌、踊り、殺陣、・・・
詰め込みましたねえ。それに各々応えることが出来る多彩なご出演陣。
コメディーベースに見事なエンタメ作品が出来上がっていました。
そして、笑い一辺倒ではなく、そこに込められた想いのこもったメッセージを時折浮き上がらせながらの、緊張と緩和の妙を活かした作品になっていました。
最初はただただ楽しく笑いながら観ていたのに、いつの間にかそれを持続させながらも、なぜか、真剣にじっくりと話に魅入るという不思議な観劇になりました。

<以下、ネタバレにご注意願います。許容範囲と判断して白字にはしていません。公演は日曜日まで>

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2014年8月22日 (金)

a PLAY【DummyFlag presents】140822

2014年08月22日 TORII HALL (25分+40分+25分、休憩5分×2)

A~Dの4作品のオムニバス公演。
この日はA、C、Dを観劇。
ベテランと若手の役者さん方の組み合わせ、かつ作品自体も、あの有名な劇作家の岸田國士さんと、若手の作家の方が揃う。
岸田國士さんの深みのある心理戦を楽しむ悲喜劇、人の生き方を美しい世界観で問う話、はちゃめちゃな設定でご出演の役者さんの隠れた魅力を楽しむ作品と多彩。
なかなか、盛りだくさんで魅力溢れる公演となっています。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで、Dは全て、A~Cは二つ組み合わせといった形で行われます>

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山犬【OFFICE SHIKA PRODUCE】140821

2014年08月21日 ABCホール (115分)

気分悪い。
演劇作品でも、本当にこんなにホラーチックな作品が創られるんだなあ。テレビや映画だけの世界かと思ってた。
じわじわ鈍く恐怖がなんて作品は観たことがあるが、これは、もちろんそれもあるけど、本当に率直に怖さが伝わるところも同居している。
そして、最大の魅力は、観終えて怖いだけにとどまらず、そこにあった歪んでいようと狂気であろうと、生ある者が持つ深い愛情に悲しみと切なさ、そしてそこに生きるということの覚悟があるのだといった感覚も得られるところのように思います。

<以下、あらすじを書いたのでネタバレします。筋道立っていないので、分からないとは思いますが、ご注意願います。もう既に東京で長期間に渡って公演があったので、白字にはしていません。大阪は日曜日まで>

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2014年8月21日 (木)

スイス金鉱 #4【スイス銀行】140821

2014年08月21日 十三 BlackBoxx (70分)

久しぶりのスイス金鉱だったんだな。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/121212-b95b.html

今回は、他劇団との協同では無く、基本的にスイス銀行のお二人の女優さんに、個性的な客演の役者さんが絡む作品11本。
ツボを突くというか、色々な笑いをくすぐる良作が揃う。
さすがだなといったところか。

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2014年8月20日 (水)

サンタめん【札幌ハムプロジェクト】140819

2014年08月19日 KAIKA (60分)

2011年に拝見した劇団。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/111101-d206.html

そうかあ。まだ、ずっと日本縦断ツアーをされてたんだあ。しかも、規模を拡大して。

色々なことがあるから、自分の思うようにはなかなか生きられない。理想と現実みたいに。特に幼き頃は、自分の世界もまだ狭いから、ふりかかってくる色々なことにただ耐えることしか出来ない。
そんな中で、人は出会えた大切な人と共に過ごした時間を心に刻んで成長していくのだろう。
もう、どこにいるかも分からないから、会うことはないかもしれない、そんな同じ時を過ごした人たちは、今どうしているのかな。一緒に過ごした時間だけは、なぜか心の中に淡く残っている。頑張っていて欲しいな。自分もそれなりには頑張っているから。
そんな想いが浮かんでくるような、ちょっぴりセンチメンタルな気分になる話でした。
見世物小屋の設定を活かして、楽しい催しを盛り込みながら、ある夏の一時の少年の心を力強く描いた素敵な作品です。

<以下、あらすじがネタバレしますので、ご注意願います。公演期間が長いので、白字にはしていません。公演は、この後も西日本、九州と南下されながら続きます。北海道に戻られてからも、各地で公演されるみたいです>

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2014年8月18日 (月)

少女探偵あやか【アマゾンの大王魚ピラルク】140818

2014年08月18日 インディペンデントシアター1st (110分)

まあ、可愛らしくて、楽しい作品。
自然に笑顔になれる。
どこをツッコめばいいのか、もうとんでもない設定の中で、面白キャラたちが舞台を盛り上げまくる。
遊びの楽しい時間でした。

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空白の色はなにいろか?【鳥公園】140817

2014年08月17日 クリエイティブセンター大阪 (80分)

クリエイティブセンターなんて名前が付いているみたいだが、造船工場の跡地。
外の景色も含めて、この建物内を役者さんと一緒に廻っていく。案内役がいるわけでもなく、ただ自然に流れに任せて。
そんな中で、ある老夫婦と孫の姿を見ながら、色々なことを頭の中に巡らせるような作品。
重厚で張りつめた空気の中に、どこか空虚な世界を一緒になって彷徨っているような時間が心地いい。

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2014年8月17日 (日)

ふりしきる ~冬の山で聞いた話~【劇研「嘘つき」】140816

2014年08月16日 シアターカフェNyan (95分)

ちょっときつい作品ですね。
現実から目を背け、偽りの自分であり続けようと極寒の雪山で過ごす女性たち。
それは、怒りを覚えるところもあるし、痛ましく悲しいところも。
そんな、彼女たちに、救済を与えるのは、もはや神や仏でしか無いような感じの話。
でも、それでいいのでしょうか。失われた命の悲しみは、それで救われるのでしょうか。
どこに光を感じればいいのか分からず、ただただ、痛く冷たく悲しい気持ちになる嫌な感覚が残ります。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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2014年8月16日 (土)

としくんとリボルバー【劇団うんこなまず】140816

2014年08月16日 オーバルシアター (90分)

面白かったと書いていいのか分からないくらいに、訳が分かっていませんが、興味深い作品ではあります。
断片化された話をパズルのように組み合わせるみたいな作品は、これまでも拝見したことがありますが、この作品はちょっと様相が異なります。
作品名のように、断片というかは、リボルバーから一瞬で放たれる弾が話のようになっているみたいです。その銃弾が描いた銃弾跡が人生の一時みたいな感じ。
人生は撃った弾を戻すことが出来ないように、やり直しがききませんから、やり直すと言うなら、もう一度、弾を詰め直して、撃ってみるみたいなことを繰り返します。もちろん、その弾はかつてと同じものではありませんし、銃弾跡もまた異なるものとなる。そんなことの繰り返しが、人生なんだみたいな感じでしょうか。

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マナナン・マクリルの羅針盤【劇団ショウダウン】140816

2014年08月16日 船場サザンシアター (130分+休憩10分)

ご存知、劇団員である林遊眠さんの一人芝居シリーズ4作品目。
過去3作品の感想:http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/130518-b130.html

もう、どう感想を書けばいいのだろうか。
胸が熱くなる、心が痺れる、酔いしれる。自分で書くと、凄かったしか出てこないので、言葉を勝手に借りた。
各々、演劇プロデューサー、劇評家、劇団の主宰の方の感想から、自分の今の気持ちを忠実に表現している言葉を拾わせていただいた。
感激する作品。嬉しい。観ることが出来て、本当に嬉しい。

<以下、あらすじを書いたのでネタバレしています。林遊眠さんの魅力を感じる作品ではあるものの、物語自体も非常にワクワクして面白いので、まだ観ていない方は見ない方がいいかもしれません。本来は白字にするべきでしょうが、大阪は日曜日まで、東京で9/5~7に公演があり、期間が長いのでしていません。申し訳ありませんが、ご注意願います。そんなことより、これ観ないとあかんと思いますわ。東京の方は、ほとんど、この一人芝居シリーズを観られていないですよね。だったら、一度、味わってみてください。本当に最高ですから>

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2014年8月15日 (金)

はやぶさものがたり ~宙(そら)翔けた軌跡~【大阪府立 鳳高校演劇部・桃谷高校演劇部 合同プロデュース】140815

2014年08月15日 道頓堀 ZAZAHAUSE (90分)

2年前にHPFで拝見した作品。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/hpf120809-71f3.html
また、あの名作を観ることができるとはねえ。

初演も上記リンク先の感想のように、本当に感動したんだけど、あれから2年も経つので自分も色々と変わっているのかなあ。それとも、より完成度が高くなって、愛と熱に溢れる作品に仕上がっているからだろうか。
何か、心にジンジンとくるものがあって、何度も泣きそうになる。
太陽フレアとの対決を描く妖艶で美しいシーン、ミネルバとの悲しきお別れのシーン、夢と希望を託すハヤブサの覚悟ある地球への帰還シーン・・・
かつて拝見した時に覚えている数々の名シーンが全部泣けてくる。
心を震わせる素晴らしい作品。
そのことが、この作品に込められた創り手の真摯な想いを証明しているのであろう。

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2014年8月11日 (月)

わーく/ビッチ【谷町ナポリタン】140810

2014年08月10日 インディペンデントシアター1st (85分)

いまひとつ焦点がぼやけているような気はするが、なかなか面白い作品だった。
仕事における世代間ギャップが引き起こす関係の亀裂。
仕事が絡んでいるので、何かしらのマイナスの結果が導き出されて、その関係は終わりを迎える。
そんなこともあるだろうが、関係を作るまでに過ごした同じ時間を思い出して、もう一度、触れ合ってみたくなるような話だろうか。

<以下、あらすじがネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日まで>

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連作・MONOがたり:f The Flower 花を枯らさぬ、罪と罰【坂本企画】140810・040811

カフェ+ギャラリー can tutku
2014年08月10日 罪の咲く園 (95分)
2014年08月11日 罰の実る庭 (85分)

人が植物のように永遠の生を与えられたかのようになってしまう石化症が流行する時代。
その時代の中で、枯れない花という不老不死に魅せられた人たち、その周囲の人たちの話を描いた4作品。
どの作品も、生きるということはどういうことなのかということを様々な視点から投げかけているようです。
張りつめた空気の中で描写される美しいシーンを味わいながら、温もりを感じる人の優しき姿、生きるということの厳しい現実、感謝を感じられる作品群でした。

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2014年8月 9日 (土)

変身テトラポット【森林浴】140809

2014年08月09日 イロリムラ プチホール (65分)

非常にストレスが溜まる。
だって、舞台がほとんど見えないんだもの。
7列ある客席の6列目に座ったが、完全にデッドスペース。座り芝居は役者さんの姿すら見えない。立ち上がったら、いたんだとびっくりするくらいに。また、8割方、座り芝居なので、ほとんど声だけの観劇となる。
少し舞台後方で演じてくれるだけで、姿が見れるのになあと思うのだが。

まあ、これも一つの演出として割り切っているのかもしれない。
見て感じるのではなく、見えないものを自分で補って感じなさいといったような作品でもあるみたいだから。
見えない役者さん。どんな表情をして、どんな動きをして、今、聞いた言葉を発していたのだろう。
その言葉もまた、よく分からないものだから、どういう意味合いが込められているのだろう。
想像しなくてはいけないことが多過ぎだ。
おまけに、同調しやすいように役者さんと同じような環境にしてあげますとばかりに、途中で空調は切られる。
厳しい観劇だった。

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遠野物語 ~イッパイアンテナの怪談~【イッパイアンテナ】140808

2014年08月08日 元・立誠小学校 一階木工室 (60分)

不思議な感覚の作品。
話は遠野物語に出てくる怪談じみた民話を男と女中が柳田國男に語る形で進められる。
その語りは淡々と、そして当時の人たちの姿を描写するかのように3人の役者さんが話のシーンを演じられる。
柳田國男の視点で、そんな話を聞くことも出来るし、100年後に生きる人として、3人を客観的に見詰めることも出来るような設定になっているみたいだ。
語られる100年前の話は、当時の人たちの姿を映し出す。でも、同時に今の現代社会の人々の姿もその話からは浮き上がってくる。
薄れることなく語り継がれる話。そこに、真理が見えてくるのかもしれない。

<以下、語られた内容を記したのでネタバレしていますので、ご注意願います。公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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2014年8月 8日 (金)

gateリターンズ Aプログラム 140807

2014年08月07日 KAIKA (25分+30分+25分、トーク含めて90分)

IN SITU、劇団壱劇屋、したための三作品。
一言で感想を書いてしまえば、順に、暗い、おもろい、分からないでしょうかね。
それぞれの持ち味を活かした、じっくり味わえる作品が並びます。

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さまよひ魂【MOUSEPIECE-REE】140807

2014年08月07日 十三 Black Boxx (90分)

いつもながらの悪ふざけ、不条理展開で大笑い出来る作品。
ただ、ちょっとこれまでと違った感じがするのは、銀河鉄道の夜みたいな感じで、決別することで、自らの生きる道を再生するという切ない想いが話の中に滲み出ているようなところ。
このあたりの解釈が、笑いに覆われてしまい分かりにくい。
その答えを分かる必要は無いのかもしれない。大切なのは、想い合った現実を基に、人は未来に向けて生きていくこと、生きていって欲しいという祈りの精神を感じられるから。
巧妙な深い脚本に、おふざけたっぷりの面白い役者さん方の掛け合い。今回は、この劇団のお三方だけでなく、客演の名女優さんまでもがそれに絡む。
かなり贅沢な一品に仕上がっているように思う。

<以下、あらすじがネタバレしますが、大阪は月曜日まで、8/22から東京でも公演があり、公演期間が長いので白字にはしていませんので、ご注意願います>

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2014年8月 5日 (火)

お月様どうかお静かに【山本大樹プロデュース】140805

2014年08月05日 GROWLY (70分)

昨年に引き続き観劇。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/10130416-9d2e.html

これは傑作じゃないか。
古典文学作品と日本の昔話を融合させた見事な話。
たくさんの悲劇がある背景で、人が想う力の強さを、そのまま生きることの強さとして感じさせ、その未来が輝くことを祈るような優しい気持ちが浮き上がる。
ほぼ二人芝居と名打っているが、これは二人の見事な噛み合いから流れる展開を楽しみ、生み出される素敵な世界に魅了される作品だと思う。

<以下、あらすじがネタバレするので公演終了まで白字にします。公演は明日まで。3公演あるので、私ももう一度観に行ってもいいかなと思うぐらいの価値ある作品ですが、明日、食道のポリープを取る手術なんですよね。胃カメラ飲んでするだけの簡単な手術なんですが、この作品を拝見して全麻酔なのでちょっと不安になります。私にはこんな想いを抱いてくれている人はいないからなあ・・・、とこれはネタバレになるのでこれ以上は止めておきます>

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2014年8月 4日 (月)

五反田の夜【五反田団】140804

2014年08月04日 アトリエ劇研 (110分)

噂には聞いていましたが、衝撃的な劇団、作品でした。
まあ、役者さん方のキャラ作りや、掛け合いが見事。
震災後の社会やボランティアのあり方、果ては繰り返される支配する者と支配される者の関係など、笑いを連発させて描くことで、皮肉さを際立たせたような面白い作品だと思います。

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2014年8月 3日 (日)

うねる物語と、お前とおれとおれの剣【fukuiiiii企画】140803

2014年08月03日 人間座スタジオ (105分)

ここまでひどかったのは久しぶりでした。
いや、観劇環境がね。
いわゆる、隣の客のお喋りですわ。
偶然にもこの日の朝、観劇中のお喋りのマナーに関するツイートを見つけてRTしたりしていたのですが、まさか、その数時間後に自分に、その災難が降りかかってくるとはねえ。
まあ、ここはめちゃくちゃ面白いので、笑いと喋りの境界があいまいにはなりやすいんですけどね。
よくある、役者さんの客を笑わした言葉を、そのまま笑いながら一緒に喋ってしまったりするなんてことは、感情が盛り上がっているのだろうから仕方ないとは思いますが、いちいち、役者さんの行動を隣同士で会話されてもねえ。家でDVD見てるんじゃないんですから、会話をするということ自体がおかしいと私は思うのですが。
あまりにひどいと判断したので、「お喋りを控えてくれるかな」と注意した後も、何も変わらず。悪いと思っていないのでしょう。
注意するのだって嫌なんですよ。された方も、何やねん、楽しく観てるのにといったところでしょうし、自分自身も嫌な気持ちになって、その後の観劇はなんかテンションが落ちます。
さらには、そんな注意している人とされている人を見た周囲の人なども気分悪いでしょう。
注意した人たちには謝罪する気は毛頭ありませんが、気分を害されたかもしれない周囲の方々には申し訳なかったと思っています。注意した時点でまだ1時間も経っておらず、このまま残りの時間を耐えることは出来ないと思ったので仕方なくだったのです。
お昼の回、最前列真中に座っていました。多分、右後ろあたりの方がそれに該当するはずです。すいませんでした。

作品は相変わらずの飛んだ面白さです。
本当はもっともっと面白かったなあと思いながら帰路につけたはず。
今回は残念ながら、腹立ちの方が勝り、あんまり感想を書く気にもなれず・・・

<以下、あらすじがネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで>

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2014年8月 2日 (土)

使用人【南河内万歳一座】140801

2014年08月01日 一心寺シアター倶楽 (100分)

前回、拝見したあたりから、ようやく、この劇団の観劇にも慣れてきて、楽しめるようになりました。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-13.html
役者さんが言葉だけでなく、自身の肉体をも使って、絶妙なリズムで展開する独特さがありますからね。
最初の頃は、訳の分からない話なのに、何でみんな好きなのかなあなんて思っていましたが、今ならなるほどとうなづけます。
今回は、ちょっとミュージカル要素まで入り込んで、より楽しくなっていました。
劇団所属の面白い役者さん、多彩な客演の方々のキレキレの動きで迫力ある舞台を拝見できました。

<以下、あらすじがネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は火曜日まで>

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2014年8月 1日 (金)

HPF2014 総括

3年目の講評委員をさせていただきました、久保健太郎と申します。

ブログで感想を書くという形でお引き受けいたしましたので、以下に、拝見した作品の感想記事のアドレスと簡単なメッセージを記すことで、講評に代えさせていただきます。
(各校、A4で5枚くらいになってしまいますので、印刷の都合上、書面での提出を控えさせていただきました。お手数ですが、リンク先アドレスでのご確認をお願いすることをご容赦ください)

今年度は、仕事や他の観劇なども重なり、6本しか拝見できませんでした。
基本的に、既成脚本・オリジナル脚本問わず、作品の話がどう理解されたのか、作品にこめられた想いがどのように伝わったのか、登場人物たちの心情に向き合って創り上げられた役にどのように心を動かされたのかを中心に言及させていただいたつもりです。
私が理解した話のあらすじ、作品が伝えていると感じた内容、役者さん方が演じる個々の役に感じた魅力という形で感想を構成しています。
皆さんが、お仲間と共に懸命に創り上げた作品が、一人の観劇好きな中年男性の心にどのように届いたのかを確認していただき、そこから、やり遂げたことへの誇りや自信を得ると共に、まだ足りない何かも感じ取って、更なる演劇作品を創る上での技術向上に繋げていただけるなら、これ以上の喜びはありません。

高校生の皆さんは、今の世の中をどう感じているのでしょうかね。私には決していいとは思えない今を。
その一つに、何かをしてもどうせ・・・みたいな負の感情が渦巻いているところがあるように思っています。創り上げた何かを破壊されることを恐れるのではなく、もっとひどい、最初から創る気にもさせないような圧迫感です。戦う気にもさせないような。
その中で、こうして自由に懸命に自分たちの想いをこめて創り上げられた個々の作品は本当に素晴らしいものだと思うのです。
技術的な優劣うんぬんはもちろんありますが、こうして出来上がった作品一つ一つは皆さんのエネルギーの塊で、必ず人の心を動かせるものとなっています。これは観劇した全作品に共通して思っていることです。
この蓄積が世の中を変えてしまうのだろうなという力を感じます。実際に、そんな力が集まった各劇場は、普段、観劇に通う時の空気や風景とは間違いなく違っており、輝いて見えました。
今と向き合う。これからを仲間たちと共に見詰める。懸命に真摯に、そして感謝を忘れずに歩んでいく。当たり前のことに気付かされる時間。
わずか、2週間弱、舞台と客席の間ではありますが、皆さんの素敵な姿に触れ合えたことに深く感謝しています。

*8/2に開催される閉幕セレモニーで配布する資料として作成しています。

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