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2014年8月22日 (金)

a PLAY【DummyFlag presents】140822

2014年08月22日 TORII HALL (25分+40分+25分、休憩5分×2)

A~Dの4作品のオムニバス公演。
この日はA、C、Dを観劇。
ベテランと若手の役者さん方の組み合わせ、かつ作品自体も、あの有名な劇作家の岸田國士さんと、若手の作家の方が揃う。
岸田國士さんの深みのある心理戦を楽しむ悲喜劇、人の生き方を美しい世界観で問う話、はちゃめちゃな設定でご出演の役者さんの隠れた魅力を楽しむ作品と多彩。
なかなか、盛りだくさんで魅力溢れる公演となっています。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで、Dは全て、A~Cは二つ組み合わせといった形で行われます>

A:音の世界/岸田國士
京都に新婚旅行に来た夫婦。
年配の落ち着いた夫と若くちょっと巧妙そうな匂いのする妻で、雰囲気的に普通の恋愛で結婚に至ったようには見えない。夫は地位も金もあるような感じで、妻の打算的な結婚、夫もそれを良しとしているようだ。
2人が宿泊するホテルに、妻の元恋人から電話がかかってくる。男は、妻に結婚をしたことを恨んだりはしていない、自分もそれが一番いい選択肢だと納得しているようなことを言うが、未練が断ち切れない様子が歴然としている。妻は、夫の視線を気にしながら、学校の仲良しで数年前に結婚した女友達が、たまたま京都で自分たちを見かけて遊びに行きたいと電話をかけてきたという設定にしようとしているが、夫の視線は冷静だ。
やがて、男は電話口で、あなたへの想いを断ち切るために海外に行くつもりだったが、そんなことをしても結局は意味が無く、こうするしかないと言い出す。電話口から銃声が聞こえる。
電話を切り、挙動不審の妻を見ながら、夫は舞妓遊びに出掛けると部屋を去る。
妻は、男のホテルに駆けつける。そこには、普通に元気にしている男がいる。
妻もそんなことだろうと分かっていたみたいだ。ただ、私は怒っているといったような素振りを見せ、男の自分への想いを確かめるような仕草をする。
そして、男の気持ちを確かめると同時に、意地悪にも、あなたと違って、夫からは過大でかつ大らかな愛を受けていることを見せつけるかのように、宿泊しているホテルに電話する。
1回目は不在だったが、夫とラブラブに話をしているような素振りを見せる。
しばらく経った後、もう一度電話。夫は電話に出る。そこで、女は全てを告白する。夫は、じゃあ今日は泊るのだねと冷静さを保つ。妻は夫に謝罪をするにはこうするしかないと言い出す。男の手にしていた拳銃を奪い、空砲を撃とうとする。しかし、その拳銃には弾が入っており、その弾は男の体を貫く。
電話口から銃声が聞こえた夫は、それでも冷静に、さあ、もう戻って来なさい。あなたの芝居は見ていて楽しいと余裕を見せながら。電話口の向こうでは、倒れる男に、泣き崩れる妻の姿が・・・

岸田國士作品は、以前に桃園会で拝見したことがあります。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/a-tide-of-class.html
動員挿話だったでしょうか。なにか、どこか自分は相手より優位にいるんだという立ち振る舞いが、相手の方でも同じような感覚があり、関係に憎悪の小さな塊を作り出すような。この作品では、与えられる愛に感謝や幸せを感じるのではなく、与えられるということへの反発から、自分だって相手と50vs50だみたいな感覚でいることで起こった悲劇のように感じます。
好きでいてくれてありがとうと言うことは難しいのでしょうかね。恋愛戦じゃないですけど、言えば負けみたいな。だから、相手をイラつかせたり、冷静を装ったりして、自分の本当の想いを相手には伝えない。そんな会話の中での言葉は、作品名のように確かに音かもしれません。ましてや、表情の見えない電話ですから。
自分が40代の男だからか、この変に自信ありげに、大らかさと冷静さを醸す川添公二さん演じる夫に目を惹かれました。こんな権力や金はありませんが、多分、恋愛した時の自分はあんな感じです。かつて、付き合って別れた子に、この作品を見せて確かめたいような気持ちになりました。
あの夫は、心の中で不安と焦りの冷たい炎を燃やしてはいなかったのでしょうか。どうして、こんな自分と結婚してくれた妻に、好きだから、もう若い男の方には目を向けないで、自分の方を見てくれ。自分はあなたの方しか見えていない。銃声が聞こえた時に、焦って部屋を飛び出そうとしなかったのか。なんて、思いますが、出来ないんでしょうね。ああいう男には。悲しいなあと思います。
そして、それをきっと知っているのに、あんな行動をしてしまう妻。澤井里依さん。女性の巧妙さと残酷さが浮き上がります。これも悲しいです。
男、吉田知生さんもあざといですね。男なら、奪い返すくらいのことしろよ。それ以前に、あんな必死になるんだったら手放すなよなんてことも思いますが、若いなりの男のプライドだってあるのです。これも、また悲しい。
悲しい人たちばかり。そりゃあ、こんな悲劇的な結末になってしまうわと、さらに悲しみが・・・

C:タユタウ/河合穂高
海と砂浜と巨大な温室のある南の島で暮らす夫婦、阿須豆と紗織。
海に潜ることが好きだった2人。ただ、阿須豆はスキューバ、紗織は素潜り。島の海では、秘密の場所を知る紗織はジュゴンなんかも見たことがあるらしい。
紗織は事故で片足を無くした後も、一本足で器用に海に潜り続けた。その姿は人魚のようだった。
ある日、阿須豆と紗織が電車に乗っていた時、一人のタシと名乗る女性と出会う。タシは、人には自分にはまる穴、居場所みたいなものがあるようなことを語っていた。
それから時が経ち、その南の島にタシが現れる。タシは姿が変わらず、謎めいていた。
そのタシになぜか興味を惹かれ、ずっと彼女の写真を撮り続けるカメラマンの男も島にやって来る。
二人は、阿須豆の知り合いである女性が営む民宿に滞在して、島の時間を楽しむ。
紗織は、あれから、海へと消えてしまった。いつものように海に潜りに行って、そのまま。
それから、阿須豆はこの島で、帰って来るはずもないだろう紗織を漠然と待つ時を過ごしている。民宿の女性は、そんな阿須豆をずっと見つめ続けている。
ある日、島に台風が襲う。
阿須豆は、船を出すといきなり言い出し、そのまま船で沖に出た。
翌日、あの大嵐だったのにも関わらず、砂浜に漂着した阿須豆の姿があった。
タシとカメラマンは、島を出る。
少し、今までと表情の変わった阿須豆を見守る民宿の女性の微笑みが島に残る・・・

非常に幻想的な雰囲気を醸し、人の心の揺れ動きを美しく捉えたような作品でしょうか。
タシは自分の居場所がどこなのか分からなくなり、彷徨う時間をずっと過ごしているようです。そんなタシに惹かれたカメラマンは、タシの居場所になっていたのか、それとも、カメラマンがタシを自分の居場所としていたのか。どちらにしても、彼が撮影する写真一枚一枚が、タシに自分の存在を確実に植え続けてきたことは間違いないように思います。
紗織は、自分の居場所は阿須豆だったはずです。でも、足を失うという事故が、その考えを揺らがせたみたい。自分の居場所は海。本当に人魚のように。そして、彼女はその海へと向かい、人魚となった。
かつて、電車の中でタシと出会い、居場所の話をしたことを思い出した阿須豆は、そんな紗織の気持ちに気付いたのか、海へと向かおうとします。しかし、翌日、砂浜に戻される。童話の人魚姫のように、嵐の中を今は人魚の紗織が助けたのかもしれません。
助かった阿須豆は、自分の居場所はまだ、海では無いことを悟ったようです。この島で生きていくこと。まだ、気付いてはいないのかもしれません。そんな悲しい覚悟をした阿須豆には、温かく迎え入れてくれる素敵な居場所を用意してくれる女性が既にいることを。
タシ、松本茜さん。素敵なダンスで心情表現をし、この美しい作品の世界を盛りたてます。
ぼんやりと穴が空いてしまったかのような阿須豆、飯島松之助さん。
透き通るような透明感ある紗織、爽田いもりさん。
けなげで純粋な温かい想いに涙を誘われる民宿の女性、福良千尋さん。(爽田さんと福良さん、逆かも。キャスト表が無かったので区別がつかず・・・)
少年のようにまっすぐに人を見つめるカメラマン、吉田知生さん。

D:閉じた扉/田中ヤスハル
密室の中の男二人。
舞台上手の扉を開けることに成功。覗いてみると、そこは舞台下手の扉に通じる。
時空が歪んだ、この密室の世界で、扉をくぐると、性別を超えて様々な人へと変わっていき・・・

男2人だったのが男女になったり、女2人になったり。
そして、リンゴがいつの間にか現れ、この世界から始まる創世記みたいな話になる、設定だけでなく話も奇天烈な展開。
らせん構造の遺伝子や、無限の宇宙みたいな世界観をこの部屋に創り出そうとしているのでしょうか。
この不可思議な世界にびびり、いつの間にか慣れて遊びまくろうとし、そのうちおかしな性癖まで暴露し始めて本当の自分を出してしまう徳永健治さんはじめ、上記作品に出演された方々が弾けまくった姿で登場。
あのかっこよかった人が、あの美しかった人が、あの可愛らしかった人が・・・と、作品次第で多彩な役者としての力を発揮できますと証明するかのような作品に。特に澤井里依さん、ひどかったな。もう二度と観たく・・・、いや、またこの役への真摯な姿を観に行こうと心惹かれました。
オチは神無き世界。だから紙の無いある場所へと導かれます。
ちなみに、このD作品は、公演ごとに配役がシャッフルされるみたいです。器用な魅力を醸す役者さんの様々な姿を楽しむのも一興かと思います。

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