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2014年8月17日 (日)

ふりしきる ~冬の山で聞いた話~【劇研「嘘つき」】140816

2014年08月16日 シアターカフェNyan (95分)

ちょっときつい作品ですね。
現実から目を背け、偽りの自分であり続けようと極寒の雪山で過ごす女性たち。
それは、怒りを覚えるところもあるし、痛ましく悲しいところも。
そんな、彼女たちに、救済を与えるのは、もはや神や仏でしか無いような感じの話。
でも、それでいいのでしょうか。失われた命の悲しみは、それで救われるのでしょうか。
どこに光を感じればいいのか分からず、ただただ、痛く冷たく悲しい気持ちになる嫌な感覚が残ります。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

極寒の雪山の谷底で、学校の机を取り囲んで、カードゲームをしながら時を過ごす4人の女性。
あざとそうな老婆、インテリっぽい貴婦人、天真爛漫な着物姿の女性、思い詰めた喪服姿の女性。
雪女のような彼女たち。
彼女たちは近くの学校へ行き、人を喰らう。
いつから、なぜここにいるのか。喪服姿の女性は、今の自分に疑問を抱く。
思い出してはいけない。思い出したら死ぬから。仲間たちはそう語る。

学校に女性を連れた怪しげな外人がやって来る。時代が時代だけに、身分証明できない者を学校に入れるわけにはいかない。インテリっぽい妙齢の大野先生は、単年度契約の気弱そうな若い馬場先生を呼び出し、確認を取らせる。
ところが、そんなことをする必要も無かった。
思い詰めた暗い表情をしている井上という女性が、外人の連れた女性に声を掛ける。
外人が連れている天真爛漫な女性は、西園寺というこの学校の卒業生。合唱部に所属しており、不真面目な授業態度でよく大野先生に叱られていた。井上とは同級生だ。大野先生も西園寺のことはよく覚えているみたい。同席していたPTA役員を務めるあざとそうな女性、安田は、自分と同じくわが娘も合唱部であり、顧問である馬場先生に娘のことをよろしく伝えている。
外人は、フランシスコという西園寺の婚約者。ブラジルの血が入っているらしく、カトリック信者。教会で神に結婚を誓ったものの、外人ということで、彼女の家に挨拶をして、入籍の許しを得なくてはいけない状況みたい。

馬場先生は、もういっぱいいっぱいになっている。契約の先生だから、来年はどうなるか分からない。でも、仕事だけはたくさん押し付けられる。何の経験も無い合唱部の顧問だって。
それに、今、いじめの問題を抱えている。今日、井上と西園寺を学校に呼び出したのも、その話をしないといけないから。
もうストレスで声が出ないようになっている。

回想。
井上、西園寺、安田は合唱部だった。
井上は靴を隠されるなど、いじめを受けており、その犯人を探し出すためにこっくりさんをする。
こっくりさんは、犯人として安田を示す。
安田はそれを認めるが、あなたも悪いと逆ギレ。おまけに、西園寺をあなたも井上の肩を持つならいじめると脅す。西園寺は、悪いと思いながらも、井上をいじめから救ってあげることが出来なかった。

今、そんな過去を持つ井上の娘がいじめを受けて、不登校になっているみたいだ。
馬場先生は精神的にだいぶ追い詰められている様子で、大野先生が面談する。
かつて、井上がいじめられていたことなど忘れてしまったかのように、大野先生は、井上の娘はフリースクールとかに通わせるべきと、責任逃れをしようとする。
昔といじめの質が変わった。自分もいじめられていたが、不登校になるまでにはならなかった。井上は、今の学校の異常さを語る。
大野先生も頭では理解している。今は確かに変わって、昔、よく授業をさぼる西園寺にしていたみたいに、耳を引っ張って叱るなどの行為は体罰になってしまう。
結局、見て見ぬふり、災いには深く入り込まないようにしないと仕方がないのだ。
井上は面談を終えて、帰路に着く。仕事は今はしていない。生活保護の申請を受けようとしている。

教室では、フランシスコと西園寺が楽しそうに会話をしている。
雪女の話になる。フランシスコには、その話が理解できないみたい。どうして、雪女が男を許さなかったのか、神に過ちを懺悔すればいいのにとカトリック宗教に基づいた考えを口にする。
そのうち、雪女は通常、白装束だが、下半身が堕胎をした女性をイメージした赤色で描写されることがあるという話になる。
西園寺は懐妊している。喜びに溢れるフランシスコだが、西園寺は堕胎するという。
妊娠二ヶ月目という大事な時期に頭痛薬を飲んでしまった。脳に異常をきたす可能性があるからと。また、親族の問題もあるみたいだ。結婚はいいけど、子供は困るみたいな。
フランシスコにとって、堕胎は人殺しと同じ。人が死ぬことに鈍感すぎると彼女を責める。
でも、色々な事情を知ったフランシスコは、神に懺悔して許しを請うように彼女に進言する。
でも、西園寺は罪の意識は無い。自分が罪人として扱われることに拒絶を示す。
結局、宗教とかで価値観が異なる者同士は付き合うことが出来ないのか。

馬場先生が、安田に電話をかけている。
井上の遺書から、いじめを受けており、あなたの娘の名前がそこに載っていたと。

雪女たち。
老婆、貴婦人、着物姿の女性は、学校で人を喰らってきたようだ。そして、自分のことを思い出さないようにするかのように、カードゲームをし続ける。
喪服姿の女性がそこに現れる。彼女は鬼になろうとしている。
学校に行ったが、そこに自分の娘、そして安田の娘の席も無かった。
人肉の味のするざくろを手にして。

最後の方でよく分からなくなったのですが、これ、井上が鬼になるということは、そういうことなんですよね、きっと。
何という・・・
現実から目を背け、それを忘却の彼方になるように、自分を偽り続ける。
その冷たく、凍りついた心の在り場所がこの雪山なのでしょうか。
日本も色々と変わり、ゲリラ豪雨みたいに亜熱帯化しているので、もう雪が降らなくなるかもしれないようなことが言及されています。雪山も無くなるのでしょうか。
そうしたら、こんな雪女たちはどこへ逃げればいいのか。逃げ場すら無くなる世の中。それも怖い気がします。鬼となって彷徨うのか。
悲し過ぎる話だ。

最後に奏でる春の歌が、そんな凍りついた心を溶かすことを表現しているのか。
あまりの冷たさに、それで溶けるようにも感じない。
ざくろ。知っているのは鬼子母神のことかなあ。
子供たちから目を背けることは、その子が喰らわれることと同じ。
そんな過ちを犯してしまったこの女性たちに、フランシスコの神と同じように、仏が救済を与えたといった解釈なのだろうか。
よく分からないが、とにかく、後味の悪い嫌な話だ。

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