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2014年8月20日 (水)

サンタめん【札幌ハムプロジェクト】140819

2014年08月19日 KAIKA (60分)

2011年に拝見した劇団。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/111101-d206.html

そうかあ。まだ、ずっと日本縦断ツアーをされてたんだあ。しかも、規模を拡大して。

色々なことがあるから、自分の思うようにはなかなか生きられない。理想と現実みたいに。特に幼き頃は、自分の世界もまだ狭いから、ふりかかってくる色々なことにただ耐えることしか出来ない。
そんな中で、人は出会えた大切な人と共に過ごした時間を心に刻んで成長していくのだろう。
もう、どこにいるかも分からないから、会うことはないかもしれない、そんな同じ時を過ごした人たちは、今どうしているのかな。一緒に過ごした時間だけは、なぜか心の中に淡く残っている。頑張っていて欲しいな。自分もそれなりには頑張っているから。
そんな想いが浮かんでくるような、ちょっぴりセンチメンタルな気分になる話でした。
見世物小屋の設定を活かして、楽しい催しを盛り込みながら、ある夏の一時の少年の心を力強く描いた素敵な作品です。

<以下、あらすじがネタバレしますので、ご注意願います。公演期間が長いので、白字にはしていません。公演は、この後も西日本、九州と南下されながら続きます。北海道に戻られてからも、各地で公演されるみたいです>

時はノストラダムスの世紀末が迫っている頃。
北海道の最北に住むパンダお父さんとウサギ娘の下に象組の怖い人が拳銃片手にやって来る。パンダは、かつて象夫婦の娘をさらって逃亡生活を続けていた。発砲。パンダをかばい、倒れるウサギ。再び、発砲された弾はパンダの胸を貫く。
その時、空から、降ってくる一粒の雪。サンタウィルス。感染した者は凶悪なサンタめんになり・・・
感染は拡大し、北海道の大半の人がその犠牲者となる。
冒頭は北海道でかつて起こった悲劇を人形劇で演じられる。

そんな悲劇から数年。
ある町に見世物小屋がやって来た。
飲んだくれのお父さん、しっかり者のお姉さん、やんちゃな弟で全国を回っているらしい。何処かへ行ってしまった母から届く絵葉書の住所を目指しながら。
町に住む高校一年生の男の子。ちょっと頭が弱いので、みんなからはいじめられたり、敬遠されているみたい。一人で応援団長をして、誰とはなく日々、応援をしている。
見世物小屋の宣伝をしていたお姉さんと友達になり、見世物小屋を覗いてみる。
目を凝らし、息を潜めて見なくてはいけない世界最速のノミ、酒を飲ませて、慣れないビーチサンダルを履かせて逃げようとしたところを捕まえられる妖怪しょうじょう親子、物を落としてもすぐにくっ付けて拾える便利な磁石、恐ろしい化け物である動く毛むくじゃらのぬいぐるみ・・・
男の子は楽しくて仕方が無い。やがて、その見世物小屋の弟とも仲良くなる。
一緒にクリスマス讃美歌を歌ったり。二人とも頭が悪いので歌詞はめちゃくちゃだが、一緒に大声張り上げ、歌っているだけで楽しい。

自分たちは北極星の横にある赤い星、アルファサンタウルス星からやって来た。お父さんは、あのサンタめんの生き残り。
弟が語る嘘のような話も、高校生の男の子は純粋に信じて聞いている。お姉さんには、その話をするといつも叱られるのだが。
昔は、母さんがいた。宿題しなさいと言われて、今日は無いって嘘ついたり、ゲームは30分って言われて、嘘ついて誤魔化したり、お父さんがお土産に買ってきた肉まんは食事の後でと言われたのに、内緒でお父さんとお姉さんとで三等分して食べて怒られたり・・・
楽しかった。
そのお母さんを探しながら、全国で見世物小屋をしている。
高校生の男の子も母親がいない。自分が生まれた時に死んでしまったから、弟の語るそんな思い出話はなんだか羨ましいような気もする。
二人は境遇が似ていているところもあり、意気投合。
見世物小屋の一員になって、一緒に全国を回ろう。家族になろう。
そんな弟の提案に男の子は心を踊らせる。飲んだくれの長であるお父さんからは覚悟があるなら許すけど、今日は家に帰って身辺整理をするように言われる。
帰り際、お父さんと弟から男の子は道具箱をプレゼントされる。いつもはボロボロの紙袋に応援団長の服とかも入れていたけど、今日からは。ボロっちい道具箱だけど、男の子には光り輝いて見えるみたいで、意気揚々と帰路に着く。男の子にとっては、本当にサンタからもらったプレゼントだ。

家に帰るとお父さんがいる。お父さんはかなり偉い人らしい。
いつもと違って、隣に女の人がいる。新しいお母さんなのだとか。自分のお母さんは死んだはずなのだが。
そして、すぐに引っ越すことに。男の子は頭が弱いのでよく分からない。
でも、見世物小屋の家族に自分がなることはもう出来ないことはなんとなく分かった。
そして、新しいお母さんに、せっかくもらった道具箱の中から、ボロギレだと言われて応援団長の服を捨てられて、ただただ悲しかった。

翌日、男の子は弟に見世物小屋には入れなくなったことを伝える。
弟は約束したのにと怒りながら、サンタめんのお父さんや、アルファサンタウルス星が地球を攻撃するとか言われて脅される。そして道具箱も返せと取られそうになるが、これだけは男の子は絶対に手放さなかった。
そんな様子を見て、お姉さんが弟を一喝。弟は何処かへ飛び出してしまう。
お姉さんは男の子に謝りながらも、弟の気持ちも分かっている。全国を回って学校にも行けず、せっかく出来た友達とお別れしたくなかったのだろう。それに、お母さんを探すとか言っていても、もう会えるはずが無いことを知っている。絵葉書の差出人は母では無い。全てを分かっているけど、本当のことを言うと、お父さんやお姉さんが悲しむから知らないふりをしている優しい子なのだ。

男の子は、外へ飛び出して、町中を探す。
頭が弱いし、みんなからは敬遠されているしで、誰も協力してくれないし、効率よく探せないから、ただひたすら走り回る。
日も暮れて、あの見世物小屋のあった空地へ行くと、そこはもう何も無い、本当の空き地になっていた。
残ったのはボロッちい道具箱だけ。
男の子は、大きな声で力を込めて、クリスマス讃美歌を歌い続ける・・・

ひと夏の思い出。
楽しい一時はあっという間にお終い。だって、みんな、それぞれ事情があるから、自分たちの世界に戻っていかないといけない。
それは悲しく辛いことだったりするけど、それを心の中に押し隠して、必死に笑って楽しもうとしている。
楽しかった素敵な時間は、ずっと心に刻まれる。だから、きっと頑張って生きていける。
互いに、この共に過ごした時間を大切にして、また会えるかも分からない友にエールを送り続けるのだろう。
この作品の見世物小屋一行のように、全国を縦断しながら、たった60分ではあるが楽しい時間を各地に残すこの劇団と、それにわずかでありながらも触れ合えて楽しい思い出を心に刻むことが出来た私たち客とも同調させた作品のように感じる。
頭の弱い男の子を、飄々とした微笑ましい姿で演じながら、力強い心情を溢れさせる名演技、彦素由幸さん。素晴らしかった。

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