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2014年8月 8日 (金)

gateリターンズ Aプログラム 140807

2014年08月07日 KAIKA (25分+30分+25分、トーク含めて90分)

IN SITU、劇団壱劇屋、したための三作品。
一言で感想を書いてしまえば、順に、暗い、おもろい、分からないでしょうかね。
それぞれの持ち味を活かした、じっくり味わえる作品が並びます。

・話してくれ、雨にように・・・ : IN SITU
泥酔してソファーに横たわる男。外は雨と雷。
目を覚ますと、一人の女性が水の入ったコップを持って、ひっそりと座っている。
男はしばらく帰ってこなかった訳を話し始めるが、女性はその待つ間の辛さが限界に達し、男の声はもう届かなくなっているみたいだ。
男は、女性に雨のように話して欲しいと言う。
女性は、この部屋から出て行き、ホテルで素敵な時を過ごしながら、知らぬ間に何年も経つという夢を語りだす・・・

何とも生臭い話。
要は、好き勝手している男と、それに我慢の限界が来た女性の修羅場を描いているよう。
外の雨、コップの水、男が女性に言う作品名などから、この二人には渇きみたいなものが感じられます。
それは、雨に濡れても、水を飲んでも、潤わないくらいの状況なのでしょう。
恐らくは背景に、生きる上で恵まれない環境があるのかな。それを、かばい合うように付き合っていた二人だったが、今となってはそれがさらに自分たちに悲惨な状況を押し付けているかのようです。
それで、雨のように降り注ぐ言葉で自分たちに潤いと、男は思ったようですが、女性の語る話は、空虚さしか与えずといった感じでしょうか。
ただひたすら暗く、何を言いたいのかなあと考えながら、帰路につきましたが、他の二作品も実は同じような状態で、これだけに時間を費やすことも出来ず、結局はよく分からず終いです。
何となくですが、今の日本と同じような厭世観や漠然とした不安がある中で、世の人は渇いている。いつか好転すると何かを待つものの、そんなものはいくら待ってもやって来ず。やって来たとしても、この作品のダメな男のように何も変わらない。人生に潤いを与えようと、夢を頭の中で描いてみるものの、それは余計に空虚さを感じさせ、より一層、渇いてくるみたいな負の連鎖でしょうか。

・夜の散歩 : 壱劇屋
妊娠中の妻がいる男。
ちょっと考え事をするためなのか、夜の闇の中を散歩に出る。
しかし、三歩と進めぬ自分に、様々な妄想が降りかかってきて・・・

三歩以上歩くと笛を吹いて抑止してくる審判や、訳の分からないことを言うおかしな爺さん。
喧嘩をする男たちに、それを傍観し、その場から逃げ出してしまう学生。
男が夜店で買ったらしい、すぐに物を忘れる青い鳥に、それを自分で飼おうとする少年。
そんな者たちに追われる男は、産道で妻と出会う
散歩を助ける助散歩さんの身を呈した助けを得ながら、妻と子供を守るために男は戦う。
といった話だと思いますが、よく分かりません。
まあ、それよりもいつもながらの見事なスタイリッシュなパフォーマンスを見ながら、不条理な展開にクスリと笑いながらの観劇。
男と同じメガネをかけているようだったので、爺さん、学生、少年は自分の分身でしょうか。
なんとなくですが、爺さんは人生への諦めや妥協、学生は逃げや卑怯さ、少年は幸せの否定や残虐性を感じます。
男は、これから生まれてくる子供を育てるため、そして妻と子供をしっかり守っていくために、そんな自分の内に潜む負の要素と戦い、父にならないといけないといった感じでしょうか。
最後は、夢うつつで妄想世界のような散歩から戻って来た男が、妻が抱きかかえる生まれた子供を手渡されて、父になった姿で締められているようでした。

・ここ : したため
二人の男が、自分の体の頭から足先までを意識するかのように立ち、数ヶ月前ぐらいからの過去の自分がどこにいたかを時系列に各々語る。
やがて、話は、一人の男の今の部屋の話になり・・・

gate#11で拝見した劇団。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-4.html
この時も難解だったなあ。
個の追及みたいな感じでしょうか。
二人の男の過去の行動は当然異なり、個々を感じさせます。
そんな二人が、今、ここにいる。ここに二人がいることで、個が消えてしまうと思うのか、二人は個を互いに確認し合っているように見えます。
部屋の中の話をすれば、ここに何があるとかいうことになってくる。二人が立つ、ここが、ここではない一人の男の部屋になっていく。
部屋にある物は、いずれ捨てられ、関係無い物となる。今、ある物はいつか自分とは関係無くなる。昔からある物でも、ここになければ、それは関係無い。そこに確かにあった物なのに、その存在は、関係なければ証明出来ない。物だけでなく、者もそうなのだろうか。さらには自分自身も。
広き世界の中のここ、世の中の数々の人の中の個々、長き時間の中の今であるここ。
ここは本当にここと言えて、個で存在しているのだろうか。
そんな揺らぎが生じた時、ここから見えているモノは何なのか、ここから出来ることは何なのかが浮かんでくるような感覚だろうか。

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