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2014年8月 9日 (土)

変身テトラポット【森林浴】140809

2014年08月09日 イロリムラ プチホール (65分)

非常にストレスが溜まる。
だって、舞台がほとんど見えないんだもの。
7列ある客席の6列目に座ったが、完全にデッドスペース。座り芝居は役者さんの姿すら見えない。立ち上がったら、いたんだとびっくりするくらいに。また、8割方、座り芝居なので、ほとんど声だけの観劇となる。
少し舞台後方で演じてくれるだけで、姿が見れるのになあと思うのだが。

まあ、これも一つの演出として割り切っているのかもしれない。
見て感じるのではなく、見えないものを自分で補って感じなさいといったような作品でもあるみたいだから。
見えない役者さん。どんな表情をして、どんな動きをして、今、聞いた言葉を発していたのだろう。
その言葉もまた、よく分からないものだから、どういう意味合いが込められているのだろう。
想像しなくてはいけないことが多過ぎだ。
おまけに、同調しやすいように役者さんと同じような環境にしてあげますとばかりに、途中で空調は切られる。
厳しい観劇だった。

「カニのあし」
舞台上の様々な人の服を脱がせて、重ね着していく女性といったよく分からないオープニングアクトから、そのままなだれこむように始まる。
変身だろうか。人は、出会った人たちの影響を受けて、それを重層化していき、自分の核を覆っていく。それだったら、たくさんの人と出会い、語らう人は、自分がもう出てこれなくなるんじゃないか。
なんて思っていたが、よく考えれば、逆に自分も服を誰かに渡すこともあるわけで。ひきこもったりしていたら、ネットとかの情報から人の影響を受け続けて、どんどん着膨れする一方なのかなとも思う。
むしろ、大切なのは、自分が着た服を、出会う誰かに渡して、自分の核を覆い尽くしてしまわないようにすることが大切なのかな。だから、人は人と関係をいつも築かなくてはいけない。

そんなことをおぼろげに考えていたら、よく分からない言葉が連なる、この作品が始まっている。
よく分からない。赤を無くしてしまった娘と、それが戻ってくることを願う母の会話みたい。
悪い人は黒みたいな感じで、人を色で表現しているみたいで、洗濯でもして色が消えてしまったのか。
赤は血か。カニのあしも赤だが、あれは血の色ではあるまい。焼けば赤が際立つし、冷やせば、その色は薄れるはず。そんな、状況に応じて変わる色でなく、根本の色を失った娘を表現しているのか。
それで、どうだという話なのだが・・・

「CS」
舞台はビニールが張り巡らされていて、そこに少年の映像が映る。だから、モザイクがかかったみたいな状態になる。
映像中の少年Aはクラップサークルとかいう超常現象を研究するクラブに所属しているみたい。何をしたのかはよく分からないが、その少年Aの取材をする女性。かわいいという言葉を連発して、普段の生活や初体験など、およそ、その少年の本質には迫れないような質問を繰り返す。やがて、女性は、その場になぜかいるピカチューに興味を移し、少年に接するのと同じようにかわいいを連発する。

女性にとっては、少年Aはその場にいても、映像のように何かを介したような形でしか見れないみたいだ。そんな感じだから、非実在の物が映像では無く、現実にそこに存在しても、それを異常とは思わずに何も変わらず普通に接する。人は、何を見ているのか。情報だけで、作り出した虚像と、今、触れ合うことが出来る人の境界があいまいになっている姿に違和感を覚える。その人の芯に迫ろうとしない上っ面だけの印象の言葉、興味本位の質問は、マスコミの皮肉のようにも見える。同時に、本質を見ようとしない私たちにも。

「キッチン」
ふぐを扱う料理店と、人を扱う病院を交錯させている。
命を預けるという点では、確かに同じと言えなくもないか。
新米にフグをさばかせて、食中毒の心配をするトップに、忙しい現場だからそんなこと否応なしにやらなければいけないという現場の責任者。
仮に新米がフグの調理師免許を取ったところで、地域によってはその試験が形だけのものであるような現実もある。そのことはトップも理解している。それでも、きちんと技術を習得して、より安全に提供できることを望むトップと、とにかく人手が無いんだから、どうせ同じなら、どんな状況であろうとやってもらわないといけないというスタイルの店長はぶつかる。
どんなにゴミを分別したって、結局は一緒にされて焼却されるみたいな、分かっているけど、なぜかルールに盲目に従ってしまうような事例を挙げて、この話を例えたりする。

病院の方では、新しいシステムが導入されて、各部署の連携に問題が生じているみたいだ。
現場を知らずに、頭の中でだけ効率化を描いて導入されるシステム。割を食うのはいつも、末端の働く者たちだ。それでも、そうやって組織は動く。
そして、いつの間にか、そのシステムは定着する。問題が解決しようと、しまいと関係無しに。そこには、現場の人たちの技術改善ではなく、妥協や逃げ道を見つけて上手いことやるなんてことも多々あるはずだ。
そんなことの繰り返しで行き着く先は。
ホルマリンの中を泳ぐフグ。
精巣と卵巣の分別も出来ずにぐちゃぐちゃになったフグと、いい加減な医療体制の下で、組織片と化した人間の姿が浮かび上がる。

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