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2014年8月16日 (土)

マナナン・マクリルの羅針盤【劇団ショウダウン】140816

2014年08月16日 船場サザンシアター (130分+休憩10分)

ご存知、劇団員である林遊眠さんの一人芝居シリーズ4作品目。
過去3作品の感想:http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/130518-b130.html

もう、どう感想を書けばいいのだろうか。
胸が熱くなる、心が痺れる、酔いしれる。自分で書くと、凄かったしか出てこないので、言葉を勝手に借りた。
各々、演劇プロデューサー、劇評家、劇団の主宰の方の感想から、自分の今の気持ちを忠実に表現している言葉を拾わせていただいた。
感激する作品。嬉しい。観ることが出来て、本当に嬉しい。

<以下、あらすじを書いたのでネタバレしています。林遊眠さんの魅力を感じる作品ではあるものの、物語自体も非常にワクワクして面白いので、まだ観ていない方は見ない方がいいかもしれません。本来は白字にするべきでしょうが、大阪は日曜日まで、東京で9/5~7に公演があり、期間が長いのでしていません。申し訳ありませんが、ご注意願います。そんなことより、これ観ないとあかんと思いますわ。東京の方は、ほとんど、この一人芝居シリーズを観られていないですよね。だったら、一度、味わってみてください。本当に最高ですから>

時は1716年。海賊たちがお宝を求めて、自由の名のもと、大海原を駆け巡っていた大航海時代。
グレートブリテン王国の海軍、お抱えの海賊が、洞窟で秘宝を見つけるところから、話は始まる。
鈍く輝く、古びた羅針盤。海軍提督はそれを丁重に国王に献上。既に保有する六分儀。残る秘宝、海図。これを全て、手に入れることが出来たならば、神の国への道が通じると言われている。

カリブの港町では、船の荷卸しの仕事をする二人の青年。
後に、通称ブラック・サム・ベラミーとして、大海賊として名を馳せるサミュエル・ベラミーと、その幼馴染ピエトロ。
ベラミーは貴族の生まれであったが、家が破産し、没落貴族として生きることを強いられるようになった。ピエトロは当時の使用人の息子であり、幼き頃から、一緒に遊んだかけがえのない友達。
破天荒でお調子者でよく無茶をするベラミーと、冷静沈着で頭が切れるピエトロは、いいコンビだ。
ベラミーの調子の良さ、よく言えば何事にもポジティブである性格は、大人になった今でも変わらぬようで、町の階級の高い家出身の美女と5分の会話に成功しただけで、結婚をする気でいたりする。

船乗りや海賊たちがひしめく飲み屋で、ベラミーはピエトロに、美女との仲がさらに深まったと半ば酔いながら、語っていると、そこに威厳ある男たちが店に入ってくる。王国海軍兵士たちと、国に仕える海賊の船長、通称黒ひげと呼ばれるいかつい男。
彼らはアジクという黒人の少年を処刑にすると宣言する。王国の大事な宝物を盗もうとしたというのだ。
ベラミーは反論する。アジクは8歳の時に父が奴隷として売られてしまい、身寄りが無いけど、真面目に仕事をする少年で盗みなどをするわけがないと。どんな時でも、自らの境遇を呪わず、懸命に悪いことをせずに頑張れという父の教えを忠実に守っていたアジクがそんな大それたことをするはずがない。
しかし、王国兵士たちにそんな反論が通じるわけがない。助けるためには莫大な保釈金が必要で、それを用意することも、当然できない。
兵士たちが去った後、飲み屋は静まりかえって、ただ、アジクの不幸を悲しむだけだった。

ところが、どんな時でも、思いのままに行動するベラミーは、無計画にピエトロを連れて、牢屋に侵入。
無実を訴えるアジクを奪還して、町へと逃げる。
王国の兵士たちは町中を封鎖。逃げ切れるはずもなく、捕まるのは時間の問題だった。
それでも、逃げ回るベラミーたちの前に、あの黒ひげが立ちふさがる。
海賊であるが、今は、王国に仕える身分。彼はベラミーたちを捕まえようとするが、ベラミーの無実である仲間を救うのは当たり前だという言葉に、海賊の精神をくずぐられたらしい。
港へ向かい、海へ逃げろと進言し、道を開けてくれる。

港では、この騒動で逃げ出した囚人たちが、兵士と戦い合っている。
とてもじゃないが、船までたどり着けるような状態ではない。
でも、ベラミーたちは船に向かって走る。王国の階級社会や人種差別のような束縛から逃げ出し、自由を求め、旅立つ覚悟がある者は、あの船に乗り込めと叫びながら。
ベラミーたちと囚人たちは、王国の一隻の船の略奪に成功。そのまま、出航する。

海軍の船が追撃を始める。
あの船を奪われては絶対いけない。なぜなら、あの船には、秘宝、羅針盤が置かれているから。
海軍提督は、船を沈めないで確保するように、兵士たちに命令をする。
所詮、素人の集まり。大した反撃は出来まいとたかをくくっていたのが提督の誤算だった。
相手は、むちゃくちゃをするベラミーに、それをいさめながらも、その無謀なことを実現してしまう能力を持つピエトロ。そして、囚人たちの自由への意志。
ベラミーたちの乗る船は、海軍の船にまさかの砲撃。
海軍はなすすべもなく、撤退。
秘宝、羅針盤と共に、船はベラミーたちのものとなる。

その後、船は近くの入り江に停泊。
船にいた海軍兵士を無傷で解放し、北へと向かう。この時、一人の海軍兵士はベラミーと共に行動をする意志を示し、船に残る。
王国ではふがいなき海軍提督を解雇。新たな優秀な男を就任させる。
そして、、ベラミーたちは、大恥をかかされ、秘宝まで奪われてしまったグレートブリテン王国を敵に回すことになる。
黒ひげは、王国を裏切り、出航。もう一つの秘宝、六分儀を奪って。
ベラミーたちは勢力を拡大し、ある奴隷たちが乗る船を略奪。その名をウィーダ号。
その船には、後に最年少の海賊と呼ばれるキングという幼き少年がいた。アジクとしょっちゅうケンカをする、良き友となる。
囚人や奴隷たち。虐げられてきた者たちが、差別を受けることなく、仲間として過ごせる海賊が誕生。
時は1717年。新たな海賊たちの黄金時代が始まりを告げる。

と、こんな話。でも、これでまだ1幕が終了しただけです。時間にしてちょうど60分。
これでも、記憶があいまいなところを削ったり、ややこしくなるので、はしょったりしているところがあります。
それでも、話がワクワクするので、あっという間でした。
そして、休憩中は、これからの話にさらにワクワクと期待。同時に、この60分だけでも、林遊眠さん、すげえと感動。
2幕は、少し簡単にしましょう。書くだけで、体力が持ちません。

今や大所帯のウィーダ号の船長となったベラミー。
彼の下に、一人の謎の女性が現れるようになります。
それは羅針盤から現れる妖精のようです。
彼女は何も語らず、ただベラミーを見詰めます。その表情は、彼を見極めているかのようです。
彼女は、ベラミーをどこへ導こうとしているのか。

ベラミーは、時折、貴族時代の幼き頃のことを思い出します。
自分と、しっかり者だったピエトロ。そして、自分の面倒を見てくれた幼き黒人の少女。
無茶をしては優しく諌められ、いつも傍にいてくれた。こんな自分だから、心配かけてばっかりだった。大好きだった。だから、ずっと一緒にいられるのだと思っていた。
でも、今、一緒にいない。それは、彼女は新大陸へと旅立ったから。私は奴隷だからと言い残して。
奴隷じゃなく、君は自分の大切な友達だ。そう言ったような気がする。でも、分かっていることもあった。世間はそう認めないことを。
自由。階級や差別に左右されず、みんなが仲間だと語り合える世界。それを求めて、今、時を過ごす自分。
自由を求める。みんなもそうだ。でも、求めなければ、死ななかった人がいることも事実。
自分はどこへ向かえばいいのか。

ベラミーは、ある町にたどり着く。
羅針盤に導かれるように、怪しい店の占い師のような人から、海図を手にする。
これで、六分儀が揃えば、神の国へと道が開けるのだろうか。
町では、海賊たちが集まっていた。あの黒ひげも。
それを聞きつけた王国海軍が、攻撃を仕掛けてくる。彼らの目当ては秘宝だ。
兵士たちを傷つけると厄介なことになる。ベラミーたちは、逃げるように出航しようとする。
そして、ベラミーは同じ立場の黒ひげに、一緒に仲間になることを提案する。
出航の際、ベラミーの仲間となっていた海軍兵士が裏切ろうとする。スパイのように、この船に潜入していたのだと言う。でも、その表情は悲しげだ。本心からの言葉ではない。
彼は、結局、裏切ることが出来ず、自ら、海軍の下に投降する。最後に見た姿は、海軍兵士たちに囚われの身になっているところだった。
兵士としての生まれを捨て去ることは出来ず、と言って、自由を求め、海賊たちと共に過ごした時間を裏切ることも出来なかったのか。

黒ひげは六分儀をベラミーに託す。
ベラミーは、揃った秘宝から、羅針盤の妖精に再び出会い、目的地を見出す。
船をその進路にとったところ、その先に50隻もの王国海軍の船が待ち構えていた。その数、ちょっとした国ならば滅ぼすことが出来るくらい。
羅針盤の妖精は、戦いの女神であるモリガン。その力を信じて、前へと突き進む。
しかし、王国海軍の攻撃は容赦なかった。
アジクはベラミーをかばって息絶える。自由。自分は、この船の中で自由だったと言い残して。
続いて、ピエトロも。そして、多くの仲間たちも。
ベラミーの自由への理想は、いつしかみんなの理想へと変わっていた。
しかし、ベラミーも、その身を海の底へと放り出される。
夢うつつの中、モリガンは彼に語る。自由を求める本当の海賊に最後の力を授ける。戦い続けろと。
大切なことなら、命を投げ打ってどころか、死んでも戦い続けると言い続けていたベラミーの想いを信じるかのように。
その時、王国海軍に巨大な魔獣が迫る。
そして、その魔獣を従えるように、巨大な船が海の底から現れ・・・

サミュエル・ベラミーの海賊となってからのほんの一時の人生を描き、その戦いに懸けた熱い想いを伝える。それは、きっと、彼の自由を求める想いが、いつしか自分たちのものだと思うようになった乗組員たちの姿と私たち客の姿が同調する。恐らくは、舞台上で、林遊眠さんは、私たちのサミュエル・ベラミーとなっていたのだろう。
ベラミーは、自らの船、ウィーダ号で、誰もが自由に過ごせる世界を創り上げた。でも、それはその乗組員だけ。彼がかつて差別社会ゆえに別れを告げた黒人少女にその世界は見せてあげられていない。彼の最終的な目的地は、そこにあったように感じる。
彼女に見せたかった誰もが自由に友達として触れ合える世界を、いつの日か彼女の目に留めてもらうまでは、死してもその精神を繋げていく覚悟が、戦いの女神モリガンの心を動かし、そして神々の力を引き起こしたみたいだ。
彼の徹底した覚悟は、いつしか、この世界を自由ある神々の国へと導くということが、羅針盤の正体だったように思う。

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コメント

SAISEIさん。今回も、ご来場ありがとうございました☆☆☆
まさかの2時間。。。だけど練習での初通しの段階では2時間半だったんですよ(笑)なんとか縮めて2時間。内容の濃い作品になったと思います☆
終わってみれば、ウィンドミルバレーがなんだかコンパクトに感じられました。。。☆
また新しい仲間たち、登場人物たちと出会えて私もこの作品が大好きです★彼らと一緒に、きっと東京でも頑張ってきますっ★

投稿: 林遊眠 | 2014年8月19日 (火) 14時25分

>林遊眠さん

コメントありがとうございます。

少しでも体力回復していただかないといけないところに、わざわざコメントいただき、申し訳ないです。

もう、あの素晴らしい作品で、最高に楽しませてもらいましたから、あとは、この魅力を一人でも多くの人に味わってもらいたい気持ちでいっぱいです。
会場に足を運んでくれさえすればねえ・・・
観終えた頃には、興奮してテンション上がること間違い無しなんですがね(゚▽゚*)

お体だけはお気を付けて。
東京でのご活躍、心から祈っております。

投稿: SAISEI | 2014年8月20日 (水) 10時03分

池袋演劇祭、大賞取りました!
応援、本当にありがとうございました!

投稿: ナツメです。 | 2014年10月28日 (火) 03時57分

>ナツメさん

はい!
昨日、twitterで知りました。
おめでとうございますヽ(´▽`)/

今後も、益々、ご活躍を。

投稿: SAISEI | 2014年10月28日 (火) 11時39分

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