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2014年7月

2014年7月31日 (木)

作・・・柵・・・越えられない【HPF高校演劇祭 咲くやこの花高校】140731

2014年07月31日 ウィングフィールド (70分)

2年前に拝見した高校。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/hpf120731-e9dc.html
この時は静かで美しい作品だったけどねえ。今回はずいぶんとにぎやかな作品。

ようやったなあといった感想が一番ですかね。
まず、ハッピーエンドじゃないでしょ、心の中の想いを描く作品が多い中でミステリーでしょ、高校演劇なのに下ネタ入れてくるでしょ・・・
HPFではしたらダメなのかなと勝手に思っていたことを盛りだくさん入れ込んでいる作品。
そのオリジナル性と自分たちの色出しを思いっきり堂々とされた姿に感服です。

話としても、演劇らしい交錯する世界を描いていて面白い。また、その交錯のさせ方も、よくある現実世界と小説の世界ではなく、小説の世界を二重にしたりしていて、その巧妙な構成に驚く。
ただ、もう少し整理してもらわないと、作品中の女性の憎悪の感情をたどることと交錯する世界の収束という演劇的な技術が絡み合わず、バラバラに楽しむような感じになってしまっている。
恐らくはシーン転換などのちょっとしたことで、このあたりは解消させられるはずであり、より魅力的な作品作創りをする余地はあるように感じる。

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君が生まれた狂気の村【隕石少年トースター】140731

2014年07月31日 Cafe Slow Osaka (110分)

なんか凄い不快な気持ちで劇場を後にしたんですが、こうしてもう一度振り返って、感想を書いてみると、けっこう面白い話ではあるんですよね。
ただ、所々、嫌なところを突いてくるので、何か不安になるのだと思います。
価値観と愛、愛と狂気みたいな関係に関する答えが出てくるような話です。

<以下、あらすじがネタバレしますので、公演終了まで白字にします。当日チラシには作・演の方が前情報なく観て欲しいと書かれていたりするので、重々ご注意願います。まあ、多分、それはすじを知らないで欲しいのではなく、偏った考えの感想を見て、観る時に視点を固定されるのを避けているのだとは思いますが。自分なりの視点で、この奇妙な話を楽しまれたらいいのだと思います。公演は日曜日まで>

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ぶるはる【HPF高校演劇祭 鶴見商業高校】140730

2014年07月30日 シアトリカル應典院 (70分)

初めて拝見する高校だが、会場は満員御礼。立ち見やモニター観劇の方もいらっしゃったようだ。
確かにそれだけの人を集めるだけの、高校時代に経験するだろう自分探しの苦悩が会話から見出せる高校生ならではの作品が仕上がっている。

みんな、色々なことを胸に抱えながら、頑張ろうとしている。
結局、人は弱い。ましてや、若い高校生たちは弱い。だから、それを受け止めて、どうしたらいいのかを考えてみればいい。
一人で戦えないなら、家族や仲間がいる。決められたように、勉強やスポーツで青春を謳歌しないといけないわけでも無い。
そんなことに気付いて、人生の中の自分自身の大切な時間をどう過ごすかを自分が決める。
自分のための青春を見つけ出すまでの物語のように思う。

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2014年7月30日 (水)

飛び人 ~とびびと~【HPF高校演劇祭 大谷高校】140729

2014年07月29日 メイシアター (65分)

昨年に引き続き、観劇
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/hpf-130728-4aad.html

ここの魅力はどうなってるんでしょうかね。
話自体は、けっこう突拍子も無かったり、ご都合主義的なところがあったり、まとまりが無いように感じるところがあったりもするのですが、そんなマイナス要素は全部、舞台の輝きでかき消してしまい魅了されてしまいます。

話としては、ありがとうとごめんなさいを導き出す、人の想いに気付けた時に、人はその仲間たちと共に羽ばたけるようなことを女子高生の日常から描き出したような感じでしょうか。
幼き心に抱える彼女たちの不安や悲しみを、自分自身と仲間たちで懸命に昇華させようとする等身大の姿が描かれています。

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2014年7月29日 (火)

~夏空の光~【HPF高校演劇祭 堺西高校】140728

2014年07月28日 ウィングフィールド (75分)

一昨年拝見した高校。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/hpf120730-c730.html
1、2年生しか今回はご出演されていないので、当時はまだいらっしゃらなかった方ばかりですね。

総じて感じることは、可愛らしいですね。自然と笑みが漏れる、微笑ましい姿でした。
色々なことを抱えた背景を持つ個性的な人物が登場する話です。
各々の役者さんが、その登場人物をしっかり見詰めて演じられていることがよく分かります。
純粋に一生懸命。
そんな皆さんの努力がまとまって、悲しみや切なさの中にも、心に抱いている人の想いを感じ取ることが出来る、心動かされる優しい作品に仕上がっているようでした。

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2014年7月28日 (月)

冬の旅【松嵜佑一と藤田かもめの二人企画】140727

2014年07月27日 cafeslow Osaka (95分)

ある夫婦が、過去の旅行でのエピソードと共に自分たちの会話をたどる旅。
そこには、スレ違ったりしながらも、互いに温め合おうとした二人の姿が浮き上がる。
スレ違いの部分でクスリと笑わせながらも、そんな夫婦の優しい触れ合いを見せてホロリと泣かせるような面白い作りになっている作品でした。

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忘れらんねぇよ【劇想からまわりえっちゃん】140726

2014年07月26日 近鉄アート館 (115分)

前作と似たような雰囲気のある作品だろうか。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-6.html

純粋に遊びまくる小学生。
ヒーローになりたい。自分を、親を、友達を、誰かをみんな守りたい。そして、最高の世の中を自分が創る。
そんなことをまだ本気で考える頃。
でも、そんなことは夢でしかないと現実を突きつけられたり、力が足りなかったり、どうしていいか分からなかったり、大切な人に理解してもらえなかったり、仲間に裏切られたり、違う夢に向かって進まれてしまったり、・・・
それでも、頑張っていると仲間も増えて、理解してくれる人と出会えて元気付けられたりしながら、楽しくて仕方がない日々を過ごす。
そんな幼き頃の溢れる夢や希望と共にいつもまとわりつく不安や悩みに翻弄されながらも、懸命に走っている人の姿が描かれる。
驚くべきは、そんな幼き少年の姿を、もういい大人の役者さん方が、等身大で描き出す。あの頃の想いを忘れることなく、今もひたすら走っている人たちなのだろう。ご自分方自身を投影したような登場人物たちが、舞台を駆け回る熱き想いに溢れる作品に仕上がっている。

感想は、上記リンク先の最後に書いた前作で物足りないと感じたものが全て、解消されていた。
暴れ回るかのようなハチャメチャな雰囲気を綺麗にエンタメに転換して、かつ想いをしっかり伝えることが出来ている名作だと思う。

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2014年7月26日 (土)

吸血姫と透明少女【フルールケイク×TheStoneAge ヘンドリックス】140726

2014年07月26日 TORII HALL (100分)

最後でダウン。
愛と笑いの物語の、最後、愛で締めるところだ。
ベタの笑いで話を展開しながらも、人の想いに触れた優しい愛を感じさせて、ちょぴり涙の感動を与えて話を終わらせるのは、作・演の朝田大輝さんのお得意とするところであろう。
この愛の部分が、今回は私には不発で終わる。
理由ははっきりしている。
笑いの部分のウェイトが大き過ぎるのだと思う。それは時間もそうだが、3人の役者さんの力を甘く見積もり過ぎでは無いだろうか。
相当に強烈な破壊力があり、その笑いも、ベタだったり、濃厚さがあるので、観ていて疲れ、この上演時間では最後はもうぐったりだ。
通常ならば、ご出演の役者さんの数がもっと多いので、濃さも分散されるのだが、今回は3人ということもあり、がっつりとこちらも組まざるを得ず、最後はもう疲れと満腹で、あまり考えることが出来なくなる。

本当は、きっと夏のあの暑さのような笑いの熱気を存分に楽しみ、秋の訪れのようなちょっぴり寂しく、その夏の暑さを懐かしみながら思いにふける素敵な時間を感じることが出来たのだと思う。
ただ、暑かった。そんな想いしか残っておらず、明らかに消化不良をしているように感じる。
笑いという点では、間違いなく面白いですけどね。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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0号【ゲキバカ】140725

2014年07月25日 ABCホール (150分)

DVDで拝見して、生舞台で観れる日が来ればなあなんて思っていたが、意外に早く実現。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/dvd0-c7e5.html
<↑あらすじを少し書いているので、ネタバレ注意>
そして、その魅力は思っていた以上で・・・

笑いと涙を交えた感動的で、深く想いを馳せられる話。
ダンス・歌・殺陣と迫力あるエンタメ。
個性豊かな役者さん方の魅力。
人の想いに溢れた優しい温かさ。
上演時間の長さが気にならない惹き付け。
心を揺り動かされる、作品に込められた芯のあるメッセージ。
・・・

これまで拝見してきた数々の作品でも同様の感想を書いた作品はたくさんある。
もちろん、それは嘘でも何でもなく、心からそう思ったから、そう書いている。
でも、この作品、そうじゃないんだなあ。
同じこと書いているけど、もっともっと凄いわけです。
これを言葉で伝えたいけど、どうしたらいいんだろう。
お話できるなら、興奮して自然と声が大きくなったり、熱がこもるから分かるかもしれませんが、この無機質な文字では。
フォントでも大きくすれば少しは伝わるでしょうか。
最高
このブログで使える最大の文字サイズです。
こんなぐらいじゃ、ちっちゃいんで話になりません。

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2014年7月25日 (金)

あの日忘れた、大切なもの【HPF高校演劇祭 大阪信愛女学院高校】140724

2014年07月24日 ウィングフィールド (50分)

この高校は昨年に引き続き観劇。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/dearhpf130722-6.html

観ていてなんか恥ずかしい。
高校生の恋愛青春ドラマだったから。また、女子高生が脚本から自分たちで創り上げた作品なので、その等身大さがまた・・・
少し全体的に緩いところが、拙さを生み出しているところは多々あるようには感じる。
でも、そんな姿もまた、高校生という今の時間を描いた風景なのだろうと思う。
何とも、こっぱずかしいけど、微笑ましく、色々つらいこともあるけど、限られた青春の時間を仲間たちとより楽しく創り出していって欲しいなと思うような作品でした。

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2014年7月23日 (水)

オイディプス(ギリシャ神話より)【HPF高校演劇祭 淀川工科高校】140722

2014年07月22日 メイシアター (85分)

この高校は、今年で3回目の観劇となる。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/hpf130723-2b5d.html
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/hpf130723-2b5d.html

2年前に拝見した作品では、心情表現をとても丁寧にされる方が揃っているなと感じ、昨年は言動一つ一つに自分たちの想いと情熱を込めた熱演に感動した。
そして、今年はもう私の中では完璧だ。話の展開、役者さん方が作り出すキャラの魅力にはまり込んでしまった。
リズムのいい展開に、力ある演技がダイナミックな舞台を創り上げ、完全に魅入ってしまい、終演後、スーっと立ち上がって拍手しそうになるくらい。
大変素晴らしい作品でした。

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2014年7月22日 (火)

こっからの、距離【空晴】140721

2014年07月21日 インディペンデントシアター2nd (90分)

作品はいつもながらの、人の想いに触れた温かい話です。
それよりも、ここは観劇すると、いつもいつも気分が良くなる。
きっと、作品だけじゃないんです。素敵なこの劇団に集まってくる人たちが、みんなで創り上げたものを見せられるからなのだと思います。公演自体が素敵だってところでしょうか。

<以下、あらすじがネタバレします。大阪は本日まで、その後、福岡で公演があり、期間が長いので、白字にはしていませんので、ご注意願います。素敵な時間を是非、味わいに足を運んでみてください>

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2014年7月21日 (月)

ふみきりと桃【meyou】147021

2014年07月21日 谷町空庭 (60分)

感性を問われるような作品ですからね。
まあ、私には厳しかったです。
母と子のごく普通の日常の風景から得られる幸せや、世界に溶け込む二人の優しい時間なんかを感じましたが。

それ以上に眠りましたね。寝たんじゃなくて眠るとわざと書いています。何となく、そんな感じなのです。
とても心地よかったんです。
失礼だからダメでしょうが、この作品に関してはそれもありじゃないかと思っています。
緩やかに流れる、優しく温かい時間。とても幸せな気持ちになって、そのまま・・・
面白くないとかじゃないです。観に行ってみればいいです。
本当にふわ~っとなって、落ちますから。
観終えて、今日は疲れていたので、これで観劇終了と思っていましたが、本当に何か気分よくなったので、もう一本観に行くことにしました。表現物を観るのって幸せだよなあと思わせてくれたことは間違いありません。

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窓辺の金魚、宇宙の辻さん【家和○組】140720

2014年07月20日 インディペンデントシアター1st (100分)

とにかく面白かったですね。
めちゃくちゃな設定で、ストーカーみたいな深刻な犯罪をこんなにコメディーにしちゃっていいのかといったお叱りを受けそうですが。
そのあたりは、相手のことを想う、見守りたいといった、本当の根源部分だけに焦点を当てて描くようにしており、うまい具合に楽しい設定を創り出しているみたいでした。

出会いと別れ。そして、そこから導き出されるこれから。
人が人を想う純粋な気持ちを大切に描き、そこから生まれる仲間たちとの楽しい時間を伝えているような話でした。

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かもめ【近畿大学文芸学部芸術学科舞台芸術専攻 舞台総合演習ⅠA、ⅡA 実習公演】140720

2014年07月20日 近畿大学本部キャンパス10号館8階演劇実習室 (120分)

チェーホフのかもめと聞いて、これは行っておかなくてはと足を運ぶ。
観劇が趣味ですと言う割に、こんな有名な作品のあらすじも知らないのです。私はかもめってやつだよねぐらいしか。
近大の学生さんの授業公演はこれまで何度か拝見しましたが、非常にしっかりと創り上げられるので、非常に勉強になります。
本を読んでおくのもしんどいので、ネットで軽く調べようかなとも思いましたが、43年間も生きてきて、こんな有名作品の何も知らないというのもなかなか珍しいんじゃないかと、全くの白紙で伺ってみることに。

当日チラシの人物相関図を見て、やっぱり少しは把握しておくべきだったかと後悔。
なになに。息子の彼女が母親の彼氏と結婚する。不倫している人もいるし、片想いの人も。
ビバリーヒルズばりの恋愛だらけじゃないか。となると、当然、修羅場の連続で重苦しい作品なのかと。

観終えて思うのは、大した話じゃないのに、やたら余韻が残りますね。
夢を叶えた人、叶えられなかった人、叶えようと頑張ろうとしている人、諦めた人、持たない人なんかが出てきます。
みんな、各々の生活を抱える中で、その夢と向き合ったりしますが、理想と現実の間は思っている以上に大きいといったところでしょうか。
また、恋愛なんかも絡んでいるから、その理想と現実に深みが増しているようです。
対照的な人生、性格、考えの人が交錯するので、そのズレた感覚が妙な興味を惹きつけているように感じます。
様々な人生に対する価値観。それと対峙し過ぎても苦しいし、目を背けてもそこには光は挿し込まないし。じゃあ、どう生きていけばいいんだろうかと悩ます話でした。

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2014年7月20日 (日)

夜、ナク、鳥【くじら企画】140719

2014年07月19日 アイホール (115分)

ちょっと意外でした。
これまで拝見した2作品とかなり作風が異なっていたので。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/130712-8901.html

人の心の闇を探るというコンセプトは全く同じだと思うのですが、この作品は、福岡の看護師4人による保険金連続殺人事件をかなりえげつなくそのまま描いているようです。
人に尽くす、献身の精神を持つ看護師が、自らの手で人を死に至らしめるというまでの心理変化を露骨に描写します。
あまりにもドロドロになり過ぎるのを緩和させるためか、面白い登場人物も出てきて舞台の空気を和らげるのですが、終始、その心理描写に息が苦しく、張りつめた空気が漂います。
何が彼女たちをそこまで追い詰めたのでしょうか。
死を目前にした患者には、その最期の時を心豊かに過ごして欲しい、出来るなら神様、生を奪わないで欲しいという祈りを抱く看護師が、金のため、仲間のためを大義に、人を殺めるまでに至る姿が映し出されます。
この世の不条理に対する憎しみなのか、看護師としての大切な精神を裏切る自分たちへの罰なのか、全てを焼き尽くす炎の中で、犯行に至る彼女たちの鋭い姿が印象的なシーンでラストは締められていました。

<以下、内容がネタバレしていますので、ご注意ください。ただ、事件自体の概要はネットで詳細に載っていることと、この作品の本質は、別に事件の内容を理解させることでは無いことを考慮して白字にはしていません。公演は月曜日まで>

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2014年7月19日 (土)

パレード【劇団ずぼら】140719

2014年07月19日 大阪大学豊中キャンパス学生会館2階大集会室 (105分)

難しい作品でした。
淡々と進行していたのに、ラストで急に恐ろしい話になってしまいます。
互いに不干渉であること、本当の自分で接し合わないこと。本当に想い合わずに、表面だけの付き合いで創り上げられた世界に魅惑された人たちが、破滅する姿と、どこにもたどり着かず、永遠に彷徨い続けるという絶望的な姿が描かれているようです。

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大田王2014ジゴワット ~Back to 2015【ABCホールプロデュース】140718

2014年07月18日 ABCホール (130分)

1999年の公演から、15年振りだそうです。演劇界の宝とも言える方々が揃いに揃ったびっくりの公演ですね。
昔から観劇をしていたり、演劇に関わっている方々にとっては、とても感慨深い公演なことでしょう。
まだ、観劇6年目の私でも、ご出演の方々が、今の小演劇の地位を築き上げ、今でも活躍を続けていることを知っていますから。

川下大洋さんは、多分、観劇始めた年の劇団赤鬼と京橋花月の共同公演でのFAKE HEARTが初。貫録あって、怖い人だなあと思って観ていましたが、その後、恋愛講座だったかな、何か先生になっているDVDやそとばこまち関連の公演などで拝見して面白いおっちゃんなんだと。
後藤ひろひとさんは、観劇を始めた頃には既に東京の方でご活躍だったかな。昨年、学生さんが演じたパコと魔法の絵本で大感動。アマゾンでこの方の作品DVDを購入して、今、かなり遅れて、はまっています。ヒーハーなんかは、この公演にご出演の方々が勢揃いですね。
楠見薫さんは、色々な公演で拝見するいつも面白い女優さん。最近ではKUTO-10かな。ちょっと色気なんかも醸されて、不思議な魅力の方です。演劇界の役者さんの名前は、だいたい普段、観劇されていない方には通じないのですが、この方だけは知ってるわという方が多い。
土田英生さんは、MONOでずっと楽しませてもらっている。実は、今、お付き合いしている彼女はこのMONOとミジンコターボのファンということで、たまたま知り合った人。特に二人とも土田さんは天才だということで話が合い、私にとってはキューピッドみたいな人となっています。
腹筋善之介さんは、観劇初期によく拝見していたピースピットの末満健一さんがよく話題にされていた人。伝説に残るような事件を幾つも持たれているみたいです。
いつかは舞台で拝見したいという願いが、ついこないだ叶い、あのパワーマイムに圧倒されました。
久保田浩さんは、私にとっては剥製の猿。5部作をコンプリートし、人の想いに触れた、優しく温かい作品を創られる方です。ただ、昔から知る人に聞くと、舞台では羽曳野の伊藤とかいう名物キャラでめちゃくちゃ面白い人なのだとか。確かに剥製の猿でも、そんなキャラが出てきてたような。
石原正一さんは、一番よく拝見している方かな。観劇を始めた頃から、定期的に色々な公演で楽しませてもらっている。私が観劇する前は年末に関西の役者さんを集めてイベントをしていたのだとか。そんな公演も観に行きたかったなあ。きっと、これからも色々な企画で楽しませてくれることでしょう。
そして、三上市朗さん。大変、失礼ながら、この方だけ知らないのです。wikiで調べましたが、なるほど、映画やドラマでも活躍されていて、あまり関西の舞台で拝見する機会が無かったようです。

こんな自分の観劇に深く影響を与えてきた方々の公演。
コント集といったわけでもないし、といって演劇作品とまではいかないし、映像なんかも盛り込んだり、踊ったりとエンタメではあるけど。客を巻き込んだイベント要素もあるし。
まあ、よくは分かりませんが、面白かったです。
それも、凄く。さすがですね。多分、ご自分方にこれまでやってきた驕りでない自信がきちんとあって、面白さに力があります。

<以下、観に行かないと分からないとは思いますが、キーワードでネタバレすると困るので、公演終了まで白字にします。満席みたいですが、当日券は出るそうだし、何とか観に行って欲しいですね。公演は月曜日まで>

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2014年7月18日 (金)

青娥の夜曾 vol.6 140717

2014年07月17日 ク・ビレ邸 (5分、25分)

ポールダンサーなのかな、せんのさくらさんという方が、毎月、多彩な女性アーティストを集めて企画する公演らしい。
今回は、普段、小劇場を観劇していればお馴染みの四方香菜さんが、お得意の一人芝居でご出演されるということで足を運んでみた。
それに、ポールダンス。その存在すら知らなかったぐらいだが、今年の梅棒の公演で、IGさんがされているのを拝見して驚愕。それが、ここならきっと間近で見れる。それも楽しみに会場へ向かう。

ポールダンスでやはり驚愕。一人芝居で元気な気持ちになる。
短かったけど、そんな時間でした。

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2014年7月15日 (火)

女王たちの脅迫事件【劇団競泳水着】140715

2014年07月15日 Cafe Slow Osaka (40分)

非常に楽しい会話劇。
正直、もう少し、見たかったかな。
40分では、ビシっときまっていいところもあるが、面白かっただけに、もう一エピソードやエピローグがあるんじゃないと欲が出てくる。
ふんわり、淡い温かさの感じられる、人と人の触れ合いのお話。

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2014年7月14日 (月)

友達【sunday】140714

2014年07月14日 アイホール (120分)

安部公房の戯曲の上演。
不条理な設定の中に潜む、押し付けるという暴力性がやたら気味悪く胸に残りながら、登場人物たちの感覚のズレを楽しむような話でしょうか。
楽しむというか、自分でもどうしたらいいのか分からず、ただただ不安になるといった感じです。
観ていて心地いい作品ではありません。
でも、何か間違いだと感じるところに、自分たちが生きていくことへのヒントが隠されているようにも思います。
舞台はとても美しい仕掛けが盛り込まれており、それを存分に味わいながらの観劇でした。

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2014年7月13日 (日)

キリコの諷景【clickclock】140713

2014年07月13日 金比羅 FreeStyleStudio (60分)

リズムにのせて奏でられる言葉から描かれる、もう会うことが出来なくなった人への想い。
共に見た過去の風景を思い起こし続けて生きるのではなく、死と決別して、自分にふりそそがれる光から、自身の未来の風景を創り出す。
切なくも、出会いへの感謝、死への慈しみ、未来への希望を祈るように紡いだ素敵な作品でした。

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誰故草【虚空旅団】140713

2014年07月13日 ウィングフィールド (80分)

もしかしたら、今の現実から、そのまま進むと訪れるかもしれない恐ろしい未来の世界。
そんな世界でも、自分たちの幸せを見出すことが出来ることを、女性たちの軽快なトークから導き出そうとしているような話かな。
このままでは大変なことになるという不安を煽り、警鐘している雰囲気もあるが、それよりも、そうなった未来であなたはどう生きていきますかと問うているような感の方が大きい。
ある意味、もはや避けられない未来を自嘲して描いているようなところもあり、楽しく明るさを失わない会話の背景に潜む怖い現実に目を背けられないようになっている。

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2014年7月12日 (土)

喫茶がけっぷち【837B】140712

2014年07月12日 カフェ+ギャラリー can tutku (65分)

私の中で今、何も考えずに気楽にコメディーを観るならここだと思っています。
その想いを全く裏切らない作品でした。
キャラの個性、メリハリの付け方、起伏のあるテンポ、何かふんわりしたのどかな空気・・・とか、妙に観やすくて合うんですねえ。
感想は面白かったの一言です。

<以下、若干ネタバレしていますが、チラシに書かれている範囲と判断して白字にはしていません。ご注意願います。公演は日曜日まで>

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2014年7月11日 (金)

けれどスクリーンいっぱいの星【劇団未踏座】140711

2014年07月11日 龍谷大学深草キャンパス 学友会館3階大ホール (90分)

有名作品らしく、事前に簡単なあらすじと他劇団の公演での感想をネットで調べて観劇。
だいたいをまとめると、とにかく動きまくって、セリフもまくしたてての勢いあるコミカルな話といった感じみたい。メタ構造が巧みで演劇作品としても評価が高いようだ。
若い学生さんたちの公演だから、パワフルで熱量豊富な仕上がりをイメージしていたが、観終えた感想はちょっと異なる。
ずいぶんとスマートで、バランスのいい掛け合いが成されており、勢いだけに任せたような形には全くなっていない。それでいて、展開はきちんとスピーディーで、メリハリのある盛り上がりを実現している。
ここは何度か拝見していると思うが、こんなに技巧色を押し出す魅力を醸すところだったかな。
何とも、分かりやすく、劇団の巧みな技を感じる気持ちのいい観劇だった。

<以下、若干ネタバレしていますが、有名既製脚本でネットで色々と載っているので、白字にはしていません。ご注意願います。公演は日曜日まで>

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2014年7月 8日 (火)

火曜日のゲキジョウ【グランドキャニオン×Perfect Match】140708

2014年07月08日 インディペンデントシアター1st (35分+30分 休憩10分)

火ゲキが復活。
それだけで嬉しいですね。
新しい魅力的な劇団を見つけて、足を運ぶきっかけになることでしょう。
また、観劇、忙しくなるなあ。

久しぶりなだけに、今回は二組とも、コミカルをベースにして、楽しい作品に。
そこに、若い生き様の想いを込めたグランドキャニオンと、大人の恋愛味をつけたPerfect Matchといった感じでしょうか。

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2014年7月 6日 (日)

Bitter Sweet Samba -Life goes on-【TEAM☆RETRIEVERS】140706

2014年07月06日 インディペンデントシアター1st (95分)

シェアハウスに住むちょっと風変りな男女7人の姿を描いた作品。
その姿は、男女として、考えとして、生き方として共感できたり、反論を抱いたりするもので、ちょっと自分を見ているような感覚がこっ恥ずかしかったり。
色々なことを抱えて生きる自分たちが、同じく色々なことを抱える人たちと出会って、互いを見詰め合う中で、出てくる愛おしさみたいなものが感じられるような話だった。

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『坊っちゃん』【大阪現代舞台芸術協会プロデュース】140705

2014年07月05日 アイホール (65分+休憩10分+60分)

文豪、夏目漱石の坊っちゃんを二人の演出家によって創られた作品として連続上演する企画。
どうしてこんなに違うのかと驚くぐらいに異なる作品であったが、共通して見えてくるような坊っちゃん、漱石の一面もある。
漱石がなぜ、坊っちゃんという作品を創り上げたのかに想いを馳せるような、面白い公演であった。

<以下、作品の内容を記したところがあるので、一応ネタバレ注意。まあ、読んでも意味が分からないと思うので、白字にはしていません。公演は日曜日まで>

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2014年7月 5日 (土)

アメリカンバッファロー【北口裕介プロデュース】140705

2014年07月05日 シアトリカル應典院 (110分 休憩15分)

すごくイラつきますね、この作品。
登場人物の浅はかさが、滑稽というよりかは、嫌悪となって心に残ります。
また、翻訳されているからか、言葉に違和感があり、言葉の重みが全く感じられない。これがまた、登場人物たちの愚かさを際立たせて見せているようで、おいおい、どんだけダメな連中なんだよと。
アメリカンドリームやら、ビジネスやら、愛やら友情やらと語るわりには、ちっぽけなプライドに執着して大したことない金を追い求め、リスク管理一つも出来ない、自分たちの感情コントロールも出来ない無能さを恥ずかしいくらいに見せ、ずっと傍にいる人のことを信じることも出来ない。
腐った連中のクソみたいな一日を見せられたようで、気分が悪くなります。
まあ、これだけ嫌悪感を抱かせるほどに、役者さんの上手さがあったのでしょうが。

<以下、あらすじがネタバレしますのでご注意ください。海外の有名戯曲らしく、ネットで検索したら情報は出てくるので白字にはしていません。公演は日曜日まで>

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2014年7月 4日 (金)

四十六【劇団夜光鯨】140704

2014年07月04日 大阪大学豊中キャンパス 学生会館2階大集会室 (70分)

まあ、魅惑的な美しい舞台で。
公演が始まった時点で、もはや一つの成功をおさめているくらいの稀に見る秀逸の舞台セットでした。
そこに映し出される映像や、世界を創り上げる照明・音響も、素人ながら目を見張るものがあります。

作品としては46の奇異な数字をベースに、人の心に刻まれた想いを描き出すような話。
これまでの歴史の中で、創り上げられた形あるものに宿る想いと心の中で対峙しながら、そこに潜む悲しき想いに祈りを捧げようとするような感じでしょうか。

<以下、一応、ネタバレにご注意ください。きちんとしたあらすじも書いておらず、ネタバレと言うにはあまりにも稚拙でおこがましいので、白字にしていません。公演は明日、日曜日まで。美しい風景を観に行くだけでも価値ある公演だと思います>

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ディラックの花嫁【劇団ジャブジャブサーキット】140703

2014年07月03日 ウィングフィールド (105分)

前回公演の月光カノンは、どうしても日程調整できず、観に伺えなかったので、観たのは前々回公演になるのだろうか。
死ぬための友達。
この作品と非常に雰囲気が似ており、また、似た感想を抱く。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/120625-f118.html

何か推理小説を見ているような感じで、とにかく次はどうなるの、この後の展開はと、観ていて、完全にこちらが先走ってテンション上がってしまうのをよそ目に、淡々と冷静に話を進める。まあ、言えば、いじわるな作品だ。
登場人物は軽快でウィットに富んでおり、人間性も豊かなので、観ていて、くすりと笑いながら、とても楽しい。
でも、
メインテーマは科学なのだろうが、それに纏わる数々のテーマが浮き上がるような設定になっているらしく、その繋がりを組み立てていくだけで頭の中はかなりいっぱいいっぱいになっている。
そして、冒頭から隠されている謎が、じわじわと明かされていくものの、最後まではっきりとしない。さらには、謎が明かされようとすると、新しい謎がまた生み出されていくような感じで、途中から、もう、観終えても絶対、スッキリとはいかないなということが分かってくる。
最後に残るのはしっくりこない感覚と未来への漠然とした不安だろうか。
ただ、そこに、前回は友達という希望の象徴のようなものも感じられた。今回も同様で、今回は、人間が生きていく上での誇りや尊厳みたいなものかな。そんな本能的な人の大切なものを信じて、より良き世界に未来はなると思いたいみたいな。

こうして思い返すと、作品自体が今の社会の縮図のように描かれているのかなとも思う。
謎を隠す。科学だろうと、震災の汚染だろうと、大事なことは、どこかで知らない間に行われ、真実は隠されてしまっている。
少し、明らかになれば、新たな謎が出てくる。
謎が真実へのバリアみたいになっていて、本当の真実にまでたどり着けるのか。
科学はその次々に生まれる謎を打ち壊して、真実を手に入れるための手段として描かれているような感じである。
でも、そんな真実を明らかにしないと、未来は時間の経過として訪れるだけで、自分たちが歩んでたどり着くべき未来には決して向かわない。
それを警鐘するような、一つの謎の破壊により、その真実の核にまでたどり着いた残された者たちが、さらなる真実を求めて新たに旅立つといった形で話が締められていたような気がしている。

<以下、ネタバレしますが、公演が既に名古屋であり、9月には東京でもあり、公演期間が長いので、白字にはしません。大阪は日曜日まで>

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