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2014年7月26日 (土)

0号【ゲキバカ】140725

2014年07月25日 ABCホール (150分)

DVDで拝見して、生舞台で観れる日が来ればなあなんて思っていたが、意外に早く実現。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/dvd0-c7e5.html
<↑あらすじを少し書いているので、ネタバレ注意>
そして、その魅力は思っていた以上で・・・

笑いと涙を交えた感動的で、深く想いを馳せられる話。
ダンス・歌・殺陣と迫力あるエンタメ。
個性豊かな役者さん方の魅力。
人の想いに溢れた優しい温かさ。
上演時間の長さが気にならない惹き付け。
心を揺り動かされる、作品に込められた芯のあるメッセージ。
・・・

これまで拝見してきた数々の作品でも同様の感想を書いた作品はたくさんある。
もちろん、それは嘘でも何でもなく、心からそう思ったから、そう書いている。
でも、この作品、そうじゃないんだなあ。
同じこと書いているけど、もっともっと凄いわけです。
これを言葉で伝えたいけど、どうしたらいいんだろう。
お話できるなら、興奮して自然と声が大きくなったり、熱がこもるから分かるかもしれませんが、この無機質な文字では。
フォントでも大きくすれば少しは伝わるでしょうか。
最高
このブログで使える最大の文字サイズです。
こんなぐらいじゃ、ちっちゃいんで話になりません。

感想は、だいたい上記に記載したことや、リンク先の言葉そのまま。
今を大切に見詰めてみよう、そして前向いて歩いてみよう、きっと自分はやれる。そんな気持ちになれる話だと思います。

0号。
監督や役者さん、スタッフの方々、それを支える周囲の方々全ての血と汗と涙の結晶。
そんな想いがフィルムに刻まれた作品は、それを見る私たちの感動、そこから生まれる新たな想いをさらに刻み込んで、揺るぎない名作となっていくのかな。
先人たちの想いがたくさん詰まった、今の日本、世界。そこには、戦争の悲劇という言葉は避けられないものがあるでしょう。
今を生きる私たちは、それを見て、その想いを汲み取っていかなくてはいけないのかもしれません。
先人たちが創り上げてくれた今の世界は、この作品同様、名作なはずです。そこには多くの悲しみや辛さ、不条理の中でも懸命に自分たちの想いを貫こうと、愛する人たちと共に時を刻んできた。
私たちは、この名作に仕上がっている今の世界をきちんと見詰めて、それに感動して、この世界を次の世代の人たちも味わえるように繋げていかなくてはいけないのだと感じます。

登場人物を見直すと、年寄りと若者しか出てきませんね。ばんつるが、まあ中間層に当たるかな。よねもそこそこいってるみたいな感じですが。
作品のベース自体が、年寄りが一人の若者に自分たちの人生を振り返りながら、その想いを語るという設定になっています。その年寄りたちも、若き頃には、年寄りから、芯のある想いを感じさせられて、ひたむきに頑張って生きていこうとしていたようです。
作品の最後は、その若者が少しだけ自分を見詰めて、光ある前へと進もうとします。世代を超えて、あの当時の人の想いが繋がったわけです。
こうした繋がりが、これからの世界をきっとより良くしていくに違いないという希望を感じさせられるところです。

若者は、まだ自分で明確なものが見えなかったり、先が不安だったり、世の状況も先行きに希望を持てなかったり。どうしていいかと立ち止まったりしてしまうことも多かろう。
でも、今の年寄りの若い頃を投影してみると、昔も本当は同じ。戦争という不安の中、日本のこれからに希望を抱くことも出来ず、自分の才能に疑いを抱いたり、無理矢理でも信じ込んだりしながら、日々を過ごす。
もちろん、恋もして。
今の年寄りの生きてきたというこの事実が美しく、そこから自分たちが生きていくということに真摯に対峙することが出来るように感じる。

役者さん方、全員魅力的でしたねえ。みんな、いいシーンも与えられているみたいで。
一言だけ。役名はあらすじとかにも書いていませんので、今公演を観に行くか、DVDを見るかしましょう。

山田、伊藤今人さん。若者。おバカな感じを漂わせながらも、誠実な優しさを持つキャラになっています。しかし、今年は梅棒を超える作品とは出会えないか、梅棒自身の次の作品で超えるかしかないと思っていましたが、ゲキバカとしての今人さんがそこに喰らいついてきました。
後藤、中山貴裕さん。数々の無念を抱きながらも、こんなに明るく剽軽な姿になったのは、きっとそんな中でも何の悔いも残さぬように懸命に生きてきたからなのかな。
千代子、田中良子さん(AND ENDLESS)。何と素敵な女優さん。気品がある風貌に、穢れの無い清き心。
過去の後藤、村田洋二郎さん(AND ENDLESS)。上記した後藤を作り出したのだろうという、何事にも懸命で、前を向いて歩くことを厭わない強さのある男。でも、凄く不器用。
過去の千代子、三枝奈都紀さん(SOS Entertainments)。純粋がそのまま形になった女神のようなイメージの女性。ガサツとか田舎くさいとかもっさりしているという負の要素を全部、浄化してしまうぐらいの清らかさが漂います。
監督、鈴木ハルニさん。監督はやっぱりこの方ですよねえ。頑固で芯が通っていて。で、お茶目で。
みっちゃん、谷野まりえさん(PEOPLE PURPLE)。監督の天真爛漫な助手。自由に飛び跳ねるように楽しく時を過ごす女性。希望や夢が常に目の前にあるのでしょう。
坂東鶴三郎、浜口望海さん(STAR★JACKS)。また、めちゃくちゃはまる役をされている。昔気質の俳優さん。この道しかなかったから、ひたすら真摯に突き進む。そんな荒れ狂った強さのある男でした。
菊田、西川康太郎さん。クールで嫌な奴。といったイメージの方がDVDでは強く、後半、戦争のシーンになってから彼の本当に気付くみたいな感じでしたが、今回は前半から、自分の心の迷いを見せないための冷徹さのバリアを張っているといった印象が強かった。結局は、温かい人なのです。
さぶ、伊藤亜斗夢さん。愛くるしさが抜群。男の幼稚性をデフォルメしているのですかね。
ケンちゃん、菊池祐太さん。衝撃的でした。しかし、あの見事なテンポで運ぶ言葉と動き。あ然とはさせられましたが、あまりの惹きつけ方に、退場される時に拍手しそうになりました。
よね、一川幸恵さん。肝っ玉母さんみたいな女性。戦時中のあのたくましくて強い、そうでないといけなかった女性像なのかな。
遠山やんす、石黒圭一郎さん。しかし、この方・・・どうしてこんなに軽薄さを露出できるのだろう。もう名人芸レベルですね。
幸田、石井亜早実さん。素朴な感じなんだけど、力強い、これから先を常に見ている女性。みっちゃんのおとなしめな清楚版みたいな感じでしょうか。それにしても、可愛らしい魅力的な方だった。プロマイド買おうかと思ったくらいに。ダンスもされていましたね。おかげで、他のダンサーさんをあまり見ておらず・・・
望月武、福地教光さん(バンタムクラスステージ)。ぶれない冷徹さを基に粛々と行動する。これで、人を殴れば、よくこの方で拝見する役になりますが、今回は人を傷つけることはしませんでした。それ以上に、人々に辛いことを強いて心を傷つけていることを知っていたからでしょう。菊田と同じ、冷徹さで自分の中に本当はある温もりを冷まさないと仕方なかったのかもしれません。
あと、ダンサーさんが6人。妖艶、華やかなダンスに交えて、タップダンスなんかも披露されます。忍者姿とかにもなったりして、この作品のエンタメを色濃くさせるご活躍でした。

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