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2014年6月14日 (土)

はっぴーうぇでぃんぐ ~82回目の純愛だから~【しろみそ企画】140614

2014年06月14日 OVAL THEATER (105分)

とても素敵な話でした。
愛とは結婚とは幸せとは・・・
一つの答えを出していません。
その人の信じる形を尊重し、それで人生を歩んでいけるなら、そこに各々の答えが見いだせるのではないかといったような感じでした。
お得意の個性的なキャラが織りなすコミカルさ。最後に幸せを感じられるハートフルな話。
この劇団らしい、人の想いを信じ合える素晴らしさを語るかのような作品のように思います。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

結婚式場に勤める鈴木加奈。
長い物には巻かれろがモットーのような感じで、金にすぐ目がくらんで、ちょっといい加減な先輩女性と、もう80回もフラれ続けている後輩男性と一緒に仕事。この後輩男性、すぐに女性に真剣に惚れてしまうらしく、今日も結婚式中に新婦にプロポーズするというあり得ない行動を起こす。
両家には盛り上げるためと取り繕ったものの、生真面目な神父は神聖な結婚式で何たることをと怒り心頭。
こんな感じだから、加奈は毎日大変だ。それでも、ここでずっと働き続けるのには訳がある。訳と言うか、意地みたいなものか。自分が最後の最後で覚悟が出来ず、逃げ出してしまった結婚式・・・

そんな式場で、二組の問題多き困ったカップルを抱えることになる。
一組目は、ホストとの結婚式を控えた自由奔放な女性。女性の方は結婚にノリノリ。ホストに対しても異常なまでにラブラブだが、どうも様子がおかしい。
結婚式の打ち合わせにホストが仕事が忙しいやらで顔を出さない。一度、タキシードの試着で顔を出すものの、ナルシストっぷりを好きなだけ見せて、すぐに仕事の電話で帰ってしまう。どう考えても騙されているのではないか。そんな周囲の心配をよそに女性はホストを信じて疑わない。
しかし、結婚式当日、純白のウェディングドレス姿の女性の前にホストは現れない。ひどく落ち込む女性を前に後輩男性はいきなりプロポーズをするが、当たり前だが撃沈。これで81回目のフラれとなる。ハッピーとかけて82回目で全てをあきらめるつもりなのだとか。ということは、残り1回となる。
結婚式当日の遅く、ホストがやって来るが、どうも様子がおかしい。飲んでいないと女性恐怖症でまともに話も出来ないらしい。当然、女性とは店で出会い、店でしか話していないので、飲んだ状態でしか接していなかったらしい。
二人は出会うが、女性が抱き着くだけでホストが気絶し、話にならない。でも、これはホストが女性に想いを抱いているという証拠なのか・・・

もう一組は、財閥の娘とどこにでもいそうな普通の男。二人は片時も手を離さず、こちらもラブラブ。
ただ、大きな問題がある。財閥の娘は、母親から決められた官房長官の息子である婚約者がいる。金と権力を使って、あらゆる手段で二人を切り離そうとしてくる。
しかも、この財閥はこの式場のオーナーでもあり、社員としては、二人を手放しで応援することはなかなか出来ない。特に先輩女性は、何度も金と権力に惑わされ・・・
出会って、たった4ヶ月しか経っていないのだが、二人の愛は本物らしい。
親の目をくぐり抜け、この式場で逢引きをするものの、すぐに母親と婚約者のお迎えがやって来る。

そんな中、神父が有名女優の自殺を防ぎ、しかも子を宿していた彼女に真摯な説法を説いて立ち直らせたという事件が起き、この式場が一躍有名になる。
これを利用して、神父の記者会見と同時に、財閥の娘と政界の息子の婚約発表をしてしまおうという計画が企てられる。
もちろん、そんなことは嫌だと娘も、娘が本当に愛する男も抵抗しようとするが、親や婚約者は権力で追い込みをかけてくる。
そして、なぜか、神父は表舞台に出るのは嫌だと逃げまどう。

抵抗むなしく、ついに記者会見の日がやって来る。
娘はウェディングドレス姿で、婚約者は彼をどこかに監禁するという手筈を整え、会見場に現れる。
神父は逃げ出してしまった。実はこの神父も財閥の息子で、家に帰るのが嫌で、ずっと神父として身を隠していたらしい。しかも外人神父として。
神父がいないので、記者会見は後回しにして、婚約発表が始まる。
彼は監禁されているので助けに来れない。
このままでは、発表されて、周知の事実となって後戻りできない。
後輩男性が意を決して、娘にプロポーズする。時間稼ぎで使った82回目の最後のプロポーズ。
そして、その時、神父も戻ってくる。
いままで、多くのカップルを欺いてきた神父。でも、新郎新婦を祝福する気持ちは誰よりも大きかった。
今、どうしても祝福したい、しなくてはいけないカップルが二組いる。だから、全てを打ち明ける覚悟で、式場に戻って来た。
再びウェディングドレス姿になっていた女性の下に、ホストは駆けつける。酒の力を借りようと缶ビールを片手にしていたが、その力を借りずに自分の言葉で彼女に愛を伝える。
一組目は片付いた。
次はもう一組だ。
何か色々あるうちに、財閥の娘の婚約者はちょっと加奈に惚れ始めていたらしく、ちょっと色気で迫ったら、すぐに監禁場所を教えてくれる。
場所はチャペル。鬼の形相で許さないと暴れる母親をみんなで抑え込み、娘はチャペルへと駆けつける。
そして、そこで、二人は永遠の愛を誓い合う。

そんな姿を見て、ついに負けを認める婚約者。
でも、その目はもう既に違う方向を向いている。もちろん、加奈だ。
逃げ惑う加奈の手を掴む後輩男性。
82回目を使い切ってしまったので、残念ながらプロポーズは出来ない。
でも、きっといつの日か・・・

話は、これは本当に愛なのだろうか、結婚とは何なのだろうかといったことを、結婚を控える二組のカップルとその周囲の人たちの言動に、加奈が突っ込むような形で展開します。
加奈役の中山明菜さんの、荒々しさを魅せながらの見事な回しっぷりがとても素晴らしいです。
式場で働く人たちをはじめ、二組のカップルたち、母親と婚約者が、各々の姿を見ながら、愛とは、結婚とは、幸せとはを共に学んでいき、成長していくような感じです。もちろん、各々が出した答えはまちまちなようで、最後は収束することなく、ずいぶんとドタバタのままでバッサリと終えているようでした。
一つの答えに行き着かない終わり方は、基本的にあまり好きではないのですが、やはり愛とか結婚とか幸せとかは、各々の捉え方であり、その人たちが、それで愛というなら、結婚というなら、幸せというなら、否定など出来るわけもなく、肯定せずとも祝福はしたくなるのだなと感じます。
みんな、愛を伝えて受け止めて、幸せになろうとする道を自信をもって進めるようになったというラストで、これはハッピーエンドと言えるのでしょう。
道は人の数だけあれど、その道を歩む人たちが愛とか幸せとかを感じているのだと言うなら、それは素敵なことなのだと思います。

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