祭!2014 vol.3【足一】140610
2014年06月10日 かつおの遊び場 (100分)
一年振りに、思い立って観劇に。
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/vol1130128-8464.html)
今回はオープニングアクト、演劇、ダンス、一人芝居でした。
個々の感想は下記しますが、なかなかの作品が揃っていました。
ジャンルを問わず、表現というものに真摯に向き合っている若い方々の姿を観に行くだけで、何か楽しくなります。
毎月第2火曜日に12月まで開催されるようです。
特筆すべきは、毎月、エニシダワゴンの梶原くみさんが一人芝居をされることでしょうか。
今回、拝見した作品も相当なレベルで、これが毎月、しかも新作だというので、足を運ぶ価値が更に上がるというものです。
・F" : 足一
対立するような言葉をつぶやきながら舞台上に女性が上がって来て、指をあちこち挿しながら、機械的な動きをする。やがて同様に男性も入り込み、二人が交錯していく・・・
何でしょうか。いつもながら、コンテンポラリー系はなかなか頭を悩まします。
Fは関数の意味合いでしょうか。ある言葉が、何かに変換されてアウトプットされるような印象でした。それは世の善悪や表裏を導き出すような数式で、それにより全体を形作るような感じです。
舞台上の照明は機械の中を走る電気のような感じで、女性が動力系統、男性が制御系統のような機能で、信号を伝達して繋げていく。最後は、関数処理不可能なインプット信号が動力系統を暴走させたような形で終わっています。
どこか押しつ押されつでバランスを保つお二人の姿に、上記したような不思議な世界を想像しながら観ていました。
・願いを叶えない指輪 : ユニットエストロゲン
あ~した、天気にな~れ。
小学生の二人が靴占い。
どうも、明日は雨のようで、楽しみにしていた遠足が中止なってしまうみたいだ。中止になると、外交官の父を持つ子は、留守がちな父とも出会えなくなってしまうみたいで、何とかしたいと思っている。
てるてる坊主を作るものの、下手くそなので、すぐにちぎれるわ、出来ても逆さてるてる坊主になるはで。
そんな二人、怪しげな薬瓶に入った指輪を見つける。指輪はだいぶ汚れているが、FORと刻まれている。
この指輪が、これまでに見てきた歴史が描かれ始める。
一つなぎの輪とかいう伝説のお宝を求めて船を出す海賊。お宝がどんなものかは分からないがドーナツみたいなものだろうか。お宝を手に入れる夢を叶えたい頭。だったら、自分はあなたのためについて行きます。
王のために、願いを叶える指輪を作った錬金術師。ライバルの魔女は、その指輪を消し去ってしまう。でも、本当はその指輪はあなたに愛する想いを伝えるため。
戦争が続く国。平和を願う姫は、国民を守るため、制止する婆やを振り切り、自分の命と引き換えに指輪にその想いを託す。その命が、これからの平和な国に繋がれるように。
小学生の二人には、この指輪が何なのかは分からない。
出来ることと言えば、逆さてるてる坊主と一緒にくくりつけて、・・・
FORという誰かのためにと、輪という繋がる想いを描いたような感じだろうか。
この指輪は人の願いを叶えない。でも、誰かのために叶って欲しいという想いが生まれた時に、その願いは叶うようだ。
夢に向けて前へ進む海賊頭のため、平和を求める国民のため。
錬金術師が愛する人への想いを込めて作った指輪だから、そんなFORという文字が刻まれたのだろうか。
確か願い事は3つしか叶わないような設定だったはず。
最後は、父に会いたい、遠足に生きたいと願う子に対して、そうなったらいいなあと願った優しい子の想いを受けて、指輪は長き時間の役割に終止符を打つのだろうか。
とても心温かくなるような話だった。
と書きたいところだが、実際は芸人さん?と思わすようなハイテンションで色濃い女性お二人の弾けた姿を見せられながら、めまぐるしいシーン転換で話が展開するので、心が温かくなるというかは、場が温まるような感じである。
・独善主義No.幽鬱 : Gumi。
独り善がり。自分だけの世界。自己の肯定。暴走。否定。幽霊。憂鬱。
何となくだが、作品名のままにイメージして観ればいいような感じ。
髪の毛で顔を覆い、まあ、いわゆる貞子みたいな感じになっていたのが、最後の方は顔を出す。眼帯をしているのだが、片目だけでも少し自分以外の他人に目を向けられるようになったような印象だろうか。
そこから見たほのかな光が自己実現へと向かうのか。
アイドルみたいな容姿をされている可愛らしい方だったので、ダンス→演劇ときたから、歌担当なのかと思っていたから、その暗黒舞踏のような作品に度肝を抜かれる。下記するが、実は歌は次の作品だったのだが。
難しいが、その踊る姿には引きこまれるように魅せられる。
・ひとりSister Act : 梶原くみ(エニシダワゴン)
ショーで歌手として働いているメアリー。
カジノのオーナーのパトロンなのか、高いコートを着飾り、金には苦労していないみたいだが、本当の愛は得ていない様子。
私はもっと大きな舞台を目指す。そのためにも彼に別れを告げる。
そう強く決心して、彼の部屋に向かうが、そこで彼が人を殺すところを目撃してしまう。
見て見ぬ振りをして、その場を去るが、元々、冷酷な男だ。殺されてしまうかも。
しかも、友人曰く、彼は実はマフィアのボスなのだとか。
裁判が始まるまで、修道院にシスターとして身を隠すことに。
そこで任された聖歌隊の指揮。
ちょっと声出過ぎで目立ちすぎな人、自信がなく姿勢が悪くて声が出ていない人、その他もろもろ。
メアリーの指導は的確で、聖歌隊のレベルはどんどん向上していく。
神父は聖歌隊目当てで礼拝に来る人が増えて大喜び。修道院長は、伝統的な聖歌では無く、世俗的な歌を歌うメアリーに少し顔をしかめるが、メアリーによって救われたという他のシスターたちの姿を見て、彼女を仲間だと認めるようになる。
聖歌隊は有名になりコンサートを開くことに。
しかし、それが災いして、メアリーにマフィアのボスの刺客が向けられる。
メアリー、そして聖歌隊たちの運命は・・・
独り舞台。メアリー以外は数々のぬいぐるみたちがキャラとなります。
そして、そのぬいぐるみを使うことに数々の仕掛けが。
自分の輝ける場所を見出した一人の女性の話。
まあ、面白かったですね。
名作が、失礼ながらこんなちっぽけなライブハウスで今日、生まれたのかと思うと、その場にいれたことに大きな喜びを感じます。
ご自分の魅せ方を確実にものにしている梶原くみさんの貫録と、見事に計算された知的な仕掛けが見事の一言です。
そろそろ、INNDEPENDENT一人芝居フェスの予選が始まるようですが、この作品を越えるようなものは出てくるでしょうか。
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