TRIP!!!新撰組【斬撃☆ニトロ】140523
2014年05月24日 シアトリカル應典院 (90分)
公演が始まったばかりだし、好きな劇団ではあるので、言葉には気をつけたいと思いますが・・・
ブログだから、何でも好きなように感想を書いていいとは思ってはいません。
ただ、どうしても、総合的な感想となるといい言葉が出てきません。
当り前ですが、あくまで、一意見として捉えてください。
一言で書くと、魅力を感じない作品でした。
どうして、そんな感想なのかを、下記しています。
ネタバレ部分があるので、本来は白字にするべきですが、こういう視点で観てるからそういう感想なんだろうなということもあるので、そのままにしています。
ご注意願います。
そして、下記していますが、個々の役者さんが魅せている点では、楽しく観ることができる作品ではあります。
高校三年生の夏。
陸上部で青春を過ごした女子高生のアキラは、これからの将来を考える時期だ。
とりあえずは、大学に行く。
それから、どうしたいの。結婚は。夢は・・・
同級生の質問に、その明確な答えは持ち合わせていない。
漠然とよぎる不安を打ち消すように、クラウチングスタートで走り出す。
気付くとそこには、土方歳三をはじめとする新撰組前身の壬生浪士組の面々。
大阪にいたはずなのに、京都に。それも、時まで超えてしまった様子。
異国海軍の制服であるセーラー服を着ているので、斬りつけられそうになりながらも、いつの間にやら、そんな人たちと同じ時を過ごし始める。
新撰組の指揮者である松平容保、思想を異にする中岡慎太郎、幕府にとっての危険人物である吉田松陰もその場に一緒にいて、日本の未来について語り合う。
各々が、自分の考えで走り、その先を見詰めていた時代。
今、出来ることを自分は懸命にやる。それが、未来へと繋がることを信じていたのだろうか。
そこには、考えを異にする者への敵対よりも、自分自身の誇りをかけた、自分への大きな信頼が感じられる。
やがて、始まる池田屋事件。
教科書で学んだ知識では、尊王攘夷の諸藩浪士たちの襲撃を抑え、新撰組は世に名をとどろかせるはずなのだが、現実の戦いの場は、死と隣り合わせの厳しいものだった。
混乱の中、アキラは、みんなの生死を確認もできずに、現代に戻る。
再び、同級生たちと将来を語り合う。
先のことなんて分からない。やり残したことの方が多いし。
やり残したこと・・・
アキラは、もう一度、走り出す。
そこは会津戦争まっただ中。
新撰組の面々とも、無事、再会を果たすが、新政府軍の勢力はとどまることを知らず、かなり不利な状況に。
そして、かつては共に語り合えていた者同士も、敵と味方に明確に分かれた戦争となっている。
この戦争を止めることはできないのか。みんなを生かす道は残されていないのか。
吉田松陰の調停案も、新撰組には通じない。
アキラも必死に戦う土方歳三に訴えるが、彼女は知っている。
この先、続く新政府軍との戦いに最後まで生き残り、五稜郭で最期を迎えることを。
それでも、土方は走り続けるという。それも、笑って。
そんな言葉を聞き、アキラは笑顔で、自分の未来に向かって走り出す・・・
本気で走る。
あなたは、陸上部だから、それを知っているでしょう。
でも、その時、あなたは笑っていますか。そして、周りの人も、それは敵も味方もみんな笑っていますか。
私は、あの時代に、まだ見ぬ未来を見詰めて、笑ってがむしゃらに走りました。
敵を憎むのではなく、自分の信じた道を貫きたいから、その先に必ず輝く未来があると信じていたから、笑って走れました。
そのバトンを引き継いでいる、今から遠い未来に生きるあなたも、時代が違ってもそうやって走って欲しい。
その先に、あなたにとって輝く未来が生まれることを信じて、走ってください。
志半ばで倒れるであろうことは、辛く、悔いが残って仕方ありません。
でも、自分が笑って走り続けた誇りは決して失いません。
未来を見つめて走り続けた誇りが、先の時代に伝わっているなら、より良き日本を願った私たちにとっては、それで本望なのかもしれません。
観終えて、そんな、かつての浪士たちからのメッセージが浮き上がるような気がします。
ただ、上記したように、作品としての魅力はほとんど感じませんでした。
土方歳三を演じる、心に響く心情こもった言葉を発し、たたずまいがとてもかっこいい櫟原将宏さん(DACTparty/イチハラ会)や、アキラを演じる、等身大の女子高生の不安や葛藤、現代を生きる中でのあの頃の時代感覚との違和感へのとまどい、心が晴れた時の純粋な笑顔がとても素敵な平田真希さんをはじめとする、魅力的な役者さんの姿があってもです。
この他にも、殺陣やダンスなどのエンターテイメントを含めて、個々の役者さんが非常に魅力あるのは間違いありません。
そういう視点ならば、この作品は面白いのでしょうが、やはり、私は話を優先して観てしまい、そうなると、言葉が悪いですが、非常に浅く感じるのです。
言うなれば、ただ、史実に合わせて、その人物を使って、面白おかしいことをさせてみた。そこに、潜むメッセージや想いは全くと言っていいほど感じることができず、上記の感想もかなりこちらで盛り上げて、こういったことを伝えようとしていたのではないだろうかというものとなっており、観劇中に感じたことではありません。
開始15分でいきなり始まる大喜利で、オープニングからの惹き付けが離れる。
50分頃に登場する日替わりゲスト。この回は、坂本アンディーさん(がっかりアバター)でしたが、先日、拝見した作品での素晴らしいという気持ちを帳消しにするくらいの妙な空気が漂う。
続いて、繰り広げられるダンスなどのエンターテイメント。魅せられるのは魅せられますが、いったい、この作品は何を魅せたいのかに大きな疑問が生じ始めます。
この時点で、もう話はどうでもいいやくらいの感覚になりました。
完全に話が途切れてしまっているのです。
残り30分程度で、熱い言葉が飛び交いますが、正直、私の中では、積み重ねも一体感も無くなっているので、バラバラに散らばった細切れの言葉があるだけで、心揺らがされることはありませんでした。
そして、バッサリと切るラスト。本当は感動していれば、余韻の残るいいラストのような気がしますが、上記した状況なので、あっ、終わったんだねといったぐらいにしか思えず。
かなり厳しい観劇でした。
これまで何作か拝見してきた中で、もちろんいまひとつなんてものもありましたが、大半は自分の心を見詰めた興味深い作品が多かっただけに、これはまだ完成していないのではないかと思ってしまうくらいの出来だと感じています。
前回公演がどうしても観ることが出来ず、相当な期待をしていたのですが・・・
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