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2014年5月 6日 (火)

めいめい、ぐるり、ゆめゆめ、いずれ【Noisy Bloom × 進劇銃題やぎゅり場 共同企画】140504

2014年05月04日 芸術創造館 (115分)

この日は出かける予定だったのだが、どうも評判がいいようで、しかも何となく新鮮な感覚で観られる作品なのではないかと私の嗅覚が働き、足を運ぶ。
ついこないだ1500本観劇を達成しただけに、私のいい劇団、作品を嗅ぎ付ける力も大したものである。
未だ、さっぱり分からずという作品にたくさん出会う割には、そんな力だけはしっかりと育っているようだ。

恋愛をベースに、様々な愛の形が崩れてしまった人たちが現実逃避をしている世界で、その愛を取り戻していくような話だろうか。
銀河鉄道の夜、女性による恋愛バージョンみたいな感じかな。
銀河鉄道の夜みたいと言っても、ずいぶんと分かりやすくストレートな話の展開である。ただ、それが話の展開が容易に読めてしまったり、設定としてはありきたりかなと感じてしまうところがあるのだが、このあたりは、逆にそんな中で、難しいこと無しに、そのままのストレートな心情表現を思いっきりぶつけてくるような感覚で、作品の魅力となっている。

現実逃避世界の電車の旅の中で、見つける愛の形。
それは、もちろん愛の素晴らしさを感じさせるものではあるのだが、ファンタジーのような設定の割には、けっこう残酷だなと感じさせる厳しい一面も描かれているように感じる。

気付くと電車の中にいる女性。
車掌に切符を促されると、買った覚えもないのに切符がポケットに入っている。
この電車は螺旋電鉄環状線、夢の底行き。停車することなく、永遠に走り続ける。
停めたいのなら、先頭車両に行き、運転手と会えばどうにかなるかもと車掌に言われ、女性は先頭車両に向かって進み始める。
それまでの3つの車両で、様々な人たちと出会い、自分のことを思い出して行く。
この電車は現実逃避をする人たちが、永遠にその中で彷徨うための空間だった。

双子の姉弟。
言葉が喋れず知的障害の弟。
姉は、弟を愛し、しっかりしなくてはいけない気持ちと、親からの愛情が全て弟に委ねられることへの葛藤。
弟の手には、母がご褒美としてくれるキャンディーの詰まった箱。
自分のことで、姉が自分の生きる道を停めてしまっていることに悩む弟。ずっと、このままではいけない。姉は自分のことを考え、人生を歩んで欲しいと願う。
弟は切符を始めから持っている。
切符の無い姉を残して、弟は電車を降り、姉の下を去っていく。

女の子と機械人形。
機械人形が切符は持っているみたい。
父である博士が作った機械人形に恋をする。
でも、機械人形が自分に優しく接してくれるのは博士のためであると考える女の子は、葛藤の中で博士を刺してしまう。
博士は妻の後追い自殺をしたと機械人形には嘘を付き、その嘘を閉じ込めた繭を持つ。
しかし、その事実を本当は機械人形もずっと知っていたことが明らかになる。
機械人形は、女の子に博士のことをしっかり受け止めて、また自分の生きる道を歩んで欲しいとずっと願っている。
嘘がばれて、全てが終わったように振る舞う女の子に対して、女性はイラダチを感じ、その手にする繭を壊してしまう。
愛されているのに、そのことを素直に受け止めず、疑心暗鬼になって相手と接する。その大切な相手の想いを無駄にしてしまう。そんな甘さが許せなかったみたいだ。
そして、その甘さを持つ女の子の姿が、今は完全に思い出せないが、自分を映しているように見えたからのようだ。

妻が亡くなり、その形見である手鏡の中に妻の幻影を見出す男。
男は鏡の中に映る、自分にしか見えない妻と日々、話をして、過去の幸せだった時から、生きる時間を停める。
女性は、そんな男のすぐ隣に妻の姿を見出す。でも、それは男には見えていないようだ。
妻は、自分の死を受け止めて、自分を愛してくれた男にまた人生の歩みを取り戻して欲しいと願うが、その言葉や姿は男に伝わらない。

ようやくたどり着いた、先頭車両。でも、誰もいない。運転手も。
女性は、後を追ってきた車掌と話をして、自分のことを思いだす。
同棲中の彼氏からはまだ、結婚の話が具体的には上がらない。
妊娠の兆候が体に現れている。不安。
そんな時に、彼が違う女性と寄り添っている姿を目撃してしまう。
女性は、自分のお腹の中の子を刺して、一緒に死のうと試みるが、勢いで彼氏を刺してしまう。
そして、気付くとここにいた。
車掌は女性から生まれてくる予定の子供。
現実逃避しようとして、自暴自棄になっている女性に、自分がしたことを受け止めさせ、現実の中でもう一度、生きて欲しいと願う。
女性は気付く。
この列車の運転手は自分。同じように現実逃避する人を巻き込んで、電車を走らせてしまったみたいだ。
いつの間にか手にしていた切符は無くなっている。
停めるためには、一緒に乗ることになってしまった乗客たちを解放してあげること。
女性はこれまでの車両に戻り、出会った人たちをここから降りさせようとする。

取り残された双子の姉。
褒められることで自分の存在を何とか見出そうとしていたのか、手にはキャンディーの箱を抱えている。
弟が戻ってくる。
これまで自分のことを大事に想ってくれた姉からの愛情は十分過ぎるぐらいに受け取っている。自分もそんな姉を愛している。その表現が現実世界では上手く出来ないから、こんなことになったのかもしれない。だから、ここを一緒に降りて二人でこれからを生きていく。
そんな弟の決意に姉は、自分を取り戻す。そして、キャンディーの箱から、ずっとその時を待っていたかのように切符が出てくる。

壊れた繭の傍で呆然としている女の子。
機械人形は博士から託されていた懐中時計を女の子に手渡す。
それには病気で先が短いことが分かっていた博士からのメッセージが詰まっていた。
博士からずっと大きな愛を受けていた女の子。
女の子は自分がしたことを真摯に受け止め、さらにはほんの少しだけ安堵を得たのかもしれない。
繭の中には切符が入っている。
二人は電車を降りようとするが、自分のことは思い出として、女の子には本当の恋愛を通じて人を愛することを知って欲しいと思う機械人形は自分を動かすためのぜんまいを女の子に手渡して、女の子だけを電車から降ろす。

手鏡を相変わらず見詰め、現実逃避し続ける男。
死してもなお、その妻への愛情は変わらない。
女性は、彼氏に裏切られたと思っているので、その姿は、ある意味、羨ましさもあり、完全に否定も出来ないところがあるのかもしれない。
でも、女性はこの電車の中で、現実の中にいる自分自身と対峙している。
そこで、見たものは、彼氏は決して女性を裏切ってなどおらず、むしろ、そろそろけじめをつけて結婚をしようと考えていたことを知ってしまう。
寄り添っていた女性も自分の婚約指輪を選ぶために付いてきてもらった人だったようだ。
完全な勘違い。相手への信頼の不十分。
女性は妻から、男の手鏡を割って欲しいと頼まれる。
大切にしていたものだが、それが男の人生を停めてしまっている原因なら、愛する人の人生を取り戻すために失ってしまうことに悔いは無い。
女性は手鏡を壊す。
男はそれで始めて、自分の傍に今でも妻が寄り添ってくれていたことを知る。
でも、男が次にとった行動は自殺だった。
割れた手鏡の欠片で自分を刺して、自らが妻の傍へと向かう決断をした。
男の手にしていた切符は女性に渡される。
その切符で女性は電車を降りることが出来た。

現実に戻った女性。
目の前には倒れた彼氏がいる。
自分がしたことを受け止める。そして、これから出会うであろう子供に愛を捧げる。
女性が警察に電話をしようとしたところ、・・・

弟を通して受け取る母からの愛。博士の存在を介して感じる機械人形からの愛。自分に都合のいい幻影を創り出し、そこから求める愛。そして、相手への信頼が欠けた恋愛。
そこには、確かに相手を想う気持ちが溢れているのだが、それが色々な障害のために伝わり合わない中で、逃避してしまうような姿が見られる。
その伝わらなさに現実世界の苦しさや切なさを感じたり、それでもそこに潜む真摯な愛情に感動したりするのだが、全体的な印象は、どうもそんな愛の形の否定のように感じた。
3つの愛は、いい言葉が見つからないが、未熟な愛のように思う。
その未熟さを成熟させるのが本当の愛なのだろうか。そこに至らすことが出来ないで、逃げてしまう。場合によってはその愛自体を否定してしまう。
そんな考えを持って、逃避して彷徨っている人を、厳しくそれではいけないことを言及しているような、少し残酷な印象の方が大きい。
ただ、それは、この作品の中に、本当に人を愛することを突き詰めたいような精神が宿っているようにも思う。
愛の大きさに、苦しさに耐え切れず、逃げてしまった人を優しさで包み込むような感じではなく、その愛の厳しさを目の当たりにさせることで、愛すること、愛されることがどれほど大変で、そしてどれほど素晴らしいことなのかを伝えているかのようである。

総じて感じるのは、愛は相手への感謝、信頼、素直な気持ちの上で成り立つようなことだろうか。
そして、愛だから、相手あってのこと。
二人で育む愛ではあるが、何か歪んでしまったりすることもあるだろう。そんな時も、一人で苦しむことは無い。相手がいるのだから、一緒に苦しめばいい。それを拒絶して、逃げてしまうことは、上記した感謝や信頼を失ってしまっていることであり、素直にしんどくなったことを相手に伝えられていないことになるような気がする。
と言っても、現実にはそんな簡単なことでは無い。
逃げ続けて、そのまま収束してしまった愛や人からの想いが実際はどれほどあることか。
そんな悲しい最期を遂げてしまった愛や想いを慈しみ、もう取り戻せないにしてもその経験を大切にして、これからに繋がれていかないといけないななんてことを考えながら帰路に着く。

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