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2014年4月 4日 (金)

MISHIN いつものお花のカーディガン【苺町】140404

2014年04月04日 TORII HALL (75分)

急いでブログを書こう。
この後、20:00から仕事、土曜日はずっと仕事なので、週明けにでも感想を書くつもりだったが、少し気が変わった。
金曜日のお昼の公演だったこともあるが、空席が目立つ。恐らくは、この回だけ特別だったのだとは思うが、観終えて、少なくともこのバージョンはかなりいい作品だと思う。少しでも多くの方に観てもらいたい気持ちになるようなほのぼのした、温かい話である。
もう一つの、あの日のチェックのロングスカートのバージョンも連動した話らしいので、面白さに変わりは無いだろう。こちらは上記したように私は観れずで、非常に悔しいところだ。

天使か妖精かの雰囲気を漂わす可愛らしい古着屋の少女ミシンを演じるいわさきみきさんと、純粋でまっすぐな気持ちを持つ好青年の記者アルフレドを演じるみつもりさんの微笑ましい恋物語。
その恋は、若さや幼稚さを醸すものであるが、そこから生まれた二人の好きという気持ちが、本当の幸せとは何なのかということに導いてくれているような話だった。
ミシンとアルフレドの共通の友人がエリーという女性で作・演の大牧ぽるんさんが演じる。役どころ的には本来はキューピッドみたいなはずだが、ここでは二人のことをしっかり見詰める、ちょっと世話焼きのお姉ちゃんみたいな感じになっている。メイドのような姿はそんな二人のお世話をするという象徴なのだろうか。
三人芝居だが、この三人のキャラを活かした絶妙なバランスもなかなか心地いい。

正直、必見とまで書くつもりはないが、今週はここ数週間に比べると少し公演数が少ないはず。日程調整すれば、どこかに組み込めるのではないか。
ほのぼのと幸せな気持ちになって、今の季節にふさわしい爽快な気分を得るのにいいと思う。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

町外れの森にある古着屋。
選んでもらったここにある服を着ると幸せが訪れるのだとか。
常連客のエリーは、いい記事が書けないといつものごとく泣きついてくる記者のアルフレドにそんな店を紹介する。
売れない記者アルフレド。幸せとはみたいな記事を書くつもりだが、今の原稿はどうも理屈っぽくてあまりいい感じじゃない。少しでも、そのネタになるならありがたい。記事になれば店も繁盛するだろうし、ウィンウィンの話ではある。

アルフレドが店に向かうと、店の中は床にまで散乱する古着でいっぱい。
そんな山積みの服の中から出て来たのは、ミシンと名乗る少々変わっているが元気いっぱいの明るい女の子。
こんなさみしいところで、ずっと一人っきりで店を開いているらしい。でも、一人だけどさみしくはない様子。服たちとお喋りできるらしい。信じられない話だが、まんざら嘘でもなさそうだ。アルフレドが着ている服を見て、自分が考えている記事の原稿を言い当てたりしたから。
さらには、人間じゃないなんて言っている。こちらはどうなのかは分からない。変わっているといえ、見た目はごく普通の可愛らしい子だし、甘いココアが大好きで、いつもお腹をすかしていて、よく食べる今時の若い子と何も変わらない。
ただ、服を愛する優しい子であることは間違いなさそうだ。
亡くなった友達が大切な人に見てもらうことが出来なかった服を着ているみたいだ。その服に宿る持ち主の想いをいつまでも大切に繋いでいく気持ちを持って、店もやっているみたいだ。

確かに面白い話ではあるが、少し突拍子もないところがあり、記事にするのは、今回はスルーすることに。
でも、アルフレドは、その後もミシンの下を訪ね続ける。毎回、自由奔放なミシンに翻弄されながらも、心惹かれていく。そして、その気持ちが好きだということに気付くのに多くの時間はかからなかった。
そんな気持ちは、心の中に隠していても、服には現れてしまうらしい。服の言葉が聞けるミシンは、アルフレドの自分が好きという気持ちにすぐに気付いてしまう。
その気持ちはミシンも同じだったみたいだ。私もアルフレドのことが好き。純粋なミシンはあっさりとそんな言葉を投げかける。
ただ、彼女は本当に人間ではないのか、好きの気持ちに色々あることを知らない。服が好き、町の人が好きと同じ感覚で言っただけだったみたい。
ミシンのことをよく知るエリーは、そんなやり取りを聞いて、彼女にそんなことを安易にアルフレドに言ったら大変なことになると嘆く。

記者は当然のごとく、頭の中は恋心いっぱいで何も手つかずの状態に。
そんな中、ミシンは、エリーに注意されたことを勘違いして、わざわざアルフレドに好きじゃないと嘘をつく。
近づき合った二人の心に隔たりが生まれ、二人の間に別々の時間が流れ始める。
ミシンは、その日から服の声が聞けなくなる。そして、寂しい気持ちを感じ始め、自分がアルフレドに抱いた気持ちが本当の好きだったことに気付く。
アルフレドは自分が幸せだと思っていた。でも、あの日から、自分は不幸せだと感じるようになった。大切なものを失う悲しみを知った時、本当に大切なものを大事にしたいという気持ちが芽生える。
そんな二人は、もう一度、引き寄せられるように出会い・・・

微笑ましい二人の恋物語。
大切な友人を失った悲しみを背負うミシン。大切なものが何なのかをよく考えることが無かったアルフレド。
二人にとって、自分の幸せは、自分の身近にある、今、大切な存在に気付くことだったのだろう。

大切な人やものとの出会いやお別れだけで、人は幸せにも不幸にも本当はならない。
その人やものに宿る想いを受け止めて、そして、そのことから自分が抱く想いを胸に、今、出会った人と共に前へと歩んでいく。それが本当の幸せなのではないか。
不幸なことは、そんな出会ったり、お別れした人の想いから目を背けてしまうこと、それを昇華せずに心に抱え続けてしまうこと、そして、今、出会った人の想いに気付かないことのような気がする。
二人は、互いに心惹かれて生まれた、好きという気持ちからそんな幸せの考えを掴んだように思う。
最後は、アルフレドが書いた、ミシンとの出会いによって感じ取った本当の幸せを語る記事で締められている。
とても素敵な作品だった。

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コメント

いつもありがとうございます!!嬉しいお言葉!!
あの時間だからこそ見ていただけてよかったです。本当に!!

久しぶりにめっちゃ幸せなものを書きました。こんな恋愛してみたいなぁ・・・なんて思います←

投稿: 大牧ぽるん | 2014年4月 5日 (土) 00時52分

>大牧ぽるんさん

公演中のお忙しい中、コメントありがとうございます。

確かに、もう何なんだよ、あの二人っ(*^.^*)
ってなるような幸せっぷりでしたね。
こんなのも気持ちいいものです。
楽しめました。

残念ながら、もう一つのバージョンは観れそうにありませんが、残り公演もご活躍ください。

投稿: SAISEI | 2014年4月 5日 (土) 13時13分

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