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2014年4月30日 (水)

IN HIS THERTIES【かのうとおっさん】140430

2014年04月30日 芸術創造館 (130分)

TOKYO PLAYERS COLLECTIONのIN HER THIRTIESの完全のっかり企画。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/in-her-thirties.html

笑ったなあ。
めちゃくちゃおもろいやん、これ。
ただ、本家の女性バージョンみたいに、作品中に描かれる男から、自分の生き方を見詰めてみようなんて、ちょっと真面目に足を運んだところがあるのですが、これでは、それはちょっと・・・
まあ、それでも、少し、ブログに感想を書きながら考えてみましたが。

あきれ返るようなひどいエピソードの連続ですが、けっこうリアリティーがあり、男って確かにこんな感じだなと思わすところも。
それでも、決してふざけているのではなく、その時その時は真剣だったりするのです。
まあ、そんな生き方でも、別にいいのかもしれないよ。親も息子も多分、同じ感じになるから。みたいな、自分の思う道を進め。そして、その時にいつも、自分のためではなく、それが家族や友人、周囲の人たちのためになると信じているのなら、やってみろ。といったようなメッセージが込められているような気がしています。

舞台は半円形に10個の椅子が並ぶ。真ん中にアクティングスペース。
30~39歳の10人の役者さんがそこに座るという、本当にIN HER THIRTIESにのっかるんだと思ったのも束の間。
オープニングは、各年齢の半裸の男優さん方が次々に舞台に登場。一般的な30歳代とは思えないテンションで、決めポーズ。
30歳代の女性を深く描き、心揺さぶられる感覚を得た本家の作品とは設定を同じくしただけで、中味は30歳代の男のおバカな姿を描くのだろうかなんて思っていたら、その設定もちょっと異なる。
一人の男性を29歳と30歳代の各年齢の役者さんが演じるという基本設定は同じものの、その人の過去を振り返るというよりかは、順番にバトンを繋げて、30歳代の出来事を面白おかしく再現している。
そして、その生き様は、その人の父や息子にも繋がっているような男のくだらないけど、大事な夢を追う姿として浮き上がらせているような感じの作品になっている。

大阪のある会社に勤めるサラリーマンの男、29歳。
27歳で職場関係の女性と結婚し、3ヶ月後には息子が生まれる。ローンが大変だが、家も購入した。
父として、息子には恥ずかしい姿を見せたくない。
一生懸命働いてはいるが、実際の仕事は土下座してでも何とかしなくてはいけないというかっこ悪いことも多い。
30歳を迎え、このままでいいのだろうか、冒険するなら今かもしれないと、ふと悩むことが多くなった。
そんな時、昔のバンド仲間の男と出会う。
彼は空間デザイナーとかいうシャレた仕事をしており、怪しげではあるが一応、外人ともコミュニケーションを取ったりしながら、社交的な生活を過ごしているみたいだ。ずいぶんとかっこよく映る。
そんな彼は、バーを開店しようとしているらしい。もちろん、そんな簡単に経営が出来るとは思えないが、無菌豚という秘策があり自信満々。
一緒にやらないかと誘われる。
奥さんに相談するが、猛反対されるのは当たり前だ。
それでも、今しかないと覚悟を決めて、会社を辞めてバーで働くことに。
奥さんには別居を言い渡され、家を追い出される。
ワンルームの汚いアパートが今日から住処に。

バーの経営は全くうまくいかない。
無菌豚はさして人気が出ないし、経営術を知らないのか、バイトも過剰に雇い過ぎ。
あれだけ自信満々だった仲間も、先行きが不安過ぎて、目がうつろでちょっとおかしくなってしまっている。
頼みの綱は、友人だけ。ほとんど、毎日、飲みに来てくれている。
たまたま、来てくれた前の会社の後輩は、ずいぶんと出世したみたいだ。
選択を誤ったか。と言って、引き下がるわけにはいかない。
ある日、奥さんが子供を連れて店にやって来る。
ガラガラの店の状態を見て、やり直そうと思ったけど、やはり無理だと去ろうとする。
必死に引き止め、この窮地を救うために開発した新カクテルを飲ませるが、これがひどい味。完全に決烈。離婚届を手渡される。
さらに、食中毒騒ぎで店は営業停止。仲間はとっとと諦めてどこかに姿をくらましてしまった。
残ったのは連帯保証人になっている莫大な借金。取り立て屋がやって来て、一文無しに。
地獄の31歳。

フリーター生活。
32歳。こんな32歳じゃ、誰にも相手にされない。ましてや、女性なんかには。
正社員の見込みの無い職場でバイトリーダーとして、大学生バイトと一緒に働く。家に帰ればネットゲーム。
心配して、バーに飲みにも来てくれていた友達が外に誘い出す。
そこで出会った女子大生。
フリーターとは言えないので、空間デザイナーだなんて嘘をついて、付き合い始める。
激しくセックスを求める若い女子大生には正直まいるが、それでもまだ若い。サプリでも飲めば、すぐに元気に。
この世の春が到来。
ずっと出せずにいた、離婚届にも遂に印を押す。
でも、ある日、好きな人が出来たとか言われてあっさりと破局。
残ったのは、女子大生につぎこんだ膨大な借金。
おまけに一番頼りにしていた友人が海外へと旅立ってしまう。
彼に高級車を残して。どこまでもいい友人だ。
高級車を売り飛ばして金にするものの、借金の一部しか返せない。

33歳。
肉体労働で稼いで借金を返す生活。
丼をかきこんで、生中を一杯。寂しい生活だ。
しかも、今の建設現場は前の会社の新社屋。あのまま残っていれば、いい地位、金が得られていたはずだ。
残った後輩はいい思いをしていることだろう。と、それだけでは無かった。後輩が奥さんと付き合っているみたいだ。巧妙さがある後輩。どう考えても奥さんのことは、セフレとしか思っていないはず。
でも、もう離婚している自分が奥さんに口を出せるわけも無く。
後輩と話し合うが、相手にもしてもらえない。後輩は会社でも相当に重宝されているらしい。
仕事がそんなに出来ただろうか。どうも、上にうまく取り入っているみたいだ。たまたま、後輩が落とした写真を見て、それも納得する。
傷心の中、町を歩いていると、悪そうな人たちとぶつかる。
ボコボコにされるが、何とその人は以前のバーでも借金取り立てに来た組長。隣にはなぜか、あの時の仲間もいる。組の方でお世話になっているらしい。
今、その組では、建設現場の会社の土地を訳あって狙っているらしい。そのため、上層部のスキャンダルを探しているそうだ。
後輩が落とした写真を見せる。それは会長とアイドルタレントの密会現場を写したもの。
大喜びされ、情報代として多額のお金と、しかも組に入れてもらえることに。
これで、後輩は会社から抹殺されることになるだろうが、いたしかたない。
もう、自分は悪になるのだから。
それから、悪いことばかり。でも、儲かる儲かる。
そんな中、女子大生と再会。
もうしょうもないラブホテルに行くことも無い。超高級ホテルへ。
万事うまくいっている。のはずだったが、そのホテルに女子大生のお父さんが現れる。それが何と組長。
着のみ着のまま逃げ出し、大阪には二度と戻れなくなる。

流れ着いた先は愛媛県宇和島。
そこで、働きもしないヒモのような生活を過ごす。
お金は拾ってくれた女性が毎日1000円くれる。
釣り、パチンコ、牛追い祭り・・・
暇で仕方が無い。
着ていた服を脱いで、また着直す。そんなことでもしないと時間が潰せない。
そんな中、女性の昔のヒモが現れる。
どちらもすっかり生きる気力を失ったヤサ男。
決着をつけるにも至らず、毎日500円ずつもらうことで妥協し合う。
34歳。
1年経って、毎日500円では厳しいことに気付く。
女性にどちらか一人を選んでもらう。

選ばれなかったので、お遍路に繰り出している35歳。
もう死んでもいいと思っているので、昔のことが次々と走馬燈のように思い浮かぶ。
ある日、遠足で愛媛に来ていた息子と偶然出会う。向こうは自分が父だとは気付いていない。
懐かしさのあまり、正体を隠して少し話をするが、奥さんは後輩と結婚したらしい。それも、出来ちゃった結婚。妹がいるそうだ。
あまり大切にはされていないのだろう。みんな弁当なのに一人だけパン。だから、少し仲間外れにされている様子。
息子と別れて、決心する。就職しよう。
でも、これだけブランクがある人を雇ってくれるほど、甘くは無い。
息子のために何かしてあげたい。生命保険。自殺。
そんな覚悟をして、自殺マニュアルに従って、練炭自殺を試みるが、あることを思い出す。
海外で死んだことにすれば、保険金は息子の手元に入り、さらに自分は死なずにすむ。組で働いていた頃につけた知識だ。
今はインドにいる友人に協力を頼んで、計画を実行するために、インドに飛び立つ。
でも、その計画があさっり失敗。指名手配されて追われる身に。
遂に包囲され絶体絶命の時、友人から告白される。ゲイだったらしい。だから、あんなに色々と助けてくれたのか。
でも、そんな友人を裏切り、自分だけ船で逃亡。難破して漂着。
途中、あのバンド仲間と海上で再会するが、特に何ということは無い。
何とか助かり、喉がカラカラなので泥水を飲む。

インドで泥水なんかを飲んでまともにいられる日本人はいない。
36歳は病気との戦い。
マラリア、デング熱・・・
寺院に拾われ、寝たきりの生活。
出来ることは蚊を潰すことぐらいか。
あと、ちょっと現地の看護士さんに恋心を抱く。

1年の闘病を乗り越え、37歳。
命が助かったことからか、宗教にはまる。
教祖様に付いて、寺院で活動を行う。
でも、そんな教祖様はキングコブラに噛まれて他界。
後を継いで活躍。
テレビ放送にも出演する。指名手配されているのに。

38歳を刑務所で迎える。
友人や奥さんが面会に来る。
裏切ったり、迷惑をかけた人たちだが、まだ自分のことを想ってくれていたみたい。
でも、これでそんな関わりも終結となるのだろうか。

出所し、実家の母の下に。
39歳の誕生日。生活の苦しい姉からは商品券2000円、兄からは工場の製品であるタオル1枚。
母からは、しいたけ畑の小屋の鍵。ブランドしいたけで勝負しようとしているらしく、きっとそれで生活できる。もし、就職が出来なくても、そんな道もあるという保険が用意してくれた。
そして、息子からは絵のプレゼント。
離婚してからも、毎年、息子を連れてこの実家に来てくれていたらしい。
父の墓参りに向かう。
13歳の時に亡くなった父。その人生を振り返ってみると、何か自分とよく似た感じだ。
そして、息子が将来の夢と称して書いた作文も。
色々なことを経験してきたが、不思議と後悔は無い。
経験した一つ一つが、幼き頃からやってみたい夢のようなものだったのかもしれない。

と書き始めたら、えらい長くなってしまいましたが、そんなある男の人生を描いた話でした。
のっかり企画と言いながら、30歳代の女性を描いた作品とはずいぶんとニュアンスが異なる作品でした。
何でしょうか。女性の場合は、必死に頑張って努力して、それでも運命なんて言葉で片付けられないけど、そんなものに左右されながら生きていく姿。そこに大きな感動と心震える感覚を得たのですが、まあ、こちらは・・・
男の場合は、行動が浅はかで、基本、最低限の努力で何とかしようとするから、襲い掛かる障害も全て自業自得だとしか思えないような感覚が残ります。
だから、あんなにずっと大笑い出来たのでしょうね。女性の場合もそれなりには笑いましたが、それよりも姿勢を正してしまうようなところもたくさんあったような気がします。今回は、笑うことに何の抵抗もありません。おかしなことを自分自身でやって招いたことですから。

女性と比較して思うのは、女性は個々、それぞれの人生があり、前回拝見した作品も、それはある女性の物語だったように思うのですが、この作品の男は、あまりにも突拍子も無いところがあるとはいえ、どうも全男性共通の物語としても差支えがないような印象を受けます。
そして、決して女性にその感覚が無いとは言いませんが、男は基本的に頑張るのは誰かのためなのかなと感じました。奥さんや子供、友人、その時に一緒にいる人・・・
でも、実際に出来ることは少ないわけで、この男も結局は何一つ、奥さんも子供も、友人も幸せにはしてあげれていません。むしろ、最後は幸せにしてもらってしまっていますね。
そして、幸せになった自分のことを、みんな喜んでくれているわけです。
ずっとそんな感じで、人に迷惑をかけながらも、その時、その時、後から思えば馬鹿なことかもしれないけど、真摯に良かれと思って決断した行動。それが、まわり回って自分に戻ってくる。悔いが残るわけがそもそも無いのかもしれません。
多分、問題なのは、この事実を逆手にとって、男は何をしてもいいんだみたいな、浅はかな単純な発想で、好きなだけ人に迷惑かけてもそれを良しとして生きてしまおうとする男の姿もあるのかなとちょっと感じます。
男は常に、自分の言動を、どういった形であろうと受け止めてくれる人たちへの感謝の下で、生きなくてはいけないように思います。

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