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2014年4月25日 (金)

有毒少年【学園座】140425

2014年04月25日 関西大学千里山キャンパス内KUシンフォニーホール (130分)

二回生の方々、総勢21人で創り上げられたあのピースピットの名作。
個々のキャラは生き生きとしており、その点は申し分ないと思うのだが、どうも観ていてしっくりこない。
本家の公演でのイメージが強過ぎるのだろうか。
比較する必要は無いと思うが、どうにも泣けもしないし、笑いも出来ない。心締め付けられる思いもしないし、凄いなという感動も薄い。
学園座としての有毒少年にまでなっていないのではないだろうか。
2年ほど前にカメヤ演芸場物語を拝見した時も、同様の感想を抱いたが、その時は話に世代ギャップがあるけど、若い方ならではの視点での感情表現とかが感じられ、これはこれでいいなあと思ったのだが、今回は、正直、これでは見劣りするなあといった気持ちしか残らない。
一丸となっての頑張りは当然、伝わってくるので、この感想は不本意なところが大きいだろうが、感じたままに記しておく。
また、今後の公演での変化に期待したい。

感想は上記したとおり。
一番の残念なところは、ダークファンタジーだなあといったこの作品に特徴的な感が全く芽生えなかったところ。
それは話にのめり込んで観て、切なさや苦しい気持ちが残りながらも、ハッピーエンドなのかなといった複雑な気持ちに最終的に至らなかったところにあるように思う。
とは言っても、1時間ぐらい以降は、徐々に盛り上がりを魅せ始め、心掴まれはするのだが、最高潮にまでは行き着かなかった。
最初に笑いがかなりすべった状態も悪かったのかな。でも、これは本家でもそうだったことを覚えている。見聞きした役者さんが出演されているならば、それでも引くことは無いのだが、今回の場合は、初見の方ばかりなので、そのあたりはちょっと不利なところかもしれない。
もっと、心を震わされ、登場人物たちの優しい想いに触れることの出来るこの作品を楽しみたかった。

また、今度、拝見した時に、名前を思い出せるように、役者さんの簡単な覚書をしておく。

有毒少年、みに49さん。純粋な笑顔の前半よりも、後半の死の影を意識し始めるあたりから、魅入るようになったかな。自分の死が、初めて見た美しい花のような少女の生を繋ぐということでの、自分の存在を見出すような切なさが滲んでおり、表情一つ一つに豊かさが感じられたように思います。
無毒少女、キャノンさん。こちらも純粋なんだけど、ちょっと小生意気なお姫様を漂わすのは、このキャラの特徴か。純粋無垢さが、逆に幼き残酷さを醸すようなところは、この少女が大きくなって大人となったキャラと対比されており、いいキャラを創っているように感じます。
蝙蝠、五稜郭RPGさん。ずいぶんとかっこいい方だ。コミカルなところも出しながら、有毒少年への無償の愛情を見せる優しさも出す。自分の死を十分に受け止められない状態でも、人を想い、共に過ごした者への感謝の気持ちを抱ける好きなキャラ。その好きな特徴を綺麗に描かれていた。
黒猫、らぽちさん。飄々とシュールな雰囲気を漂わせ、猫の可愛らしさも同時に出すちょっと楽しいキャラ。
読書家、ひくふじまひる♡さん。とても明瞭な声で、自分に起こったことを淡々と語る。そこに、数々の人たちとの奇妙な出会いや別れ、その人たちの想いを抱いて今、生きている覚悟を漠然と感じさせる。
幽霊、TMTさん。このキャラは切ない。一瞬の生よりも、これから続く長き死を抱いて、存在し続けるという悲しみを背負っているから。それを深刻に捉えず、幼き身に狂おしい切なさを魅せている。
夜空、ヒジマデニシトシさん。蝙蝠と似たキャラか。ただ、こちらは表舞台には立てない宿命を背負う影を滲ませる。優しさも、無毒少女への想いも全部、陰徳を積むような行動で、じわりと惹かれる。
ロボットボーイ大公、徳川ロジャーさん。ごつい体を活かして、名のとおりの堅苦しいキャラ設定。まっすぐでブレない考えに基づいて無毒少女を想う真摯さに溢れている。
石帽子、スープ連合さん。時計兎、なかむら屋さん。絶妙な掛け合いで、場を盛り上げる。動きもとてもいい。
蝿男、悩ンデルタールさん。動きがなまめかしく、仕草やたたずまいが綺麗。んっ、綺麗ではないか。いい言葉が見つからないが、何か目を惹く。ただ、よく考えると、この人の弱さ、愚かさ、覚悟の無さが全ての発端なんだよな。
魔女、鳴歩道早貴さん。まあ、美人だから、普通に目を惹きますわな。冷徹な雰囲気だが、母の深い愛情なんかも見せるキャラです。愛せなかったから、愛されることで痛い目に合う体という設定は非常に分かりやすい。
ピエロ、覇茉ンゴロンゴロ島さん。一番、目を惹いた方かな。豊かな表情に、テンポのいい言い回しがとても魅力的でした。
サラマンダー警部、水没ピアさん。すいぶんと破壊的なキャラ。完全にいってしまった言動で舞台に波を付ける。ちょっと乙女心を見せたりするようなところは少し可愛らしさも醸す。
ちょび髭男爵など、わさんぼんさん。この方、面白い方だったなあ。ちょっと、ぎこちない感じがあるけど、突き抜けたら、笑いを取りまくる強烈な役者さんになるのでは。
Rockerルームさん、ワイのワイルドワイバーンさん、小野里緒菜さん、ジューコーさん。まとめて登場のパターンが多かったので、個々の認識がいまひとつ・・・
Rockerルームさんは、二人の個性的なピエロに挟まれて、一番ピエロらしい可愛らしい動きの方だったかな。
ワイ・・・のさんは、パン屋の気味悪いキャラが印象的。小野さんは、こじんまりと可愛らしくツッコミタイプみたいな感じか。ジューコーさんは、喋りで客を掴んでしまっていた方か。ちょっと変わっていてつかみどころが分からない人っぽい。

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