ほらふき王女バートリー【ミジンコターボ】140420
2014年04月20日 HEP HALL (130分)
この劇団の作品の中では一番好きだったいたずら王子バートラムの続編でしょうかね。
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/110523-f2f7.html)
今度はほらふき王女。バートラムの孫という設定みたいです。
血は争えず、色々な人を巻き込みながらの冒険が始まる。
ファンタジー色たっぷりの、元気いっぱいの楽しい舞台でした。
ほらふき王女バートリー。
いつもほらばっかり吹くので、町の子供たちはみんな疎んでいる。
と、なりそうだが、彼女の強引な押しにいつの間にか巻き込まれて、一緒に遊んでしまい、そしてまた騙されてしまう。でも、それが嫌がりながらも楽しいみたいだ。明るく元気いっぱいのバートリーのことが大好きなのだろう。
でも、バートリーはいつもひとりぼっちだ。
お父さんは自分が生まれてすぐに、どこかに旅立ってしまったらしい。有名な大泥棒だったのだとか。
そんなお父さんに会いたいとわがままを言って、お母さんを困らせた。そして、険しい山の頂上に咲く花を摘んでこないと機嫌を直さないといつものほらを言ってしまい、お母さんを山に行かせてしまった。そして、そこでお母さんは・・・
お父さんとお母さんに両手を握ってもらい、ぷら~ん、ぷら~んとする夢も今はもう叶うことは無い。
自分のことを本当に分かってくれる話し相手は、そんなお母さんが残してくれた九官鳥だけ。
今は隠居生活の元・王様のおじいさま、バートラム。
国政は、いかにもという悪人面をしながら、全てを許す寛大な善人の精神を持つ大臣が担っているみたい。
隣国との戦争が長く続いており、そのことに心を痛める大臣は、隣国の王子とバートリーを政略結婚させて、国交を結ぼうと考えている。
やって来たのは、ずいぶんとウジウジとしたしっかりしない王子様と、その王子を溺愛するうるさいお目付け役。
王子はすっかりバートリーをお気に入りだが、バートリーは全く乗り気になれない。
王子がすっかり落ち込むような言葉を投げかけ、一度出会った髭をはやした泥棒のことが好きだなんてほらを吹く。
ところがそのほらが現実になってしまう。
たまたま、お城に入り込んだ泥棒パンフィロにバートリーは一目惚れ。
パンフィロは次に狙う、何でも願いが叶うという魔法のランプを求めて、険しい山へと向かう。
それにバートリーが付いて来てしまったから、一大事に。
バートリー誘拐事件として、後を追う警部とその部下。
犯人の疑いをかけられる女盗賊と、戦争の兵士として旦那を取られている主婦の部下。
バートリーを奪還しようと勇気を振り絞る隣国の王子とお目付け役。
魔法のランプの謎を知り、それを手に入れ、自分が王権を握ろうと企む大臣。
もうすぐ、子供が産まれるのに取材を強いられるパパラッチと、それをこき使う新聞社の所長。
知らない間に巻き込まれてしまった田舎臭い城の庭掃除婦。
伝説の大泥棒コルクの名を語る謎の酔っ払い。
あらゆる人を巻き込んで、バートリーの冒険劇が始まる・・・
童話のようにテンポよく、分かりやすく進む話。
絵本から抜け出てきたような可愛らしくも楽しいキャラたち。
情景描写、雰囲気を盛り上げるダンスと音楽。
多くを書くことも無いだろう。
いつものごとく、楽しさがたっぷり詰まった幸せな気持ちになれる2時間が用意されていた。
ラストは、せっかく出会えたのに、あっさりとお別れ。
せっかく準備されたバートリーの誕生会にも出席せずに、パンフィロはさらに自分が出来ることを求めて、バートリーの下を去る。今度、会った時はまたよろしくみたいな軽い感じで。
隣国との戦争も実は、もう兵士の間では、すっかり辞めていたらしい。バートリーの国も、隣国の王子の国も楽しい国だ。だから、そんな空気が自然と争いを終結させてしまっていたみたいだ。
10年の間、多くの人の心を掴み、すっかり虜にさせたであろうこの劇団。解散公演といっても、実に爽やかに飛び立とうとしている。
ずっとずっと、楽しいことを真摯にやり続けた劇団の力は、舞台を通じて私たちに悩んだり、苦しんだり、争ったりする気持ちを無くしてしまうくらいに、幸せで平和な世界をもたらせてくれたに違いない。
いい作品だった。そして、いい劇団、大好きな劇団だった。
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