秘密結社シャンディ【チーム濁流】140418
2014年04月18日 イロリムラ プチホール (95分)
いい言葉が出てこないので、仕方がない。語弊を招くが、感想は面白くないだ。
でも、面白くないんじゃないんだよなあ。
合わない。興味が沸かない。じっくり踏み込めない・・・
どれもしっくりこない。
秘密結社シャンディというところで、ポータブル芸術運動に身を投じた芸術家たちの始まりから終わりを描いたような話なのだが、どうもこの芸術家を描く作品は合わないことが多い。
太宰やオダサクなんかの生き様を描いた作品を観たことがあるが、どうもしっくりこない。感情移入出来ない。感情移入することが面白いことの絶対条件では無いのだろうが、どうしても彼らの奇行は根本的にはおかしいとか、間違っているとしか思えないのだ。次元を超えていて、理解しようという気持ちになかなかなれない。
今回は、国も違うし、時代背景も全く分からない。セリフも芸術家たちが発する格言みたいなものも多い。そのとっつきにくさが、さらに拍車をかけた感じだろうか。
時代を超えて、受け継がれる芸術家としての精神の中には、その華々しいところだけでなく、悩みや葛藤などの影の部分も同じくいつの時代にもついて回るように存在していることを、200年近い前の異国の出来事から伝えているような感じである。
トリストラム・シャンディという小説に由来する、1924年に結成された秘密結社シャンディ。
ポータブル芸術運動という精神の下で活動し、作品がトランクに入るくらいに軽くて小さいこと、高度な芸術的な狂気を持っていること、独身、もしくは独身のようにふるまえることの三条件を満たせば入会できたらしい。
そんなシャンディのメンバーたちの芸術家としての生き様を描いたような話と言えばいいのだろうか。
最初にそのメンバーたちがただ集まって、自慢話なのか、よく分らないジョークを思い思いに飛ばしている不可解な活動シーンを見た後、自分たちの出生をたどるためにデンマークに行ったり、アルゼンチンにまでたどりついたり、さらにはシャンディ、シャンディJr、シャンディJrのJrなども出てきて、時間軸も空間軸も交錯して描かれているみたい。そもそもシャンディって人はいないのだろう。メンバーの特定の誰かではなく、同じ意志を持つ共通の像としてそんな象徴的な人が登場しているように思って観ていたが・・・
ボーっと見ていたので、実際はよく分かっていない。
恐らくは、1968年にこのシャンディが終わりを迎えるまでの間に、初代結成のメンバーから時代を超えて派生し、繋がっていった仲間たちへの共通の念を浮き上がらせようとしているのだろうか。
ベンヤミンやら、何とか牧師やら、色々な人のことが描かれているが、それは全て一言で言えば奇行だろう。
実際に役者さんは、初めから少々、気がおかしくなった人たちのように、フルスロットルの奇妙なテンションで最後まで駆け抜ける。悩みや葛藤は時折、感じるものの、確固たる想いがあるのだろう。ブレずに真剣に不可解な言動をする姿が描かれる。
これは面白いともとれるが、少し引いてしまえば、憐みに近い滑稽であり笑えない。
自分本位で、無計画で、神に認められたごとく世界を変えたい、変えることが出来ると信じている。薬におぼれ、女を犠牲にし、普通の暮らしをする人たちへの憎しみに近い嫉妬心もうかがえる。死へと向かう破滅的な感覚に酔いながらも、生への執着も大きい。
情熱を超えた狂気的な熱意は、芸術という存在でしか昇華することが許されないのではないか。
彼らの異常なまでの信念は芸術にしか受け入れてもらえない。
彼らのその信念が、何か形となり、世界に芸術に対する認識に変化が訪れた時、芸術の懐がもっと大きくなった時、彼らの存在は消えてしまったようだ。
だから、かわいそうな、悲しみのシャンディなのだろうか。
上記したように、私はあんまり同情とか憐れみを感じないのだが。
むしろ、この作品中の自業自得で不幸になる人を楽しんで見てしまうという牧師みたいな感覚か。そりゃあ、あれだけの奇行を日々していれば、いつの日か悲惨な終りの日が来るよ。それも、きっと覚悟していた、自業自得だと分かっていたから、楽しんでいても、いつもどこかで悩み、影の部分を見せていたのだろうと思ってしまう。
でも、その影こそ作品の礎であり、そこに芸術家としての真剣で真摯な信念が見出されるのだろう。
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