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2014年3月29日 (土)

みんなのゴルフ・ピアノマン【題名のない演劇会】140328

2014年03月28日 大阪大学豊中キャンパス21世紀懐徳堂 (60分+20分)

笑いに包まれる2本立ての公演。
両作品とも設定は、漫画のように無理やりなもので、登場するキャラもかなり色濃くしてあるので、ずっと笑いっぱなしぐらいの状態で観ることが出来る。
ただ、その中で感じる共通テーマは好きという言葉だろうか。
ゴルフもピアノも、かなりの鍛錬を積まなくては出来ないことだろう。だったら、どうしてそんな辛い想いをするのか。そこに好きの答えが見えてくるような話になっている。
両作品とも、笑いの要素をふんだんに盛り込みながらも、ちょっと温かい気持ちになってしまうような良く出来た作品だ。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

・みんなのゴルフ

プロゴルファーとして名誉あるA級ライセンスを取得するまであと一歩。
このパットさえ決めれば、これまでの苦労が全て報われる。
そんな大事な大会で最後のパットを見事に外してしまい、ライバルにその座を渡すことになってしまった男。
それ以来、ゴルフからは足を洗い、今は少し変わったところがあるが可愛らしい彼女とデレデレの同棲生活を過ごす。ゴルフ一筋だったからなのか、職は決まらず、専業主夫状態になっているが、それなりに楽しくやっている様子。

そんな彼の下に、ある日、怪しげな荷物が届く。
その中には、自らをホールマスターと称するとんでもない男が。
彼をもう一度、ゴルフで活躍させるためにやって来たのだとか。
半ば強引に男に連れさられ、やって来たのは不思議なゴルフの世界。
そこで、彼はホールマスターよりも輪をかけて、とんでもないアルバトロス先生の厳しい指導を受けることになる。

彼はゴルフが好きだった。だから、必死に頑張った。
もちろん、うまくいかないことだってたくさんあった。それでも、自分のために努力を惜しまなかった。
当時、付き合っていた彼女は、そんな彼をいつも励ましてくれた。
あの大会で負けた時。全てが無駄だったと自暴自棄になった時。それでも、いつもと変わらず励ましてくれる彼女にきつく当たった。そして、彼女が自分のことを想って、影からたくさん支えてくれていることを十分知っていながら、厳しい言葉を投げ掛けた。彼女はもう戻って来ることは無かった。

あれから、ゴルフを避けている。もう二度とゴルフはしない。
守るものが出来たから。新しい彼女には、前の彼女のようなつらい想いをさせたくないから。彼女が好きだから。失いたくないから。つらい想いをしたくないから。
そして、今の生活が好きだから。
・・・。本当にそうなのだろうか。
彼は、この不思議な世界で、ゴルフに無理やり向き合わされながら、様々な人に出会い、自分の本当の心と対峙する。
実は彼の父だと言うホールマスター、本当に能力があるのか、くだらないことしか言わないアルバトロス先生。
今は彼女の勤める会社の上司になっているらしい、かつてのライバル。絶対的に優勢だった彼が負けたために手に入ったA級ライセンスだと世間からはバッシングされて辛い日々を過ごし、ゴルフを辞めたらしい。
今はスタンド使いとなってしまったらしい、かつての彼女。彼に尽くす健気な一面もあったみたいだが、やはり女性だけに、こういった強さもしっかり持っていたようだ。
そして、自分への想いを伝えるために、追いかけて来た今の彼女。

みんな各々、抱えるものを持っている。辛いとか苦しいとか、自分だけに訪れるものではない。
その中で、自分のために、好きなことをやる。
誰かのためにとか、結局は逃げているだけなのかもしれない。
そんなことに気付かされた彼は、彼女の自分への想いも受け止め、本当の自分の心に従った道を歩む決心をする。

自分のことを本当に好きになるために、人は努力するのだろうか。
単に好きなんて薄っぺらい感覚で、好きなことはきっとやり続けられない。それこそ、嫌になるくらいに頑張るから、好きだと誇れるものなのだと思う。
そんな自分のことを好きになれた人は、周囲の人にだって好かれるのだろう。認められる、尊敬される、愛されるみたいな形で。
あまりにもご都合主義的な無茶苦茶な設定の中で、大いに笑わせてもらった割には、何か大事な教えを乞うたような感覚が残る。

この劇団はちゃうかちゃわんを母体にしているのだろうか。毎年公演されているちゃうかちゃわんの短編集公演と同じ匂いがする。そして、最近、拝見していなかったが、昔、この人は面白い人だと覚えていた役者さんが多数、登場していた。
主人公の悩める男、長佐古哲也さんは、多才な動きや表情、言い回しを駆使して、振り回されているのか、振り回しているのかといった感じで常に舞台の中心に存在している名演技。
ホールマスター、島谷二郎さん、アルバトロス先生、柿木研人さんの名コンビっぷりには二人が出会った奇跡すら感じさせられる笑いの破壊力。
確か、こんな面白くて可愛らしい子がいるんだったら観に行こうかなというちゃうかちゃわん観劇のきっかけになった加納春日さんは、元カノで完全に頭のネジが外れたおかしくなった姿で笑いをかっさらう。
今の彼女の武宮由佳さんは、素朴な少年やかっこいい男役のイメージしか持っていなかったので、冒頭の登場では全くご本人と気付かず。いつもながらの瞬時の切り替えを活かした笑いの取り方は見事だが、それ以上に非常に綺麗だったのでびっくり。急変しておかしくなることさえ無ければ惚れてしまうぐらい。まあ、この後の作品では、いつもどおりの姿に戻られるので、わずか60分程度の短き恋だったが。

・ピアノマン

優しい両親に、先生の指導の下、ピアノを習う少年。
そんな彼の下に、ある日、怪しげなものが届く。
それは、最新鋭の技術を駆使して創られたピアノアンドロイドといったようなもの。
これまでのクラシック音楽の楽譜は全てインプットされ、完璧に弾きこなす。最新の楽曲もダウンロードすれば、同様の機能を発揮する。
メトロノームにもなるし、ワードとエクセルは完備でプリンター機能も搭載。何と、椅子にだってなる。
その日から、少年とアンドロイドのピアノ発表会に向けた日々が始まる。
ピアノが好きという共通の想いから生まれる種を超えた友情。
ところが、発表会直前にアンドロイドは突然動かなくなる。
少年は、開発者を探すために、治安の悪い危険な街を必死に走る。
数々の苦難を乗り越えて、少年は開発者を探し出す。
そんな少年の姿を見て、開発者は自分が創ったアンドロイドが人間に好かれる大切な存在になっていることを喜び、急いで修理に向かう。
予定通り、訪れる発表会。少しぎごちないが正装の二人。
二人が奏でる演奏は多くの人を魅了するだろう。

前の作品もそうなのだが、映画や漫画などの影響が強いのかな。
元ネタをあまり知らないので、かなりの数の笑いをスルーしてしまっているとは思うが、何となくでも面白いものだ。
この作品は、劇中にも流れるが雨に唄えばのようなミュージカル映画を見ているような心地いい気分になる。
少年とアンドロイドの微笑ましい姿がとても素敵だ。
アンドロイドが全身タイツの異常な姿の大きな島谷二郎さんだということを忘れてしまうくらいに。
劇中曲として、実際にピアノを演奏した曲が流れる。
木村圭佑さん、伊藤紫織さん、伊藤紫津香さん、島谷二郎さん。
凄いなあ。みんな、ちゃうかかな。一人知らない人がいるが、ご姉妹だろうか。
それも面白い系の役者さんなのにねえ。幼き頃から無理やりピアノを習わされていて、高校で断念した私としては憧れの存在だ。
そんな隠れた能力にも魅せられながら、温かい二人の友情にほっこりするような作品だった。

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