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2014年2月23日 (日)

0幕学園【劇団空組】140221

2014年02月21日 インディペンデントシアター2nd (130分)

観るたびに、どんどんレベルアップしている。
お得意とする歌やダンスのパフォーマンスを、作品に込められたメッセージの芯をブレさせることなく巧妙に盛り込み、楽しい作品が創り上げられている。
それだけでなく、毎回、新しい魅力をそんなエンタメ作品の中に加えており、作品の質をさらに高めている。若い方が中心の劇団だけに、常に成長することを意識されてきた結果なのだろう。
次回公演が12月にABCホールであるらしいが、そんな躍進も当然かとうなずけるところだろう。

時を止めてしまったある女性の時を再び動かすための話。
そこには、厳しくも優しく、生きることを真摯に見詰めた想いに溢れており、若かりし頃の楽しい思い出と共に、あの頃、見据えていた未来がもう一度、今、蘇ってくるかのような気持ちになりました。
この劇団の作品を観て、いつも思うこと。ありがとう、おじさん、ちょっとだけ何か元気になった気がするといったところでしょうか。若いキラキラした姿による目の保養効果はもちろん、そんな生きる中での大切な想いが作品の中に込められていることを感じて、心が穏やかになるからなのだと思います。

<以下、ネタバレがありますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

OLの雫は、付き合っている男性からプロポーズされる。
即答できずに、高校時代からの友達に相談。
とても優しく、雫のことを大切に想ってくれているいい男みたいだ。
それでも、プロポーズを受けるのを悩んでいるのには訳がある。
それは、高校時代に大好きだった人と似ているから。
元々、付き合い始めたのも、そんな彼の面影があったから。そして、正直、今でも彼を重ねて見てしまっているところがある。
もちろん、大切な思い出として、今はふっきれているつもりなのだが、どうしても・・・
楽しかった時のことは、いつまでも思い起こせて、幸せな時間を生み出す。雫も高校時代のことを友達と話す表情は楽しく幸せそうだ。

突然の停電。
映画館でそんな作品を観ていた高校生で従兄弟同士の令夜と優雨は、突然、闇の中に。
恐る恐る、スクリーンまで助けを求めながら歩いていくと、不穏な空気に包まれる。
目が覚めたら、そこはある高校の敷地内。
自由な学校みたいで、随分と個性豊かな生徒が揃っている。
イケメン、ロッカー、ヤンキー、モデル、お嬢様、剽軽者・・・
生徒会長自体が、何か漫画に出てくるような、取り巻きを連れたいいところの娘さんなので、そんな校風もここでは当たり前なのだろう。
この日は、卒業式の前日。卒業式の後には、卒業生自身が手掛ける恒例の祭が開催されるらしく、その準備に忙しいみたいだ。
令夜と優雨も、いつの間にやら巻き込まれて、その準備を手伝うことに。

その卒業式と祭の実行委員長の姿を見て、二人は驚愕する。
雫。あの映画のプロポーズに悩む女性だ。
そして、嵐と呼ばれる財閥の息子で、バンドをしたりと自由を謳歌している男は、映画でプロポーズした男にそっくり。高校時代に付き合っていたというのは、まさしく彼のことなのだろう。
ということは、ここはあの映画の過去。つまりは0幕の世界に入り込んでいるようだ。
ただ、嵐は財閥の息子だけに、将来を約束された女性がいる様子。それが生徒会長らしい。恐らくは高校を卒業したら、互いの家の発展のために、婚約をすることになるのだろう。それを雫は分かっており、期間限定の付き合いをしている。

とりあえず、置かれた状況は理解したものの、元の世界に戻る手段は何も分からず、何が出来るわけでもないのでそのまま準備を手伝う二人。
些細なことで言い争いになったり、くだらないことに真剣に悩んだり、恋愛トークで盛り上がったり、トラブルに一致団結して立ち向かったりと、高校時代を彷彿させる時間が描かれる。まさに青春してる人たちの時間。
準備も何とか済ませ、明日は本番。
二人は雫の家に泊めてもらうために、一緒に帰る。途中、忘れられたかのように、嵐とイチャつかれたりするのだが、それも仕方ない。
二人の想いがどんなに強くても、高校生ではどうしようもないことだってたくさんある。卒業してしまえば、二人は今までのようには、もういかないのだから。

翌日の朝、二人は卒業式のために学校に向かうが、誰一人として、二人のことを覚えていない。
しかも、昨日、起こったことが繰り返され始めている。
今日も卒業式の前日だ。
よくよく考えるとおかしなことがいっぱいあった。
ずっと学校に来ておらず名簿にも載っていない女生徒がいる。そのことを分かっていながら、黙認しようとしているみんな。学校なのに先生や他の生徒とは全く出会わなかった。
そして、何よりもこの学校の時計には針が無い。
ここは雫の記憶の世界。楽しかった高校時代を終わらせないべく、明日を放棄した永遠の世界のようだ。
ずっと、こうやって雫の頭の中では、楽しかった高校時代を繰り返し続けてきたのだろう。嵐と別れないためにも。
そんなことをいつまでも続けていてはいけない。
嫌なことだってたくさんあるけど、そんなことも含めて前へ進むことが生きるということ。
二人は雫に明日を取り戻させるために・・・

普通に成長して大人になっているけど、心の奥底ではずっと時を止めてしまっている雫という女性の時間が再び動き始めるまでを、今から思えば何のことは無いことで喜び、笑い、怒り、悲しみ、悩みとしていた複雑だけど楽しい時を刻んだ高校時代と、女性らしく恋愛という大切な経験を重ねたような感じで描き出した話。
それは、雫を愛する男の真摯な想いと、楽しい高校時代にいつまでも身を起きたいという気持ちがよく理解できる現役高校生の令夜と優雨が、自分たちの未来への可能性、夢、希望は、楽しいことだけでなく、苦しみや悲しみとも一緒に掴み取ろうとする真摯な生き方が導き出した答えだったように感じます。
楽しかった思い出を大切に、同時にそんな思い出を一緒に作り上げた人たちのことを想い続けながら、また、新たな楽しい時、素敵な仲間との出会いを、色々と大変なことも経験しながらも掴むために前へと進んで行くことが人生なのでしょう。そんな苦しいことが待ち構えているかもしれない前へと進むことは不安でいっぱいです。でも、これまでの楽しい思い出と、そんな時を一緒に刻んだ仲間たちの存在が駆動力になるような気がします。
雫は自らの0幕の記憶の世界でそんなことに気付き、しかも、今、自分を最高に想ってくれる人の気持ちも受け取った。彼女が最終的に進もうとした道は、心の中での本当の卒業、そして、新たなパートナーとの旅立ちになります。それが、元の世界に戻った令夜と優雨が観た映画のラストシーンとなっています。
そして、最後は演劇らしいメタフィクション構造を明らかにすることで、0幕の世界にいた怪しい女生徒の正体を暴露しているようでした。
生きるということを、若い視点で厳しくも優しく見詰めてみた素敵な話だと思います。

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