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2014年2月17日 (月)

戦国MASARA ~華麗なる黄金のスパイス~【よろずやポーキーズ】140216

2014年02月16日 インディペンデントシアター2nd (110分)

 

様々な想いが絡み合う中で、一つの新しい世を作り上げていく人たちの姿を描いたような話でしょうか。
設定を少々、巧妙にし過ぎな感があり、これが作品の伝えたい焦点をブレさせているような印象が残りますが、全体としては、交錯する色々な人の想いを、作品名のとおり、様々なスパイスとして味わうことが出来る楽しい作品に仕上がっています。
ダンスや殺陣のパフォーマンスを組み込んだ、エンタメ色の豊かさは、さすがはこの劇団だと感心する逸品でした。

戦国時代の日本。
東北を治めた安東の血を引く侍の星丸は、漁師の子供と一緒に海に出たところ、嵐に巻き込まれる。
漂着した先は、ジパングと呼ばれる島。
星丸を心配して後を追って来た守り役の男も一緒に流れ着いたようだ。
この島は穏やかな気候で、平和なところ。外から知られないように厚い雲で覆われ、地図にも載っていないらしい。狼の化身を携えたカムイという神の声を巫女が伝えることにより、島民は幸せに暮らしている。
その巫女の弟の兵隊長は、島を守ることを至上に考える堅苦しい男。
穢れを知らない島民を守るため、外部からの侵入者を生きて島から出すわけにはいかない。
兵隊長は星丸たちを殺そうとするが、カムイは星丸の生い立ちを聞いて、何か感じるところがあったらしく島民となって生き延びる道を残すことにする。
兵隊長はそんなカムイの考えが理解出来ないようだが、神の言葉に逆らうことは出来ない。

 

星丸たちは、神に許された者たちとして、巫女やその侍女たちの接待を受ける。
黄金の色をした汁。星丸たちは始めて食べるものだ。美味いが辛い。何でも島で採れるスパイスを使う料理なのだとか。
漁師の子供は、雪国に残した貧しい家族のことを思うと、こんな体が温まる美味い食べ物の作り方を覚えて持ち帰りたいところだが、そんな願いはとてもじゃないが叶わないようだ。
島民となってこの島で残りの人生を過ごすか、それを拒否して殺されるかの選択肢しか無い。
そして、星丸はもうこのまま島民になってもいいかもと考え始めている。
戦いに明け暮れる日本。戦国大名の血を引くとはいえ、しがない侍の星丸はそんな日本を変えることは出来ないと諦めの気持ちの方が大きい。
守り役は下克上や、血にこだわらずに新しい道を切り開いて欲しいという願いが込められた名前の由縁を語り、そんな考えをいさめようとするが、星丸はまだ自分の生きる道に迷っているような状態だ。

 

一方、イギリス艦隊の一行は、この島に眠る黄金のスパイスに目を付け、島への上陸を試みる。
さらには、日本の信長も、天下統一のために黄金のスパイスを手に入れたいと、甲賀忍者たちを派遣する。
様々な思惑を持つ者たちが、この島に集結し、お宝を狙って動き始める。
黄金のスパイスとは、いったい何なのか。
この島の正体は。
各々の生きる道のポリシーがぶつかり合う争いの中で、星丸は・・・

 

多分、DVDが出るので詳細はそちらを。
けっこうごちゃごちゃしています。
少し、時代設定の整合性にこだわって、話の芯がブレているようなところがあるような気がします。
その練られた時代設定の妙味は確かに面白いのですが、各々の生き様、自身の道標を見出すという焦点がぼやけるというのか・・・
当日チラシに記載されていますが、作品名のマサラは様々な香辛料の混ぜ合わせだそうです。
星丸の血の定めの中で世を平定するという己が進まないといけない道への葛藤、それを導いてあげたい守り役、家族が幸せに生きるために懸命に日々を生き、争いの無くなる平和な世を望む漁師の子供。
かつて自分が日本で無し得なかった平和な世をジパングという島で実現するべく、永遠の孤独の中で戦う覚悟を決めたカムイ、その真摯たる覚悟に全てを捧げる狼の化身。カムイという神を崇拝することで島の永遠の平和に希望を託す巫女、その巫女を守り続けることで島を存続させようとする侍女たち。
たとえ、神に逆らってでも、今の島の平穏が脅かされることのないように行動することが自分の役割だと信じて行動する兵隊長。
世界のあらゆる富を手にして、イギリスを繁栄させることが自分の欲望を満たすことと考え、支配することを厭わない海軍の長。そんな富を手にする者の側にいることで自らの幸せを得ることが出来ると、権力になびきながら身を振り続ける愛人。楽しく、押さえつけられることなく、自由に生きていくことが出来る環境に身を委ねようとする船員。支配される階級である自身の解放が、世を平等な世界に導くと考えているかのような変革への強い怒りの精神にのっとって行動する奴隷。
天下平定に一番近い位置にいる信長の成功のために、自らの鍛錬された肉体と精神を誇りを持って投げ打つことで新しい世への貢献をしようとする忍者たち。
支配する者、される者。その支配を絶対的なものにすることで、安定した世を作り上げようとする者。その支配関係を崩すことなく、世の存続を考える者。支配関係を覆すことで、新しい世への変革を導き出そうとする者。支配関係を常に見守り、自身の身の安泰を考える者。影の存在として、自らの技能を世に発揮する者。そんな支配関係とは疎遠で、日々の生活を精一杯生きる一般の庶民。
実際の歴史に刻まれてきた社会の縮図のような様々な人間模様が、そこには見出せるような気がします。
各々の想いが、そんな香辛料であるなら、その香辛料が混ざり合ったマサラから出来上がったカレーは、作り上げられた世と言えるのでしょう。
上記したように、この作品で最後に描き出された世であるカレーは、どうも味がごちゃついているような感があります。美味いんだけど、絡み合って一つの絶妙な味が感じられなかったというのが感想です。
まあ、このあたりは、複雑な味のハーモニーを私の舌が感じられるほどに肥えていないという点が多々あるとは思いますが。
ただ、話としてはそう感じましたが、個々の役者さんが演じられる様々な登場人物の個性、ダンスや殺陣といったパフォーマンスは、その混ざり具合が絶妙で、これぞ、この劇団らしいいいお味を出していることは間違いないように思います。

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