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2014年1月12日 (日)

野良猫の首輪【sons wo:】140112

2014年01月12日 芸術創造館 (60分)

もう観劇を始めて6年目。
観劇数は1400本を超えたのに、まだ、こういった自分の中でこれまでに観たことのない斬新だなあと思える作品に出会えることが、演劇の奥深さを物語る。
不思議な感覚で言葉にしにくいが、懐古の中で、過去、現在、未来共に尊き想いが得られるような作品。

会場に入ると丸椅子を手渡される。
好きな場所に座っていいらしい。それも、幾つかの彫刻が展示されている、通常ならば舞台となるスペースに。
本来の客席となるスペースには、いつもどおりパイプ椅子がズラリと整列。ここが舞台となるらしい。まあ、これは関西が誇るパーフォーマンス劇団、壱劇屋がある作品で行ったことなのでさほど驚かなかったが。
彫刻と一緒のスペースに自分で好きなところに椅子を配置させろというのは、何やら、客にも舞台や作品に関わってもらうような意思なのだろうか。

8年前にこの町に引っ越してきたある女性が、ずっと過ごしてきた前の町の風景や住んでいた3階の部屋を懐古しながら、話は進む。
最初は、雇い主の横暴なミルクを買ってこいという命令に従っておかしなコンビニに行く程度だが、そのうち、違う星に行き、宇宙人と出会う。そこで戦争に巻き込まれ、船でその星の地下組織の人と脱出する。
幽霊や酸性雨の降る終わりの星へとたどり着き、・・・

筋だけ追えば、よく分からない不条理な旅。
最終的に女性は元々の町にたどり着くので、輪廻みたいな感覚もある。
女性を含め、登場する人物、宇宙人は全員、体を震わせたような動きに、ロボットのような無感情の途切れ途切れの言葉を発する。あらかじめプログラムされて喋ってたり、動いているような感じかな。
このため、感情は抑え込まれてしまっている。記号化されたような言葉をそのまま受け取り、あとは自分でその言葉から感情を引き出さないといけない。

宇宙の歴史を語るかのような地球の記憶が壮大に描かれるようなところもあれば、たった一人の女性の人生を振り返るような回想があったりする。その中で、明日は今日に繋がっているわけではないといった連続性の否定のような言葉も出てくる。時間軸の感覚はすっかりよく分からなくなり、女性が戻りたいと言っている8年前の町は過去なのか未来なのかといった感じになる。
このあたりの感覚が野良猫なのかなあ。今を生きる野良猫と、記憶や時間を蓄積させて今を生きる人間の違いか。
最後にミルクを持った女性はある星にたどり着き、そのミルクによってその星をに終わりを告げることになるのだが、単なるミルクが、こうした意味合いを含んで持つといったことに人間の生きる中での時間の蓄積があるのではないだろうか。野良猫なら、いつどんな時もミルクはきっとミルクのままだろうから。

全体的に感じるのは、切なく、儚き世界に見える、喜びや希望かなあ。
こうして、ブログで感想書くから、そういったことを記してはいるが、本当にそんなこと感じたかと言われると、少し答えに詰まりはするが、消えていく中で残るものの尊さみたいなことを感じる中で、そんな感情が沸いてくるような気がしている。
女性が過ごした町、滅びる星、往年の名曲・・・
全て、そこにいた人たちが存在しなくても、残されたものとして記憶にとどめられている。
そこに、終わりが決して言葉どおりに終わるというわけではなく、同時に新しい時間の始まりも意味しているように感じられ、儚き中にも、大きな未来への確証を想う。

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