ウチの親父が最強【梅棒】140129
2014年01月29日 東京芸術劇場 シアターイースト (90分)
東京出張と兼ねたラストの東京観劇。
ここがやってるんだったら、そりゃあ観ますわね。でも、ほとんどの日のチケットが完売だったんです。
でも、この日の公演だけなぜか、完売じゃなくて。
運がいいですねえ。
東京Aキャストを拝見。
もう素晴らしかったですね。
言葉で書けば書くほど、薄っぺらくなりそうだから、この凄さを伝えるのにどうしていいのか悩みます。
答えは観に行く。これしかないと思います。
本当に心震わされる作品です。笑って、泣いて。
体感して欲しいです。あの感動を共有したいです。幸せな気持ちになったねと言い合いたいです。
セリフがほとんど無く、ダンスだけで紡がれる話なのに、言葉以上に心に色々なことが響いてくる。
最高でした。
来週には大阪で公演がありますから、これは観に行かないと。
<私の観劇記録を兼ねているので、以下、あらすじというか、おおまかなストーリーみたいなことを書いています。ネタバレが気になる方は、読まないで下さい。公演期間が長いので白字にはしていません。まあ、こんなものどうでもいいです。読んでも、私がどれだけ心を動かされたかは伝わりませんから。とにかく観に行ってください>
真面目そうでちょっと冴えない男。
営業があまりうまくいかず、トボトボ歩いていたら、若者とぶつかってしまい、持っていた売り物を道にぶちまけてしまう。
誰もが素通りする中、優しく一緒に拾ってくれる女性。
手が触れ合った時にビビッと。運命の女性。
女性のお父さんにご挨拶。ちょっと昔気質みたいで怖そうな風貌だが、剽軽でいい人みたい。
やがて子供が出来る。
おじいちゃん、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、妹の幸せ一家の姿が映し出される。
でも、家が火事になり、全てを失ってしまう。
家にあったものは全部燃えてしまった。服もボロボロ。
でも頑張るしかない。
肝っ玉母さんは明るく元気に振る舞う。お父さんもより一層仕事に励む。お兄ちゃんも少しでも家計を助けようと自転車に乗って新聞配達。
おじいちゃんは、まあのんびりしてる。いや、実はそんなことない。
薄汚れた服を着て学校に行くので妹はいじめられている。家族のみんなは、生活を立て直すのに必死なのであまり構ってあげられない。おじいちゃんはそんな孫をしっかり見守る。
人をいじめるような汚い奴はたとえ子供でも許さない。よそ様の子供にだけ厳しいのではない。逆上がりが出来ず、すぐにあきらめてしまう孫には厳しく、努力の大切さを教える。一緒になって頑張る。
そんな姿に、いじめっ子たちもいつしか妹の手助けをするようになったりして。そして、成功した時は子供と一緒になって喜び、勇気を出して、手助けをした子供たちを最高に褒め称える。
90分、全てがいいのですが、中でもこのシーンが一番好きかな。子供たちを純粋に、時には厳しく、時には優しく見守る、素敵なおじいちゃんの姿にウルウルします。
そんな妹、家計が厳しいので、欲しい物もなかなか買ってもらえない。事情は分かってるけど、クリスマスぐらいは期待したいところだ。
犬のおもちゃが欲しいらしく、毎日、店の前を通ってはうらやましげに見ている。部屋に大きな靴下を吊り下げ、サンタさんに期待するというけなげな姿を見せている。
そんな姿を見たお父さんはクリスマスプレゼントになんて内緒で買いに行こうとするが、思いのほか高くて手が出ない。
そして、ついにそのおもちゃは売り切れてしまったみたいだ。
悲しみにくれる妹。他の子はみんな買ってもらってるのに。
そんな時、またおじいちゃんが活躍する。捨て犬に構っているうちに、愛情が湧いてしまったらしく、家に連れて帰る。普通なら、家族が食べるのにも精一杯なのに冗談じゃないと叱られるところだが、ナイスタイミング。
犬のおもちゃよりも、もっと凄いプレゼントが妹には手渡される。
この日から、犬も家族の仲間入り。
お兄ちゃんの方は、ちょっと頼りなさそうな感じなのだが、努力家みたいでなかなか頭がいいらしい。でも、世の中、頭がいいだけで成功するものではない。受験などは、競争だから、少々、汚いことも平気でやってのけるぐらいじゃないと。まあ、人としてはいいことなのだろうが、どうも、そっち方面はからっきしみたいで、世渡り下手で先が思いやられるような感じだ。
そんないい子だが、やはり男の子。思春期は訪れるもので、Hな本にテンション上がったりと。そして、そんなエロは遺伝なのか、おじいちゃん、お父さんまで一緒になってワイワイと。
男の方は、そんなバカなことをいつもまでもしているが、妹は成長し、立派なレディーになる。
お母さん似なのか、なかなかの容姿で街で痴漢や変態にすぐ目をつけられる。
そんな時、しょうもない男を一喝する若い男。妹は一目惚れ。
せわしい家族の中で育ったからか、けっこう押しが強く、妹は男に猛烈にアタック。男はちょっと朴訥で不器用なところがあり、照れがあるのか、想いをうまく伝えられないが、その気持ちは通じ合う。
二人はいつしか、恋人同士に。
あの火事で全てを失ってから、ようやく落ち着きを取り戻し始めたが、お父さんの営業仕事はまだまだ厳しいみたいだ。
今日もうまくいかず、トボトボ歩いていたら、若者とぶつかってしまう。
以前は、こんなことがきっかけで運命の女性との出会いが生まれたが、今回はちょっとたちが悪い。
相手はチンピラみたいで、賠償金目当てみたいだ。
家にチンピラたちが脅しにやって来る。
チンピラたちは大暴れする。そのチンピラたちの中に、妹は彼氏の顔を見つけ、衝撃を受ける。男もショックで頭を抱えている。
お父さんもおじいさんもボコボコ。おまけに犬は人質代わりなのか連れて行かれてしまった。
妹はひどく落ち込み、彼氏に連絡を取ろうとするが、電話は通じない。男の方も、同じ状態だ。大事な人を傷つけてしまったことに、悔やんでも悔やみきれない思いでいる。
おじいちゃんは連れて行かれた犬が心配で、悲しみの毎日。
お父さんは、もうどうしていいか分からず、バーで酒を煽っている。そして、チンピラたちの組織的な犯行はさらに続く。酒に無理やり酔わせて、女をあてがい浮気をしたかのように仕向ける。
その現場を見たお母さんは家を出て行ってしまう。
家族はバラバラになった。
犬はチンピラたちに抵抗するが、やはり犬だからボコボコにされている。妹の彼氏は、一念発起し、チンピラたちに抵抗する。でも、多勢に無勢。かなうわけがない。それでも、男と犬は愛する者たちのために、必死の抵抗を続ける。
一方、お父さん。
いつまでもくよくよしているわけにはいかない。自分は家族を守らないといけないのだから。
父の本当の強さ。
そんな父の覚悟に、お母さんも帰ってくる。
ケンカなんてしたことのないようなおとなしいお父さんだ。でも、家族を守るためならがむしゃらに戦ってやる。手にはフライパン。これでやれるだけやる。
私だって、俺だって戦う。お兄ちゃんも妹も。
わしだって。おじいちゃんも年老いた体に気合が入っている。赤ふん一丁の姿で家族の応援団だ。
チンピラが再び、家にやって来る。
決戦の時・・・
で、最後はエピローグ的にお兄ちゃんの無事受験合格や妹の彼氏との結婚が描かれます。
もちろん、お父さんは最初はひどく反対するんだけど、娘の想いを大切にする優しいお父さんだから。
結婚式、そして何と三つ子の出産と続き、さらに家族が大きくなった姿でラストは締められます。
ちょっと微笑ましいのは、あれだけ悪かったチンピラもすっかり改心して、お父さんの会社で働いたりしています。
最終的には登場した人物は全て、このお父さんを長とする家族のようなものに落ち着いたみたいです。
妻に、お義父さん、まだまだ心配なお兄ちゃん、犬。大切な娘に、その旦那、そして三人の可愛い孫。
さらには、生活を守ってあげないといけない社員たち。
多くの人を背負い、これからも生きていく。そんな、真に強いお父さんの姿が、作品名にも通じているようです。
泣くね。この作品は。
いいシーンで泣くとかじゃなくて、ずっと感動状態になるから、目がうるみ続けます。
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コメント
SAISEIさん、いらっしゃっていたのですね。お会いしたかったです。私は夕方まで劇場におりました。ニアミスです。大阪ではお会いできるのでしょうか、と思いながらですが、ご来場心よりありがとうございました。観て頂けて、とてもうれしいです。
投稿: ほこき | 2014年1月30日 (木) 09時36分
>ほこきさん
あ~、まさか、いらっしゃったとは。
本当にニアミスでしたね。
また、大阪でお会いしましょう。
この素晴らしい作品を観逃すわけにはいきません。
投稿: SAISEI | 2014年1月30日 (木) 11時12分