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2014年1月29日 (水)

電磁装甲兵ルルルルルルル【あひるなんちゃら】140128

2014年01月28日 下北沢OFF・OFFシアター (70分)

東京出張を利用して、せっかくなのでどこか観に行きたいなあとやってる公演を調べてみたら、まあ火曜日なのにたくさん公演してること。10公演以上の選択肢があるとは。さすがは東京ですね。
結局、タイトルの魅力と、気軽に楽しく観れますという紹介を読んで、この公演を選択。

で、本当に気軽で楽しかった。
というか、かなり面白い作品でした。
登場人物は全部で9人ですが、最後まで色々な組み合わせで少人数での不思議な会話の掛け合いのシーンを繋げて話を展開していく構成なのかな。
会話は妙なシュールさがあり、不思議な空気が漂います。それがどこかほんわかしていて、心地いい。
独特の魅力にはまりやすそうな感じの劇団ですね。

一言で言えば、タナカというかわいそうな男の救われない話。

この世界は、何やら宇宙から怪獣がやって来て、地球はおろか、宇宙自体が破滅してしまう危機を迎えているらしい。
そんな敵から宇宙を守るために、ちょっと威勢のいい、ギャンブル中毒の女の子が開発した巨大ロボットが電磁装甲兵ラララララララだ。
1、2、4号機の三体あり、合体して始めて、ラが7つの優れた力を発揮する。何でも、その時にはテーマ曲まで鳴り響くらしい。

かなり天然で、いい加減な女性最高指令官の下で、3人のパイロットが来るべき敵に備えて、操縦訓練を行うが、なかなか息が合わず、町のビルをガンガン破壊してしまっている。
性格はかなりきつく、自分に都合の悪いことは一切聞こえないという自分勝手な天才と呼ばれる女性と、全く似ていないのだが、双子らしい兄弟がパイロットなのだが、どうも女性と双子の間に隔たりがあるみたいだ。
そんな姿を毎日のように見つめるタナカは、自分も巨大ロボットに乗りたい、自分なら双子と息を合わせられる、そして、本当に思っているのか、高まる乗りたい気持ちにこじつけただけなのかは不明だが、世界を守りたいとパイロットにしつこく志願する。

その姿は、タナカの友人である奇跡を起こすことが出来ると言われているオペレーターの女性リーダーを発信源にして、かわいそうなタナカ君として、噂されるようになる。
敵発見のサイレンが鳴るとテンションが上がってしまうようなリーダーなので、職場の部下たちにも調子に乗って面白おかしく話していたのだろう。
部下の女性二人。一人はあり得ないくらいの大馬鹿で、その先輩の女性は日々、彼女の意味不明の言動にツッコミを入れている。
大馬鹿の方はパイロット候補に入っているらしく、タナカにとっては不本意にもライバルとなる。

これまで敵は2回やって来ており、合体は失敗したものの何とか倒せた。でも、今度来る怪獣はそうはいかないらしい。
世界、いや宇宙の破滅。
タナカは何とかパイロットになりたい。双子のどちらかが死ねばなんて妄想を抱くくらいに。
そんな中、ついにラスボス的な怪獣が現れる。
タナカはこれまでずっと戦いを見てきているので分かる。今回も合体は失敗する。
その推測は的中した。
ついにタナカの出番か。
その時、あのテーマ曲が流れ始め・・・

話としては、完全にお笑いであるが、けっこう厳しく皮肉めいた形で夢を追う人を突いているようにも思う。
タナカは本当にかわいそうだろうか。世界を守りたかった。こんな考えは賞賛されるべきではあるが、本当はただ巨人兵に乗りたいだけなのだ。 そんな気持ちで双子や天才女性と息が合うわけがない。
タナカの昔のエピソードなんかも語られるのだが、ちょっと自分の都合のいいように思い出や考えを変えてしまうところがある。
これといった努力をしてきた経緯も感じられない。ただ、切望していただけである。つまり、夢を文字どおり夢のままで都合よく捉えているのだろう。
巨人兵に乗りたいという夢がいけないわけではない。問題なのは、その乗りたい理由に世界平和だとかを掲げるから、こんな組織に身を置くことになる。きっと、そんな気持ちは、後からこじつけたものだ。だから、本来はタナカはここにいるべき人ではないのだろう。
夢を追うとはいい言葉だが、ただ己の欲望を満たすためという言葉に置き換えられるような場合があるのではないか。そんな人には、チャンスはいつまでも巡ってこない。
そんなことを思わせるような、悲しいタナカの姿が最後に浮き上がっていたように感じる。

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