gate #11 パイロット版シアターシリーズ ゲート【KAIKA】131221
2013年12月21日 KAIKA
難解です。
私の中にかすかにはあるであろう感性を総動員して観てみましたが、打ちのめされた感じです。
今回は女性クリエイターだけの三作品。
きっと、こうなるだろうと初めから思って足を運んだので、悩まされて悔いなしではありますが・・・
<以下、ネタバレっぽいところもあるのでご注意ください。訳が分からない文章が続きますので、これでネタバレ防止に白字にするということは、ちょっとおこがましくて出来ません・・・公演は日曜日まで>
「女生徒」 : 鳥公園
昼夜が逆転してしまっている女性。
依頼されている原稿を仕上げるために、こうなってしまったみたい。
仮眠をとって目が覚めた時に電話。
依頼人から、やっぱり原稿は要らないようなことを言われて、少しキレ気味に抗議するが、何か金の話やら、ちっぽけなことを言っている感覚に嫌気が刺したのか、勢いは弱くなっていく。本当は、誠意や義理みたいなことを深く相手に突きつけたかったのだろうが、若さなのかうまくいかない。
学校へ行く電車の中でも、空いた席をおじさんに取られたりしても、何も言えない。
ぼんやりと歩道橋の上でカラフルな光を眺めて気持ちを落ち着かす・・・
太宰治の同名作品を原作としている。
よくは分からないが、何となく、大人でも子どもでも無い頃の少女の揺れる心を描いているのだろうか。
不条理なことが少女に降りかかってくるが、けっこう冷静にそんなことを受け入れているように感じる。世の中はこんなものなんてことを、もう理解しているような感覚は女性の賢さだろうか。同年の男なら、空虚な正義漢を振りかざし、それを熱く語るような話になりそうだ。
同時に自分は汚いというか、不条理というか、そんな世の中から距離を置いた傍観者でいることを良しとしているようだ。歩道橋の上でせわしく流れる光を世の中に見立てると、そんなものを上から目線でぼんやりと眺めているような姿からそんなことを感じた。これが、この時期の厭世観や、幼さからくる不安を発端にしているように感じると同時に、女であることのあざとさを感じるのは、女性クリエイターだけの公演だったので、何かそんな女の要素が含まれているのでがないかと考え過ぎだろうか。
「ひび」 : したため
私は生き物です。生き物で地球にいます。生き物で地球にいて肉食でも草食でもあります・・・
一人の女性が自己紹介なのか、何なのか、自分のことをひたすら繋げて語っていく。
私は生き物で地球にいて肉食でも草食でもあって脊椎があって・・・、人間で・・・、女で・・・、ハウスダストアレルギーで・・・、妊娠出産経験は無くて・・・、選挙権があって・・・
そこにもう一人の女性が現れる。
最初の女性はその女性に今まで語ってきたことを一つずつ確認していく。
そして、今度は後から来た女性が、自分の一日の行動を同じように繋げて語り始め・・・
これも、先の作品以上に分かりませんが、イメージは人間の素因数分解みたいな感じでしょうか。
最初の女性は、普遍的に人とはみたいな視点で解析を進めているようです。その結果は、思ったほど人間って複雑じゃないなと。少なくともあまり個性は出てこない。
まあ、人間と言っても、そんな科学的な視点からでは、単なる一生物ですから、仕方ないのかもしれません。
では、後から来た女性によって、人として生きるという行動に視点を移して解析したらどうなるか。これは、個々によって色々な経験をして生きていますからと思ったら、これも人名の固有名詞を変えたら、さほどみんな変わんないかもなといった感じ。
個性なんてものは、所詮、名前が違う程度なんじゃないのといった皮肉なんでしょうか。
「もしもし。生まれる前ですか。」 : 辻企画
3人の女性が順番に登場して、自分に宛てたような手紙を読みます・・・
うん、これは私にとっては、今年度、5本指に入る難解作品でした。
さっぱりです。
観終えた後、クリエイター同士の簡単なアフタートークを聞きながら、思ったことをメモした内容をそのまま書きます。
母から生まれて命を受けることを否定しているような感じ。
命は、その人自身が時間・空間を超えて繋げていく。前世の記憶とかがあるわけではないが、その人だけの一つの命を紡いでいくような感じだろうか。
自分自身で紡ぐという感覚を、いつ生まれたのか、生まれていないのかも分からない、時間も空間もどこにあるのか分からない、まだ見ぬ自分への手紙に想いを託すことで表現しているのか。
3人の女性が登場するが、一人目は比較的、普通に幸せな人生を過ごしている人がきっとあなたも幸せな時を過ごしているんでしょうねと伝えている感じ。
二人目は生まれるということで命を形に出来なかった人が自戒のような想いの中、生を受けたであろう自分に激しい祈りを込めている感じ。
三人目は孤立して寂しい人生の中で人と想い合う幸せな時を過ごす、又は過ごしていたであろう自分に救いを求めるような感じ。
自分はあなた。だから、あなたとは自分は出会えない。だから、こうして手紙で、その命の尊さを伝えたいような想いを感じる。
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