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2013年12月29日 (日)

おしゃれな炎上【がっかりアバター】131229

2013年12月29日 ウィングフィールド

前作を拝見して注目の劇団。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-10.html)
同じような方も多かったのだろう。
期待の高い観る前のコメントに、観た後の絶賛するコメントが私のTwitterのTLに並ぶ。
当然、私もかなりハードルを上げての観劇となる。

下ネタ、不謹慎ネタは相変わらず満載だが、前作よりもすいぶんとおとなしめに仕上げているなといった感想を持つ。
どうしてもそちらに目がいってしまうことへの反抗かな。
単にネタで笑わせるのではなく、人の生き方を深く追及して、不器用ながらも必死に生きる人たちへの願いを込めて、みんなで幸せな未来を微笑みましょうといったような表現を最終的に実現しているような気がする。
えげつないくらいの厳しい人生を描くからこそ、その幸せを願う真の気持ちの大きさが溢れてくるような感覚かな。
内容だけ記すととてもふさわしい言葉ではないが、素敵な作品だと感じる。

ニコニコクラブとかいう不遇な環境で育つ子供たちを集めた施設にいた姉と弟が、外の世界に夢や希望を求めて旅立つところから話は始まる。
と言っても、この施設、完全に気が触れた性的欲求の塊である女と、その女に惚れ込んで一緒になった斬新的な作品を創り出すAV監督が管理している、怪しげなところ。
二人の間には子供がいるが、マン○イタイタ丸なんて名前を付けられた上に、幼くしてチンコを切られるという無残な生き方を強いられることになっている。その反動なのか、なかなかのやり手で、今は自らパノラマ島とかいう金持ち達の楽園を管理する。キ○ガイを見世物にするなんてことをするため、人間を改造する研究もしているのだとか。

姉弟は、グロAV撮影中の女優から生まれ、生まれた直後から母親の脳味噌を腹いっぱい喰らうことになり、その後も女にこき使われるという異常な生い立ちを持つ。
施設にはこの姉弟の他に、父が肉屋を営んでいるが人肉喰いの趣味を目の当たりにしてきた上に、近親相姦をずっとされていたという大きなトラウマを抱えている女、両親がチンコで、普通に男チンコと恋なんかしたけどその村が人間の手により壊滅し逃れてきた、射精音で会話をする女がいる。
女を犯そうとやって来た強姦魔もいたが、有無を言わさず銃で撃たれ、今はパノラマ島でマン○イタイタ丸の実験台になっているはずだ。そして、スベるという辱めを日々受けているみたい。

こんな施設での生活に姉は疑問を感じながらも、弟は姉と一緒なら幸せだと言ってくれるので、流されて生きてきたが、共に過ごす者たちの話を聞く中で、外の世界に目を向けるようになったみたい。
弟は現状でまずまず、満足しており、ここを出て行くのはあまりが気が進まない模様。女にかなり、前立腺とか性の快楽を開発してもらったみたいで虜になっているみたいだ。
姉は弟が愛用するエネマグラで誘って連れ出してみたはいいが、特に行く当てがあるわけではない。
ちょうど、ずっと信じていた声優だか何かは知らないが、そんな女が実はクソヤリマンだったという裏切りを受けたとかいう理由で樹海で自殺しようとしている鼻におおきなほくろがあるオタクと出会う。
オタクは姉が処女だと聞き、定期的なセックスを代償にアパートを提供する。

先の見えない生活の中でも、姉弟は外の世界の空気に触れて新しいものを感じ取る。ピノなんておいしい物があることとか。
でも、弟はセックス三昧の姉とオタクの姿を見て、自分も快楽を追及したいと施設に戻ろうとする。
そして、オタクも自殺が引き伸ばされたので、以前、一方的に好きでストーカー行為をしていた女性の下を訪ねて一発やってやろうなんてことを考え始める。その女性は肉屋の娘なのだとか。つまり行先は施設になる。
そして、施設内ではAV監督の父親が息子であるマン○イタイタ丸のパノラマ島での活躍に嫉妬して、島を爆撃し始める。島には原発が仕込まれており、世界中に放射能がまき散らされる。
施設に集結する一同。
放射能に汚染されていく者たち。悲しき目玉だけの姿となった弟と再会する姉。トラウマに囚われて自らの未来を絶望の中で施設に託す肉屋の娘。改造手術により過去の記憶を全て消し去り、新たな人生を生きようとしている強姦魔。自らのチンコであった女を自らが招いた放射能で殺してしまうマン○イタイタ丸・・・

最後は、過去の呪縛から解放されて、新しい未来へと進めることになった肉屋の娘と強姦魔が歩み出そうとする姿が描かれている。
姉と弟。叶うことのなかった姉弟の虚構の夢なのか、それとも多くの願いが生み出した二人の希望ある実現した未来なのか。二人が外の世界の美しさを語りながら、飛び立とうとする姿で締められている。

下ネタ、不謹慎ネタのオンパレードに、熱量ある狂気的なキャラたちを演じる役者さんの力に隠れてしまって、なかなか話の髄は感じ取りにくいところがあるが、最後の感動的なシーンから推測するに、結局は生きることのつらさと、その中でも幸せを追い求めていこうよといった願いが込められているような感じだろうか。
不遇な環境で育ってきた人たち。運命という言葉では片づけられないくらいに、生まれ落ちた瞬間から、不幸のどん底に落とし入れられる者がいる。
同じ苦しみを共有しようと共に暮らしたって、その不幸は各々、テイストが違うから、互いに相入れあって、そこを超えていくようなものではない。
そう、愛なんか無い。あるのは気楽なセックス。快楽さえ感じられればそれでいい。それを幸せと思って生きればいいんだから。
歪んだ心、そんな心の奥底に押し込めた自分たちの苦い想いなのか、その肉まで不味くなるみたいだ。
外の世界に目を向けても、そこは自分たちが生きてきた環境以上に、異常が渦巻く。
創った楽園だって、放射能で地獄に瞬間に変わる。
生きるってことは、楽じゃない。と言うよりつらい。閉じこもったって、外へ飛び立ったってそれは結局変わらない。あるのは絶望なのだろうか。
それでも、それでもだ。幸せに人はなりたいし、きっとなれることを信じたい。
だから私たちは過去の呪縛を振り切り、未来という今よりも外の世界の美しさを信じて、歩みださないといけない。そこには、きっと、きっと本当に美しく素敵なものがあるからといった祈り。
そんなことを感じる作品だった。
で、そんな真面目ったらしいごちゃごちゃしたこと抜きにして、単純明快に笑える作品でもあった。

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コメント

ご来場頂きありがとうございます!マ〇〇痛々丸役のイルギです。観ていてこんなにたくさんの感想を書いて頂いて感無量です!!本当にありがとうございました!

投稿: イルギ | 2013年12月30日 (月) 14時08分

>イルギさん

コメントありがとうございます。

狂気的な不遇の役、お疲れ様でした。
最後のシーンは、悲しき運命を背負いながら、ずっと何かを追い求めていたような姿が浮かび、ようやく眠りについた悲しきマン〇痛痛丸に涙を誘われました。

また、来年もご活躍ください。

投稿: SAISEI | 2013年12月30日 (月) 15時27分

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