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2013年11月11日 (月)

毒入りのマカロン【ミジンコターボ】131111

2013年11月11日 インディペンデントシアター1st

ショートホラーオムニバス公演。
ホラーと言っても、この劇団らしく、ホラーの怖さを、笑い、楽しさ、優しさで覆いかぶせるような感じ。
最後も、怖さを全部くるんでしまうくらいの温かみで締めています。

一人芝居風の作品や、一人語りを魅せるようなシーンも多くあり、個々の役者さんの力を存分に見せつけます。特にもう新人さんというのは失礼なのだろうけど、そんな新しく入られた方々の表現力には力をとても感じます。
やっぱり、人が育つのって、環境とか上司の影響って大きいよね。

・寄ってくる・1

終電も終わった真夜中。
ホラー同好会の面々が、怪奇現象が頻発するメンバーのアパートに集まる。
部屋の主は、いまどきの若い子で肝っ玉が座ってるのか、ちょっとおかしいのか、余裕シャクシャクでゲームをしたりしているが、天井のシミが動いたり、ラップ音をはじめ、自分は不器用だなんて声まで聞こえてくるのだとか。とにかく霊的な何かがいるのは間違いない。
一個上の先輩は、完全にビビって、何か音がするたびに、ビクビクしている。それでも、平気なふりをしないといけないのが、先輩の辛いところだ。
部長は場を仕切っているが、いまひとつリーダー性に欠けていて、空回り気味。おまけに、誤魔化しているようだが、ちょっとビビってる。
そんな頼りない部長を温かく、というか、むしろ冷徹にか、補佐する女性も。
そして、今回は、部長が連れてきた、霊媒師の卵、もどき、まあ要するに普通の人といった怪しげな男も招かれている。
こんな面子で、恒例の怪談大会を始めるのだが
・・・

今どきの若い子を演じる弾けたキャラの西野遙子さん。嫌みのない、明るい、いい加減さを醸し、親しみやすいキャラを作り出している。ホラーと言っても、いつもの楽しいミジンコだって感覚で、作品に入り込ませる。
一個上の先輩の中元優那さんは、これまでよく拝見した豪快なキャラとは少し異にした、ちょっと清純派のおとなしめの役どころ。と言っても、メリハリの効いたオーバーリアクションは存在感を醸す。
どこか頼りなさとかだらしなさとか情けなさとか、ネガティブな雰囲気を醸し、いっぱいいっぱいになっている感じの部長の江本祥さんはお得意のキャラかな。それをクールに補佐する、Sun!!さんとのコンビネーションはうまくはまっている。
けったいな霊媒師もどきを、独特のキャラで演じ、登場と共に視線を集中させてしまう吉田青弘さんは、さすがの貫録。

・オープニングアクト

懐中電灯を使ったキャストパレード。

綺麗だったけど、ちょっとお顔が分かりにくいかな。
これがホラーチックでいいのだろうけど。

・二秒間

車を運転する男。ズボンの右足は血で染まっている。
交差点で信号待ち。信号が変わり、アクセルを吹かそうとしたところ、先ほどまではいなかった小さな女の子が目の前にいる。何やら顔色は青白い。
何が起こったのか。頭がパニックになって、周囲の時は止まったかのようだ。
ふと気付けば、車の窓には何かを握りしめた跡を残した無数の手が張り付き、その隙間から無数の視線が自分を見つめている。
後方からは、けたたましいクラクションが鳴り響く。もちろん、アクセルを踏めば、間違いなく女の子を轢いてしまう。
コンマ数秒の時が止まった静寂。
男の足が動く。
シーンは変わって、男は助手席でうつむいている。
運転する男は、ちょっと怖い話をしている。
呪われた交差点の話。
亡くなった数々の運転手は、何かに怯えたのか、死後硬直でハンドルを握りしめたまま、つぶれた車体で発見されるらしい。
そんな怖い話をしているのに、反応のない助手席の相方に気を使って、怖い話のあとの口直しのようにくだらないエロ話をする。
それでも、反応のない運転手は助手席の男に強く呼びかける。
顔を上げた助手席の男は・・・

ほとんどが男を演じる片岡百萬両さんの鬼気迫る、一人語り。その真剣な表情に魅入る。
切り替わったシーンでの、拍子抜けするような林裕介さん(劇団自由派DNA)の怖いけど、ほんわかトークを聞きながら、いつその終止符が打たれるのか、潜む恐怖である助手席の男を気にしながら見る。
まさに、ホラーの見せ方そのものでうまくできている。

・お一人様

喫茶店で会話する女性二人。
どうやら恋愛相談らしい。
彼氏が髭をそらないの。どうでもよさそうだが、ジョニーデップばりの男らしく、髭なんか伸ばしたものなら、かっこよくなり過ぎて、今以上に他の女性の目を惹いてしまうということみたい。
あまりにもくだらないので、相談にのっていた女性は帰ろうとするが、ちょっとテンションがおかしい相談する女性はそれを必死に引き止める。
LINEの返事もずっと返ってこない。まあ、気付かないとか、忙しいとか、色々あるんでしょと、軽くいなすように悩みの相談にのる。
いや、そんなことない。だって、その時、彼氏には時間があったんだもの。私、見てたから。
んっ、その場にいたの。
何となく不穏な空気が流れる中、彼女はかばんから双眼鏡を取り出し・・・

いわゆるストーカーの女性をSun!!さんが演じる。
明るい、普通の無邪気な雰囲気の中に潜む狂気。淡々とにじませる怖さの醸し方は絶品。

・寄ってくる・2

夜はどんどんふけてくる。
話がちょっと悪趣味なホラー映画のパクリみたいになったりもしながら、怪談話は進んでいる様子。
そろそろ、ラップ音や声が上の階から聞こえてくるはず。

・1/12

ティッシュ配りの女の子。
道行く人に声をかけても、なかなか相手にしてもらえるわけでもなく。
そんな彼女は、右手に包丁を持ち出し・・・

分かるような分からないような話。
何となく、みんなからティッシュを無視されているうちに、自分の存在も消えてしまったような感覚だろうか。
怒りや恨みと共に、自分に気付いてといったような殺人を始める。
犯罪心理のような感じで冷たい怖さが漂う。
すごく、冷静に淡々と女性を演じる真壁愛さんの醸す雰囲気が、その冷たい感覚を増長する。
ちなみに、作品名に何か意味があるのかと、日付をwikiで調べたら、年末まであと353日と書いてあった。
ちょっと、カッとなった。

・雑談

天狗のお医者さん、河童の水道局員、鬼の教師、家主の座敷童、何かよく分からないコギャルの妖怪の世間話。

キャラを活かした話題を巧妙にはめ込みながら、繰り広げられるナンセンス会話劇みたいな感じか。
寄ってくるシリーズの話のネタと連携もさせており、あのアパートの家主や霊の正体がここで明かされる。
どうやら、落ち武者が霊の正体らしい。
自分たちが百鬼夜行をしたら、それを見た人間は死ぬ。そんなことはこの妖怪たちはしない。
人に危害は与えないし、怖くもない。ちょっと色々と人間に気をつかって生きているみたいで、気の毒なくらいだ。妖怪や幽霊は怖くない。本当に怖いのは人間の念なんだろうな。
河童役で独特な雰囲気を醸す加藤智之さん(Danielonely)。飄々とした姿と、水に住み、誰よりもその川のことを知る河童が、その川の検査をする仕事をしているという不条理な設定がじわじわと面白い。
座敷童のちまきさんは、日本人形を抱えて登場。ご自身も人形のような整った感じの方なので、和風ホラーに様相が漂い、何となくゾクっとする。

・マカロンのおばけ

マカロンの妖怪おばさんの心の声を歌と語りで聞く。

公演タイトルがマカロンだし、この劇団を代表するお二人、片岡さんと竜崎だいちさんの二人芝居。
当日チラシを拝見して、どんな化学反応を起こすのかと楽しみにしていたが、スカされた感じか。
こちらの心理を読み取った構成が巧みである。

・寄ってくる・3

天井のシミは一ヶ所に集まり、激しいラップ音や声が聞こえてくる。
いよいよ、お出ましか。
部屋の主は、毎日のことなので、堂々たるものだが、他の者はパニック状態。
武士の人形が天井から落ちてくる。落ち武者。
罪人の首を斬る処刑人だった武士。そんなことが出来るような人ではなかったのだろう。
殿様に辞退するが、そんなことが許されるはずもなく。
そんな積年の想いが募って、このアパートに・・・

落ち武者の不遇な語り。
落ち武者の役は無く、あくまで人形。
この人形を持つ、部長と霊媒師の卵が憑依されて語るという設定になっています。
長い長い語りなので、セリフを覚えるのも大変でしょう。互いに人形を押し付けあったりして。
江本さんと吉田さんの息の合ったコンビが見れます。

・古今東西道場

ここは、ラストに向けての息抜きポイントかな。
作品名のとおり、怖いものネタでゲームをします。
この日のゲストは児島塁さん(Quantum Leap*)。発想が非常に面白い怖いものを言われます。
こういった仕事していたら、そうですよね。
私も、今、ここまで書いたブログの記事がもし消えたらなんて考えたら、それはもう相当怖いですもの。

・生贄

一人暮らしの女子高生。
右腕を怪我したらしく、色々と不便だろうと先生が帰り道、付き添ってくれたみたい。
コーヒーでもと部屋に先生をあげる。
とりとめのない会話をしていたが、同級生の女の子の話になると二人とも顔色が変わる。
先生のことが大好きだった同級生。噂では、先生といいことしているなんてことも。
その同級生が、昨日、大怪我を負い、今、命の危険の中で入院中。
先生は、その子と、昨日会って話をしたらしい。
正直に話して欲しい。同級生にあんな怪我を負わせたのは・・・
そんな先生の質問には答えず、女子高生は部屋のどこにいるのか、その姿無き者に語りかけ、先生を動けなくして、部屋に監禁しようとする。
私はあなたに生贄を捧げました。怪我した右腕の先の人差指は切断されている。
紙に鳥居のマークを描き、はいといいえの文字。五円玉を人差指で押さえ、そのまま指をはさみで切断。
指が動かないように串で刺して固定して、氷漬けにしたまま。
だから、まだこの部屋にいて、私に幸せをくれるはず、コックリさん・・・

土日に観劇が出来なかったので、運よく月曜日あった千秋楽公演を拝見した。ただ、このくらいの劇団になると、Twitterやブログで自然に情報が入ってくる。
吐きそうなくらいのグロい作品があるとか。
前日には既に観た人から、この作品が凄かったと聞いた。この作品を演じるお二人の役者さんの名前も聞いて、気持ち悪い狂気的な雰囲気なら加藤さんが如何にもと思ったが、どうやらそれは中元さんの方だと言う。
あまり、詳細は聞かずに、ちょっと半信半疑で、観に行った。
冒頭は中元さんの女子高生の制服姿に、いかにもうさん臭そうな雰囲気を漂わす先生の加藤さんの姿に、どうも事前情報との食い違いがあってピンと来なかったが、話が進むにつれて、それは納得。
確かに中元さんが、狂気の沙汰だ。逆に、加藤さんは、徐々に追い込まれて、狂気の中に連れ込まれる恐怖を見事に漂わせている。
グロいのは確かだが、張り詰めた狂気的な空気が非常にいい。

・寄ってくる・了

ようやく朝がやって来たみたいだ。
二人の男が倒れている。部長と霊媒師の卵。ようやく憑依が解けたか。
目が覚めた部長は、夢を見ていたという。
綺麗な花畑のようなところ。そこで、武士のような人とお別れをしたのだとか。無事に成仏したみたいだ。
まあ、色々とあった夜だったが、これで終了。
コンビニにでもみんなで行こう。
部屋を出ようとするが、一人足りない。肝心の部屋の主がいない。
まあ、放っておくかと、ふとテレビに目をやると、あの部屋の主の女の子が映っている。
昨晩、踏切で子供を助けようとして犠牲になった。
朝刊もきていたので、確かめると確かに記事が載っている。
ということは、昨晩、一緒にいたのは・・・

さんざん、部屋の霊に怯えていたみんなだが、実は、一晩、普通に幽霊と一緒だったというオチ。
これがとても温かく描かれています。ホラーオムニバスと言いながらも、やはりこの劇団の色は優しく楽しいものなのでしょう。
部屋の主は、その後、戻って来て、みんなと出会いますが、その時にはもう彼女の姿はみんなには見えません。朝になり、成仏するのでしょうか。
そして、新聞を読み、子供が助かったことを確認して、ひと喜びして、旅立っていきます。
そんな優しい彼女だったからでしょうか。みんなも、一晩、幽霊と一緒だったのに、何も怖くなかった、あんな幽霊になれたらいいなあと口を揃えて言いながら、悲しみを打ち消すくらいに、もっと大きな彼女への大切な想いを胸に、コンビニへ向かいます。
西野さんのサバサバした大らかな雰囲気に、とても温かく優しいものを感じます。

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コメント

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

投稿: 履歴書の特技 | 2013年12月 5日 (木) 10時21分

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