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2013年11月 4日 (月)

チェス【伊藤えん魔プロデュース】131104

2013年11月04日 ABCホール

チェスという一風変わった世界観の中で魅せられるハードボイルドに酔うといった感じだろうか。
チェスの盤上で、キングを守りながら、敵の領土を奪い取るという、戦士たち、つまりは駒たちの戦いが繰り広げられる。
誇り高き駒たちの生き様を見せるかのようなかっこよさが魅力的だった。

ホワイトリバーとデザートブラック。
凍てつく氷の世界と灼熱の炎の世界の白と黒の戦士たちが戦い合う。
作品名のとおり、キングの下、クイーン、ルーク、ビショップ、ナイト、ポーンに対応する戦士が駒として戦う。
何のために戦うのか。
戦いに終わりを告げるため、世界を統一するため、我がキングをたたえるため、他国への憧れを満たすため・・・
長きに渡る、互いの領地を攻め合う終わりなき戦争。
その中立の場所に世界樹がそびえる。
今、その世界樹が枯れ、朽ち果てようとしている。

世界樹がその生命を終える時、世界も滅びる。
かつても、同じようなことがあった。
その時はボビーフィッシャーという伝説の勇者が世界を救った。
デザートブラックに所属するナイト、チェスと呼ばれる男は、そのボビーフィッシャーの再来と噂されている。
彼は、ボビーフィッシャーが残した日記から、世界を救う手段を見出そうとする。
しかし、狂気的なホワイトリバーたちの戦士たちも、それを狙い・・・
チェスの捨て駒と位置付けられる様々な駒たちが、自分たちの領土、キングを守るための戦いが繰り広げられる。

舞台の床は白黒のチェス盤になっている。傾斜をつけて、客に見やすくしてくれているようだが、この傾斜舞台の役者さんへの負担は半端じゃないということをどこかで聞いたことがある。
アクションも多く、決して若くは無い、ベテラン級の役者さん方も多いので、相当、体に鞭を打った公演だったことだろう。
さすがは、関西小演劇界に名を馳せる方々ばかりなので、そんなことを感じさせないくらいに縦横無尽に軽やかに動きまくる姿も、役者さんの力強さやかっこよさを大いに感じるところだ。

各々のキャラは、それぞれの立場での宿命を背負っており、この永遠に続くとも思われる盤での戦いにおいて、敵対する駒同士がそのプライドを掲げて戦い合う。
キングを守るという絶対的な条件の中で、ある駒を犠牲にして戦いを優位にするとか、ナイトが最後に残っては引き分けになるとか、よく知らないがそんなチェスのルールを盛り込んだ戦いが非常に面白い。
駒一つ一つに、感情移入してしまうような話になっている。
我がキングを、領土を守るため。そんな無機質な盤上の戦いが、駒たちの様々な思惑が揺れ、感情のこもった悲しき戦争のように映し出される。

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