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2013年11月30日 (土)

ゴシップ【劇団レトルト内閣】131129

2013年11月29日 HEP HALL

気味の悪い作品だ。
閉塞された村の雰囲気を醸す舞台セット、照明と音響によるスピーディーなシーンの切り替え、狂気性を潜ませる登場人物たち。
どれをとっても、心がざわつき、不安感が煽られる。
作品名のとおり、偽りなのか真実なのかが交錯してあやふやになっていく中で、何か重大なことを秘めながら進んでいく話の展開。
最後まで観終えても、そんなもやもやは結局、解消されることなく、どこか不安と恐怖を感じたまま、劇場を後にさせられる。
迷走心理サスペンスと謳っているが、まさにその通りだと言えるだろう。

<かなり謎めいた話なので、劇団HPに裏サイトがあって、そこにこの作品の詳細な解説が書かれています。そちらを観ると、理解はかなり深まります。ただ、観劇前に見るのか、観劇後に見るのかは個人の考えですので、何とも言えません。私は観劇後に見ましたが、もし裏サイトの存在をあらかじめ知っていたら、多分、見ていたと思います。キーワード入力が必要ですが、そのキーワードは別にブログとかに書いてもいいようなので、ここに記しておきます。「nana」
裏サイトに関することはあまり書いていませんが、自分が観て思ったことの一部がネタバレにはなっていますので、以下、ご注意ください。白字にはしていません。公演は月曜日まで>

ビジューという村。
周囲を山脈に囲まれ、外界とは遮断されたところにあるようだ。
この村に住む人は、どうしてここに住むようになったかは分からない。ただ、誰もが来た時は一人だったようだ。
そして、みんな、何かよく分からない球体を持っている。その人にとっては命よりも大事なものぐらいの感じで、けっして手放すことは無い。

村には三人の捜査官がいる。
女好きで村の女も手当たり次第の言動もちゃらちゃらしている男。
捜査官としての使命なのか、犯人を捕まえて始末することに快楽を得ているのか、見た目は好青年の男。
そして、そんな二人を上手くあしらうような優秀な女性。Kというコードネームを名乗る。現状に苛立ちをどこか感じているのか、爪を噛むような仕草を時折見せている。
村人たちも奇怪な人たちばかり。
村で有名な女優、その女優の愛人である暴力的な男、その手下。
死体の下にすぐ駆けつけ、自分の子供だと言い張る母親を名乗る女。
女好きの捜査官の愛人の一人で林檎を売る女。
村で映画を撮ると言い出し、実際に撮影を始める二人組の男。
情報通で、ニューハーフの詩人。
7(nana)と呼ばれるあいとしあわせという薬を売る少年、その子と一緒に暮し、癌に怯える男。

ここに住む人はすぐに噂に惑わされる。
黄色いスニーカーを履くと幸せになる。そんな噂が流れ、女優が特別に仕立てた高級な黄色いスニーカーを盗んで逃亡した犯人が捜査官に追われ、殺される。
赤い服を着た女は魔女である。翌日、赤い服を着ていた娘が死体となって発見される。
妊娠した紋白蝶を食べると癌が治る。癌に怯える男は口いっぱいに蝶をほうばり死ぬ。
噂と共に殺される村人たち。
誰かが噂を操っているのでは。
そんな疑惑を持った捜査官は、その真犯人を探し出し・・・

謎を謎にしたまま、話は進む。
私が観ながら、分からない中でこうだろうと思ったこと。
ここは犯罪者たちが集められた村であること。その記憶は失われているようである。手にする白い球体は、そんな彼らの心のどこかに残る善意みたいなものか。自らの罪への認識が緩い彼らは、球体を失い、自分が犯罪者であることを受け入れることを拒絶しているかのようである。受け入れたくない現実。だから、これを手放せるようになった時に贖罪と更生への道が開けるような感じ。
自らが犯した罪によって放棄することになってしまったあいとしあわせは薬を飲むことで手に入れている。罪深き犯罪者たちに与えられる支援のようなものだろうか。よくあるボランティアのような人たちが囚人と面会して、愛を与える、あなたにも幸せになる権利があることを諭すようなイメージ。
噂にすぐ踊らされるのは、人が根本的に持つ欲望に支配されているような感覚か。犯罪を犯すといった誤った行動を起こす負の欲望は誰しも心に潜んでおり、それを抑え込んで正当に生きることがまだ出来ないでいるような状況を思わせる。
捜査官Kは母親を殺めている。そして、この世界はKの更生のために創られた世界である。その世界の管理人は7と呼ばれる少年。村にいる人はKと同じように犯罪を犯した者であり、同じく更生に向かわせるために同じ世界に同居させている。同時に、更生に必要な人も準備されており、気が狂ったような母親は、Kが記憶から消そうとしている殺めた母親。共に行動をする捜査官の男たちは、その犯罪に至った心理をKが理解することで、自身の犯罪に至った心理とも向き合うようにさせるためのキャラなのか。また、愛する、愛されるということを経験させ、生きるということの尊さを感じさせ、その生を自らが奪ったことへの贖罪の念を引き出させる。
愛人や恋愛関係が入り乱れているのは、そんな人間同士が関わる中の一人として自分が生きていることを認識させる。映画撮影は一人の人間を映し出すことで、その人には人生があり、それを奪うという罪を犯したことを理解させる。

と、こんな感じで理解しながら観ていた。
実際は上記したサイトを見ると、だいたいの答えが書かれている。
随分と間違った理解の仕方をしているところが多々あるが、何となくはこの描かれる奇妙な世界観を感じることは出来ているようだ。
この世界での更生プログラムのようなものは、Kが自分と完全に向き合うまで永遠に繰り返されるのだろう。
今回の話は、何回と繰り返された中の一つなのだろうか。そして、これからもKはこの世界を彷徨い続けるのか。
逃げ出すことも出来ないこの村で、自分の罪を受け入れ、その更生へと歩みを進める日は本当に来るのか。どうしようもなく、不安や焦燥を残す話である。

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コメント

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

投稿: 履歴書 | 2014年2月10日 (月) 11時43分

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