HELLO HELL!!!【劇団子供鉅人】131101
2013年11月01日 HEP HALL
この劇団の名物でもある音楽劇。
今回は地獄の亡者たちが繰り広げるミュージカル調の作品。
時期がら、ハロウィンなんかも意識しているのでしょうか。ピッタリのド派手な衣装に、弾けまくる役者さん方が、大賑わいの楽しい祭りとなっています。
格差社会や少子化、親子や人間関係の希薄、核廃棄物など、今、大きな問題となる社会風刺ネタも盛り込みながら、地獄での悲喜劇を描いています。
あ~、この世もあの世も、地獄に変わり無し。それだったら、たくましく、そして楽しく生きていかなあかんわなあなんて感じます。
<以下、若干ネタバレありますが、許容範囲と判断して白字にはしませんのでご注意ください。大阪は月曜日まで。その後、東京、北九州と来年まで公演は続きます>
地獄。
亡者たちは、どんな責め苦を受けて、例え死んでも、風が吹けば元通り。そんな永遠の繰り返しの時間を過ごす。
責め苦を受けて、安い給料を得て生活をするみたいだ。当然、普通にしていれば、貧しい生活で食うものも食えない日々を過ごす。
格差社会で、うまいことやる奴は、それなりの生活をしているみたいだが。
何処に行っても、要領のいい奴はいるものだ。そして、そんな奴にへばりついて、うまく生きようとする者も。
そんな地獄に落ちるべくして落ちてきた男。女たらしで、数々の女をひどい目に合わせてきた。最期は好き勝手やった女たちに次々に殺られたみたいだ。
男を追って、地獄に落ちてきた姉妹。
何でも、この男に二人とも騙されてひどい目に合わされたのだとか。いざ、復讐って時にはもう死んでしまっている。そうはいくかと、男の家族を殺して、自分たちも地獄にやって来た執拗さ。
怒りにまかせて、気付けば殺していたなんて人殺しは今の時代には似合わない。計画的に冷静に、自分のために人を殺す。
別府温泉地獄巡りをしていた新婚夫婦は、自分たちが死んで、地獄に落ちたことに気付いていない。
相当な金を持っているようで、何も知らずに札束を片手に本物の地獄見物。
何やら大きなトランクを持っている。
子供が入っているみたいだ。持っているお金もどうやら、その生命保険で手に入れたようだ。
子供が愛の結晶だなんて考えはかけらも無いのか。平然と自分たちの楽しみのためだけに、子供を犠牲にして平然とするこの夫婦は鬼よりも恐ろしい。
そんなことは露知らず。大事な物が入っているのだろうと、これを盗んで、返すのと引き換えに持っているお金をふんだくろうと企てる若い亡者グループ。
でかいことをやりたい。そして、大金で手に入れることができる免罪符で天国へ。
努力しても、それがかえってこない。ここ、地獄では永遠の繰り返しなので当然そうなのだろうが、現世もさほど変わらない。だから、自分の夢を叶えるには人を犠牲にするという考えが当たり前になる。
この世で、どうすればいいのか困っているプルトニウムを地獄で受け入れる。亡者たちは別にどうなっても知ったことじゃないし、運搬も貧しい金に困った亡者たちにやらせればいい。死んでもまた復活するし、いなくなってもさほど困りはしない。
そして、多額の金が動く。それをうまく手に入れようとする奴がいる。地獄の悪い奴なのか。いや、正しき行いをすると信じられている天国の天使だったりする。
開催される地獄の一大イベントHELL WOOD stock。
そんな地獄は何も変わらない祭典に亡者たちは踊らされ、裏切り裏切られの今日も地獄の日々を過ごす。
こんな話が、弾けるというか、もう爆発しているような奇天烈キャラたちによって繰り広げられます。
観ていると、風刺ネタがほとんど現世で実際にあるもので、ここが地獄という虚構世界なのか、リアルの世界を描いているのか分からない感覚に陥ります。
地獄も天国も、そしてこの世も何も変わらない。
この世で死んで地獄に行っても、地獄で死んでまた復活しても、目が覚めればそこは地獄。運よく天国に行っても、そこは地獄の成れの果て。
逃げ場が無いんだから、覚悟決めて生き続けないといかんよなって感じでしょうか。
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