-Open the-【MoonBeamMachine】131102
2013年11月02日 芸術創造館
ダンスにマジックに歌に・・・
詳細は下記していますが、総合エンターテイメント作品として仕上がった高級品でした。
そんな見事なパフォーマンスが繰り広げられる中、自己を突き詰めていくような精神世界が描かれ、楽しい中にも不安や恐れを醸した作品となっています。
詳細な設定は理解出来なかったのですが、まあ漠然と言えば、ある悲しき男の精神世界を覗いた作品。
博士と助手の女性二人。
病棟で行われる不思議な実験。博士は人の感情を取り出し、アンドロイドに植え付けるような研究をする。その成果がラビットと呼ばれる人形。
自分の感情の一部を持つラビット。
でも、重大なバグが生じる。
相反する悲しみと殺意が同居していることが確認される。
その詳細を調べるために、彼の頭の中へと潜り込んでいく。
・Prologue【拘束】~Opening Dance~
上記した設定の説明。
拘束された感情。
手にした鍵で、そんな感情が開いていく。
いつもながらの、かっこいい痺れるオープニング。
・Show.Ⅰ【悲哀】
灯籠流しみたいなイメージか。
あの世へ旅立つ死者の魂。
その魂の列に入り込み、右往左往するラビット。
慈しみよりも、現実なのか夢なのかの間にいるかのよう。
もう会えないという悲しみ、悔いを感じさせる幻想的な空間が醸される。
何となく気味が悪い。
・Show.Ⅱ【欲望】×Crystal Ball Performance
新たな感情が生まれる。欲望。
輝く水晶を手に入れたいという者たちの手を行き来する水晶。
物欲というより、自らの清らかな魂を取り戻すようなイメージか。
水晶に救いを求めるような者たちの姿が映し出される。
毎回、拝見するが、いつもながら、あの水晶の動きは不思議だ。
・Show.Ⅲ【嫉妬】×Magic
赤い光と共に浮き上がる布のマジックが行われる横で、嫉妬という感情が芽生え始める。
ゆらゆらと、でも内部では熱く燃えたぎる心の表現だろうか。
ただ、この嫉妬の感情が芽生える者の姿は、ラビットではなく、博士である。
このあたりから、博士とラビットが交錯し始め、何となく行く末が見えてくる。
漠然とした不安を煽られる。
・Show.Ⅳ【冷静】×Japanese Flower Arrangement
博士は、嫉妬の感情が、ラビットと同調することに焦る。
そんな、焦りの中で冷静さを保つための混乱した頭の中を描いているのか。
美しい生け花に混じって、意味の分からない物が混ざり込むパフォーマンスが繰り広げられる。
実験は中止。そんな決断を無理矢理して、混乱に終止符を打とうとする。
平静を保とうと、無理におちゃらけているところを、現実はそんなこと許さないとばかりにばっさりと切られるような印象を受ける。
・Show.Ⅴ【逸楽】×Baton Twirling
何だこれはと驚くようなバトンパフォーマンス。凄い。
そのバトンに興味を示し、一緒に遊ぼうとする女の子。
観ていた時は、このセッションの意味合いが全く分からず、パフォーマンスの凄さと女の子の可愛らしさを純粋に楽しんでいた。
全てを観終えた今から思えば、ここは、男が妻との楽しい時を過ごしていた過去へと遡っていたのだろうか。
・Show.Ⅵ【憧景】×Live Performance
ギターとボーカルのライブ。
曲目はMASQUERADEとMoon River。
美しいダンスパフォーマンスが見られるセッション。
意味はあまり分からないが、Ⅴに引き続き、そんな楽しい時間は、もう過去から流れ着いた今となっては掴むことのできない虚構であることを描いているのだろうか。
切ない気持ちになってくる。
・Show.Ⅶ【震怒】×Baton Twirling×Lighting
Ⅲの伏線どおり、これまでラビットとして位置付けらていた者がオリジナルで、博士が実はラビットであることが突きつけられる。
博士も本当は分かっていた。助手たちと同じラビットであることを。
行き場の無い、誰に対する怒りなのか分からないが、光るバトンや傘でその感情が表現される。
激しい怒りが、その光として表されているのか。
暗闇でクルクルと廻る光は、冷たくも深く根強い怒りをイメージさせられる。
・Show.Ⅷ【渇愛】×Song×Drama~vol.7本公演『月雪の娘』予告ショー~
来年2月にABCホールで行われる次回本公演の予告。
雪女の娘と盲目の剣士の悲愛を描いた和風エンターテイメント作品みたい。
最終的には、互いに心を通わすことのできなかった男と妻。愛し合っていても、その愛を与え受けとめることができなかった。そんな愛への渇望を次回公演のテーマと共に描いているのかな。
・Epilogue【解放】~The Last Dance~
精神に障害を起こし、妻に殺意が芽生えた悲しき男の精神世界を覗いていたみたいだ。
頭の中を覗ければいいのに。
彼の拘束された感情を、一つ一つ紐解いていけば、そこに相反する感情が生まれた理由も少しは理解できただろうに。
それが出来ないのが人間か。
人とは何を秘めているのか、何を持って自己を形成するのか。
人の神秘を描いたような構成になった作品のようだった。
そして、やっぱりここは、オチをブラックにするんだなあ。
最後の男の無表情な中にも、複雑にうごめく感情が詰まっているようなことを思わす姿は、人の怖さを心に残す。
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