いい匂いの人がブラブラしてる【コトリ会議】131102
2013年11月02日 OZC GALLERY
60分強の公演。3つの短編集です。
土日に10公演という強烈なスケジュールで、初回の土曜日13:00を皮切りに3~4時間おきに上演されます。
そのため、深夜2:00とか、朝の6:00とかにも上演があるのですが、それを意識した公演なんでしょうか。
ちょっとほろ酔いか、徹夜明けでナチュラルハイ状態になっているとか、とにかく少々、頭がおかしくなった状態で観に行った方がいいような作品となっています。
壊れている。これが感想です。
3つの短編を観終えて、ぽかーんとなります。
いったい何だったんだろうかといった感じ。
ただ、一つ、全編を通じて、しっかりと完成するものがあります。
その出来上がったものを見て、達成感を味わうなんて観方もできるでしょう。
<以下、微妙ですが、ネタバレしているところもあるので、ご注意願います。見たところで、観劇に支障は無いと判断して、白字にはしていませんが、真っ白な状態で観るという方は、重々、お気をつけください。公演は日曜日まで。このブログアップ後も、まだ8回あります>
・きょうの贖罪
静かに椅子に座っている姉。
兄がスーパーの買い物袋を手にして帰ってきます。
カレーを作ろう。買い物袋の中にはカレーのルー、じゃがいも、玉ねぎ、そしてペットボトルの水。
躊躇しながらも、具材を切り始める姉。
兄は奥の部屋のおじいちゃんに挨拶をしに行く。仏壇のチーンという音。
おじいちゃんは死んで、明日には火葬されるのでしょう。
おじいちゃんは、けっこう早くから寝たきりになった。チーンという呼び鈴で呼ばれても、めんどくさいからなかなか行ってあげなかった。何だったら、じゃんけんして負けたものが行くなんてことも。
おじいちゃんが好きだったカレーを作る。もう食べられないけど、作ればせめて匂いが嗅げるのではないかなんて兄は思ったのかもしれません。
そんな中、妹が帰ってきます。
両親が出掛けて留守を任されている間に、この出来の悪い兄は、また不謹慎なことを。しかも姉まで一緒になって。
妹は怒り出しますが、姉の様子が急におかしくなります。
おなかすいたなあ、ごはんはまだか、カレーが食べたいなあ・・・
憑依体質だという姉におじいちゃんが入り込んだのでしょうか。
気味悪がる妹も、徐々におじいちゃんとのことを思い出し、おじいちゃんにしてあげられなかったことへの贖罪かのように自分も野菜を切り始める。
亡くなってしまってから、その人への悔いの念が出てくる。
おじいちゃんですから、きっとこの三人の孫のことを可愛がってくれていたのでしょう。なかでも、妹は一番可愛がられていたのだとか。
でも、寝たきりのこととかあったり、自分たちは自分たちの生活がありますから、ちょっとうざい気持ちが出てきてしまうのは仕方がないことかもしれません。
でも、みんな心の中では、そんなおじいちゃんへの感謝の気持ちはあった。
最期の時、その想いをおじいちゃんの大好きだったカレーに込めて伝えようとする。
火葬されて、天へと昇る煙と一緒に、カレーの匂いは三人のありがとうの気持ちが込められて、おじいちゃんと一緒に天に向かうのでしょう。
・カコミちゃんは、いつまでたっても
窓際に座り、思わせぶりに左腕に包帯を巻く女性。
先ほどの作品で切られたカレーの具材を炒めるDJ風の男。
荷物を持ってきては、受け取り拒否される宅急便の人。
女性は朝起きて、歯を磨いて、ごきげんようを観て、うたた寝して、・・・なんて一日を過ごします。と、DJ風の男が説明する。
そんな生活が徐々に崩れてきている。東に行った彼が帰ってくるのをを待っている。カレーを作っているのは、その匂いに引き寄せられて戻ってこないかと思っているらしい。
やがて、女性は宅急便の荷物を無理やり受け取らされます。
そこにはお湯が入っています。
・・・
と、何やら意味が分からない話。
よく分かりません。
感じたままに解釈すると、女性はどうも彼氏が東、大阪が舞台なので東京にでも行ってしまったのでしょう。恐らくは女性よりも自分の夢を追い求めて。
その寂しさからか、女性はカレーを作って待つ女になってしまいます。
包帯はその悲劇のヒロインっぷりの象徴でしょうか。
でも、その作っているカレーは炒める段階で先に進めない。先に進むために必要なものはお湯。今度は煮込まないといけませんから。お湯を持ってくる人の役名がミライちゃんなので、未来のために必要な物ってとこなのかな。
それをずっと受け取るのを拒否していましたが、ようやくそれを受け入れ、カレーを作ることが出来るようになった。
カレーの完成は、彼との別れの受け入れ、新しい自分の完成と繋がっているのかな。
最後の方では、女性とDJ風の男が入れ替わったような状態になります。
彼もまた、遠い東の地で、女性と同じように苦しみながらも、その悲しみと決別して、自分の夢への道を歩めるようになったということでしょうか。
・おれの二の腕はどうだ
戦時中?
ボランティアとして働く人たちがいます。
右腕を撃たれて、穴が開いたままなので、腐ってしまっており、痛いし臭い男。
そんな男を気遣いながらも、その臭さに顔をしかめる女性。
男の痛み止めをくすねては、それを飲んで、トリップしている女性。
二作品目までで炒める段階まで進んだので、最後に具材を煮込んでいる女性。
そんな人たちの下へ、戦争が終わると伝えにやって来た男。
そこに、敵国の兵士が銃を手に入り込み・・・
と、さらに意味が分からない話。
3作品を通じて、ホップ・ステップ・ジャンプと段階を踏んで、意味が分からなくしているのか、この作品のカオスは常軌を逸脱しており、完全に思考停止でした。
こちらも、感じたままに解釈すると、右腕の撃たれた穴は、社会の汚点みたいな感じでしょうか。ボランティアで戦争に自らが携わっているわけでもないのに、こうして怪我をしてしまう。その傷は深く、痛くてたまらないが、男は決してそう言いません。それが腐って異臭を漂わせていても。
周囲もその匂いに気付きながらも、どこか距離を置いて知らない振りをする。
震災の原発問題とかを描いているのかなあとも感じます。
それは、男を気遣う女性の役名がオリンピックで、こんな大きな問題を抱えているのに、そんな祭典に惑わされて、見えない振りをしてしまえるような感じがするからです。
トリップする女性は、そんな問題を解消しようとつぎ込まれるお金や人の想いを食い物にしてしまうような悪い人の象徴。
停戦を伝えに来る男は、もう終わったから、そんな右手は切ってしまえと、問題をうやむやにしようとする人。異臭を感じているのに、絶対に臭くないと言い張っています。今の政府みたいな感じでしょうか。
敵国の兵士は、まだ何も解決していないと、鋭く糾弾してくる人。だから、停戦を促す男を撃っています。
と、まあ無理やり、途中からこんな話にすり替えて観ていたのですが、よくは分かりません。
ただ、最後にカレーは無事に完成して、みんなでカレーライスを食べられるようになったということだけは確かです。
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