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2013年10月27日 (日)

並行戯曲【私見感】131027

2013年10月27日 ウィングフィールド

この劇団には本当に申し訳ないな。
この素晴らしさを、私は、言葉遊びを多用して刻まれる言葉をリズミカルなテンポで紡いでいき、魅力的な役者さん方の統制とれた動きと巧みな心情表現で話を展開し、作品の本質を心に訴えかけてくるような作品でしたとしか表現できない。

こんな言葉は、過去の作品の感想でも書いているので、もう今さらといったところだ。
(回想戯曲:
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/120203-c561.html
(進化戯曲:
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/121021-b0e9-1.html

あらすじは、仕事がたてこんでいて、時間が無いので省略。
と言うのはもっともらしい言い訳で、本当はほとんど書けない。
実は少し寝ちゃったから・・・
こちらの言い訳は、下述する。
台本、DVDが販売されるので、そちらを参照に。

まあ、簡単に書いてしまえば、ある一人の男が、一人の女との出会い、共に時間を過ごし、そして、別れるまでを描いている。
ただ、男は無数に拡がる分岐点にいつもいる。
もし、こうしていたら、こうなっていた、かも。
そんな、もしやかもの世界は、自分の進んでいる道と並行して進む無限の道である。
そんな道は、今の自分を中心に無数に拡がっていき、あたかも今の自分を中心に同心円状に拡がっていくようなイメージを植え付けているみたいだ。
舞台上では、男や女役を固定せず、様々な可能性の自分の進んできた、進む道を同じ空間で描く。
会話する二人の、すぐ隣には様々な可能性のまた違う道を進んでいる二人の数組が常に描かれる。
舞台という一つの空間で、これが重なる様に演じられ、上記した同心円状の拡がりを意識させるような演出といったところだろうか。

男と女は、銀河鉄道の夜のジョバンニとカンパネルラになぞらえているみたいだ。
上記した女との別れは、女の死へとつながっている。
ジョバンニが銀河鉄道の旅の中で成長して、カンパネルラの死を見つめ、生を意識できるようになったように、男は、この世界が無限の可能性の道が並行して進むことを知ることで、女の死を受け入れ、自分の生の道を見出したようだ。
もし、女ではなく、自分が死んでいたら。あの時、こうしていたら。
そんな数々の可能性への道を進まなかったことを悔やみ、そこで歩みを止めるのではなく、そんな世界の道も常に自分の隣で一緒に並んで進んでいるような感覚だろうか。

女が死んだ後、その角膜は誰かに移植され、再び、世界を見ることが出来るようになった人が生み出されている。
カンパネルラのように自己犠牲精神を表現して、そんな切ないが優しい世界を一つの皆が幸せにということを願う正しき世界としているのだろうか。
その移植された角膜によって、女の生は誰かの人生の中で視覚として繋がれる。
死によって、その拡がる同心円状の並行世界はそこで収束するのではなく、その人の想いを抱えた人の中でさらにもう一度拡がっていく。
そんな可能性の一つ一つが世の人たちの一人一人を幸せへと導いているように感じる。何やら、本家の銀河鉄道の夜よりも、その優しき想いが伝わるなあと感心。

もしはもしでなく、かももかもじゃないのかもしれない。
今いる自分のすぐ隣にいる可能性の自分は、あの時、ああした自分であり、それは別次元にいるのではなく、重なり合って並んで歩いている。
そんな様々な可能性の自分と一緒に常に人生の歩みを進めているのだとしたら、これほど勇気を感じることは無く、何事にも悔いなく、積極的に挑戦していけるのではないだろうか。
並行。重なることは無くても、常に目をやれば、自分の傍にもう一人の自分が前へと進んでいる。そして、そこにはきっとその道で出会う人がいる。
そんな無限の可能性の道を進む自分たちが共に行く人生という考えが何か素敵に思う。

上記したように言葉遊びは、数学用語と日常の言葉を絡めて、いつもながらの巧妙さを醸す。これを8人の男の役者さん方がリズミカルに刻んで紡いでいくのだが、途中、それに飽きてしまう時間が出てきた。開始10分ぐらいから40分ぐらいまで。70分の作品なので、実はけっこうその時間は長い。
一本調子というか、繰り返されるシーン転換に、最初は違う可能性の世界への新しさを求め、心が沸くのだが、話が進むに連れて、それはどこかの世界の続きであり、新しい世界は出て来なくなる。話自体はそう盛り上がるようなものではないので、ここが、どうも退屈感を得てしまうところであった。
まあ、これをカバーしているのが、役者さんの統制ある動きや、リズミカルに刻まれる言葉遊びの妙が絡んだセリフであったり、意外と全員に奇怪な巧さを感じさせられる、絶妙の感情の込もった異性の演技だったりするのだが。

だいたいの方を拝見したことがあり、Twitterで言葉遊びならぬ、写真遊びをして役者さん紹介がされているのだが、、まだ顔と名前が一致できない方がいる。
そんな方々も、なかなか巧みな演じ方をされるなあと思って観ていたが、今回はやはり、これまでにも拝見したことがあるこの方が心情表現の豊かさで一番目を惹いたかな。下野佑樹さん。

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コメント

ご来場ありがとうございました!
主宰の緑川です。
今公演も丁寧なご感想ありがとうございます。
展開がやや単調と言うご感想を他の方からもいただきました。
自分自身、力不足だったなと感じたところでもあります。
次回公演ではそういったことがないように、演出・脚本を勉強し精進していきたいと思います。
ありがとうございました!!

投稿: 緑川 | 2013年10月29日 (火) 00時56分

>緑川さん

コメントありがとうございます。

お疲れ様でした。

単調さは何とも言えないですね。
そんな展開があるからこそ、最後のシーンが心を打たれるのかもしれませんし。

この感想を書いた後、進化戯曲をDVDで拝見しました。
感想で書かせていただいた様々な良かったところは、前回よりもさらにパワーアップしていたんだなと感じました。
今後も、更なるご活躍を期待しております。

投稿: SAISEI | 2013年10月29日 (火) 09時36分

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