FLAG【エニシダワゴン】131005
2013年10月05日 オーバルシアター
思っていたより難解な作品で苦慮する。
迷える人たちが今の時代を生きていくことを描いている感じかな。
なぜ迷うのか、迷いながらもどう生きているのかを見詰めてみた個性的な作品に仕上がっている。
ベースに電脳世界という、まあ、ありがちな設定を用いている割には、これまでに無い不思議な感覚を得る。
ただ、後半がつらい。どうしても飽きがくる。
パフォーマンスや個性的な役者さんの魅力でカバーしているとはいえ、全体的に淡々とフラットな話の展開であり、盛り上がりのポイントが分かりづらかった。
どう収拾つけるのか、それこそどういった選択で作品にオチをつけるのかが不安になるくらいにぐちゃぐちゃにしてからのラストを迎えれば、この個性的な話から感じられるメッセージがより引き立つような気がするのだが・・・
ベテラン刑事と新米刑事。
これまでの捜査は、自分の心に聞くみたいな勘で勝負してきたベテラン刑事。
時代の波に乗り切れず、いまだ携帯からはアンテナが出たりしている。
一方、新米刑事は今の情報機器を使いこなす。
エーテルウェブとかいう最新の機器でSiriから得た情報は捜査にも大きく役に立っている。
最近では、他の部署からも一目置かれる存在に。
男一人に女二人の同居生活。
各々、恋愛、仕事ともにいまひとつさえない生活を過ごしており、欲求不満はたまる一方。
互いに男女の恋愛的な意識はしていないが、寂しさからか少し寄りかかってしまう時も。
そんな一昔前のトレンディードラマみたいな設定を生きる人たち。
そして、お決まりのように、愛があるのか無いのか、男は女を抱こうとする。
バグハンター。
最新の高性能機器、エーテルウェブの脆弱性を目の当たりにしながら、日々そのバグを潰す。
いくつもの選択を試しながら、行き詰まってしまう道に、何度もやり直しをかける。
蓄積する心労。傍では独立したプログラムで自由に動く不思議なキャラが駆け回っている。
同じような仕事をする仲間との会話は仮想世界で。
こんな人たちが、エーテルウェブの世界に入り込む。
これまでの人生を踏みしめながら、新しく入り込む情報に基づいて、取捨選択を迫られる。
氾濫する情報から、自分でそれを取捨選択して、道を決めていかなくてはいけない時代。
いつの間にやら情報至上主義に走る者、これまでやってこれた感覚を残しながらもそれを貫くには不安がある者。
自分を信じて、力強く。氾濫する周囲の情報に耳を傾けながらも、自分の決めた道を頑張ってみたいな感じだろうか。
どうしたらいいのだろう。選択が迫られる時。
こんな時、最新の機器に従っても、流れに身を任せても、頑固に自分の勘に委ねても、最後に決めるのは結局、自分。
旗の色は赤色。白旗挙げればそれでお終いでそうもいかないのだろう。
振られる赤旗はエールのような感じで捉える。
便利なのか不便なのか、少なくとも生きやすいとは思えない時代に生を受けた私たちが、揺らぐ自分を見詰めながらも先へ歩を進める姿が浮き上がる。
変動する時代に生きることを真摯に見つめ直してみた面白い作品だと思う。
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