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2013年9月 2日 (月)

約束【劇団空組】130901

2013年09月01日 インディペンデントシアター2nd

忘れていた大切なことに気付かせてくれる。
自分の周囲に溢れている想い合い。そんな人との繋がりの中で自分は生きているんだなあと。
自分の想いも、相手の想いも大切にしたい。そんな気持ちを人は互いに約束として形にするのだろうか。

毎回、作品に込められたメッセージに心を熱くさせてくれる劇団。
今回は、さらにレベルアップした歌・踊りのエンターテイメントでより魅せる中で、そんな大切な想いを感じさせてもらった。
前回よりは少し笑い控え目の少し重ためかな。
そんな重たさも明るい笑顔で吹き飛ばしてしまおうという願いも感じられる素敵な話でした。

隣国では敵国との戦争が活発化。
この国にもその脅威は迫りつつある。
国王のレン。とにかく行動することをモットーとする少しお調子者。
でも、国民の信頼は厚い。
隣国にも頻繁に足を運び、状況把握に努めている模様。
長く続く戦争による不景気で疲弊する国民のために、5年ぶりに儀の祭りを行うことに。
しかし、弟のコウキは、これを快く思わない。

5年前。
今よりはだいぶマシだが、同じように戦争の脅威が迫っていた頃。
レンとコウキの父親である、前国王は、国を守るために、自らが隣国に赴き、戦火に巻き込まれ死亡。
まだ、王としての自覚が足りない兄弟を残して。
行動派で落ち着くことが無いレンは、いつかは国を出て活躍の場を見出すであろう。落ち着いて冷静な判断が出来るコウキが、その時、国を治める。父とはそんな約束をしていた。
王族の娘、マイカ。
レンと同じように積極的な女の子。妹、百合華が生まれ、自分がみんなを守らないといけないと思っている。
コウキとは、憎まれ口を叩き合いながらも恋仲だった。
そんなマイカは、儀の祭りで舞を舞った後、翌年の祭りには戻るとコウキに言い残して、5人の側近と共に戦地に向かった。
そして、全員、戻ることは無かった。
後に、これは兄弟のどちらかを出兵させろという隣国の要請に代わって、自分が国のために戦争に向かったことが分かる。
守られなかった約束。
それはコウキの心に深い傷を残し、その時からずっと前に進めずにいる。

5年の時を経て、儀の祭りが復活することになった。
当時、まだ幼かった妹の百合華は、ショックだったのか姉の死を記憶から消してしまっている。
そんな百合華の下に、1人の明るい女性と5人の仲間が現れる。
百合華だけに見えるらしい。
百合華は、この女性が自分の姉、マイカであることを思い出していく。
そして、レンやマイカと仲の良かった側近の女性は、姿は見えなくても、百合華の側に今、マイカがいることを信じる。
そんな中、戦争はさらに激しくなり、レンはかつてのマイカのように、隣国の要請に従って、自分も戦地に赴く決意をする。
その前に行われる儀の祭り。
舞を舞うのは、百合華。経験が無いけれど、彼女の下に現れているマイカに指導をしてもらうことになった。
開催される儀の祭り。
姿の見えないマイカに、あの時の約束が果たされなかった悔しさを伝えるコウキ。
百合華は、あの時のマイカの想いを託されたかのように、美しい舞を舞う。
その想いは、コウキの心に響き・・・

話はとても分かりやすいのですが、書くとけっこう複雑になってしまうのでDVDを購入しましょう。
ここは、商売っ気が無いのか、何と500円で販売しているみたいです。
レンとコウキ、コウキとマイカ、レンと側近の女性などなど、各々の想いが恋愛感情だけでなく、大切な物を守りたいという精神を通じて、深い心情を込めて描かれています。
上っ面の言葉ではなく、約束という形でこの真摯に相手に向けられた想いを、様々な関係から感じ取り、心震わせることが、この作品の最大の見どころだと思います。
ダンス、歌、笑いなどの数多くのエンターテイメント要素は、これまで以上にさらにレベルアップしていますが、その魅力はもちろん、それに込められた熱い想いが全員一丸であらゆる言動で表現されているところがとても力強い優しさを感じさせる素晴らしい作品に仕上がっていました。

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