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2013年8月 4日 (日)

さらば、クリーニング店 しろくま屋。【劇団青い鳥】130803

2013年08月03日 ウィングフィールド

死んでしまった母と残された姉と弟の会話劇。
姉弟の掛け合いは、微笑ましく、面白い。その中で、揺るぎない心温まる姉と弟の絆が感じられる。
もう母は、姉弟と掛け合うことはできないが、それでも、何かまだ繋がっている感覚を残す。
生死を超えた家族の純粋な絆から、生き続けることの重みとその大きな喜びを思わせる温かい作品。

舞台はクリーニング店、しろくま。
数時間後には引っ越しという状況で、段ボール箱が積み重ねられている。
妙齢の女性は、その準備を一人でせわしくしたみたいで、頭はボサボサでパジャマ姿。
その隣では、何やら動物の着ぐるみみたいなタイツを着た男が揺ら揺らと動きながら、自分の世界に入り込んでいる。しっぽなんかも付いている。
今日で店じまい。近所のおばあちゃんが、この慌ただしいところにクリーニングを取りに来る。少しぼけているのか、閉店の挨拶はしたはずなのに、あまり覚えていないようで、歩行器をひっくり返すぐらいに驚いている。
もうすぐ引っ越し業者は来るだろうしイライラしている女性に、呑気な男。
言い合いになって、ケンカが始まる。
そんな二人を、羽根の生えた女性が間に入って、仲裁している。

妙齢の女性と男は双子の姉弟。
弟は脳性まひの障害を抱えている。つんつんつくしの会とやらに入って、変な踊りに目覚めており、その発表会のイメトレをしているようだ。
羽根の生えた女性は、母親で一月ほど前に風呂場で亡くなってしまった。今日であの世へ向かう予定となっている。演劇でありがちな、生きているのか死んでいるのか分からないような風には全くしておらず、はっきりと羽根を生やして、死を描く。
父親は、二人がまだ小さい頃に女と失踪してしまい、それ以来、母手一つで姉弟を育ててきた。
先ほども、近所の婆さんが愛着を持ってやって来るぐらいに地元に愛された大事な店ではあるが、母親不在で姉だけではもうやっていけず、たたむしかないという状態。
弟は、父に似たのか、なかなかの女たらし。ストライクゾーンもかなりの幅を持っているみたいだ。
そんな弟が、いきなり結婚すると言い出す。
そして、その相手なのか、リツコさんとかいう人から電話。
どうやら、職場近くの喫茶店のウェイトレスらしい。歳は38。5歳の子供もいるみたいだ。今度のつんつんつくしの会の発表会も観に行くつもりらしい。
ついこないだまでは、職場の何とかちゃんとか言ってたぐらいなのに大丈夫なのか。騙されているんじゃないのか。
それに、大した稼ぎも無い私たち姉弟が、どれだけ苦労して、二人が暮らすアパートを探したのか。

話は、そんな状況で、引っ越し業者が来るまでの約1時間ほどを、姉と弟、そして、姿の見えない母親がこれまでのことを振り返っていくだけである。
そこから、家族各々の想いが描かれていく。

普通に生きる人を舞台に登場させようと創られた作品らしい。
当たり前に生きて、当たり前に死んで。
舞台には、生と死の象徴がある。健常者と障害者がいる。
姉は心に悩みを持っているみたいだ。解消するにはどうしたらいいのか。母が亡くなったことで、その悩みはさらに大きくなったかのようにも想える。でも、いつの日か消える日もくるだろう。
弟は障害を抱える。治ることは無いのだろう。一生、それを抱えて生きていかなくてはいけない。姉の心の悩みの一つが自分のことであることも分かっているだろう。母の死によって、その悩みが増してしまうことも。
二人とも生きている限り、障害があろうと、どんなに悩んでいようと、生を受け入れ、生き続けていくしかない。
そんな生から解放されたのは、この舞台では母親だけ。それでも、母親は未だ残された姉弟のことが心配で、あの世に旅立つギリギリまで何か残してあげたいと思っているのだ。死だって楽じゃない。
生だろうと、死だろうと、人は色々とつらいことを抱える。でも、それ以上にたくさん幸せなことも味わえる。どんなちっぽけなことでも。それを想ったら、自然に笑顔にならないだろうか。
そんな感じで、姉も弟も母も、いくら表情を曇らせても最後には絶対に笑みを浮かべている。
そんな姿が、当日チラシに書かれている尊さに繋がっているように感じる。

当日チラシには、各登場人物のこれまで、それからが書かれている。
母は当然、これまでがたくさんで、それからはもう無い。姉と弟のこれまでは共通。でも、弟のそれからは少ない。姉のそれからはきっとたくさんある。
それを読んでしまったので、少し切ない。でも、よかったなあと思わせるところもある。
たまに聞くけど、人物像の背景をここまでしっかりさせて作品としたりするんだなあ。
そういう効果が出ているのか、すごく登場人物が生きている感覚は強かったかも。

登場人物は全員、温かい。
お姉ちゃんはがさつなんだけど温かさが滲む。
お母さんも同じか。威勢のいいおばちゃんなんだけど、温かい。
弟もそうなんだよな。同じことばかり書くことになるけど温かい。そして、すごく面白い人。
そんな人たちだから、大切な絆でこれまでも、そしてこれからも繋がり続ける。そこに生死というものは関係ないように。

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