ショコメ!【演劇畑ハッピーナッツ】130818
2013年08月18日 インディペンデントシアター1st
気楽に楽しく観れるコメディーを創られることは、これまでの公演で分かってはいたが、コント集となったらどうかなと思いながら足を運ぶ。
思っていた以上に面白かったので驚いている。
作品間の場転も非常にスムーズで、テンポのいい観劇が出来た。
そして、単純に全8作品がハズレ無く面白かった。
ボケとツッコミがはっきりとしていて、その掛け合いがマシンガンのように隙間なく撃ち合われる。
その周囲に個性的なキャラを登場させて、その応酬に拍車をかけているようだった。
これだけのものが観れるなら、ここのコント公演は今後も必見だ。
・世界一のパイロット
飛行機に時限爆弾が。
色とりどりのコードが全部で16本。
どれを切ればいいのか。
機長が持ち込んだエロ雑誌の星占いのラッキーカラーにでも頼るか。
全くをもって頼りにならず、もういっぱいいっぱいになっている機長に、肝っ玉の座ったCAの激しい掛け合い。
CAの度胸ある決断で3本にまで絞られたコード。
二人は意を決し、二人で各々一本を選んでコードを切ることに。
もし、生き残ることが出来たなら、きっと二人には愛が芽生えるはず。
果たして、爆発を解除出来るのか・・・
もう腹立つくらいに決められない男、機長の中平裕さんの熱演。泣きわめき、逃げだし、逆ギレし。見るも無残な情けない男を体をはって演じます。
冷静な毒のあるツッコミで、機長と絶妙な掛け合いをする春海るりさんとの見事なコンビネーション。
・大女優、由美子
売れっ子の大女優、由美子。
今日は、自分に絶対服従のマネージャーを連れて、プロデューサーとADと出演予定のドラマの打ち合わせ。
その地位を利用して、我儘三昧。
共演者に同じ事務所の男を推薦しようとするが、若手イケメンの写真を見せられて・・・
典型的な勘違い大物女優の松浦由美子さん。その個性的なキャラで、妙齢のガツガツした肉食系女子の姿を映し出します。
他人事のような視点で、冷静なツッコミをボソっと入れるAD、成瀬トモヒロさんも面白い。
・ジェイサン日の金曜日
女性を誘って、明らかにデートコースとしては失敗の能勢の山奥の湖にやって来た男。
13日の金曜日なので、あのチェーンソーにマスク姿の伝説のキャラが登場。
ところが、ジェイソン、新品のジーンズがきつかったのか、こけてチェーンソーで大怪我。
心配しながら、声をかけると、けっこういいおじさん。普通に会話が成り立つ。
救急車を女性が呼びに行っている間に、男は恋愛相談。
女心を掴めない男に、呆れたジェイソンは、二人のために人肌脱ぐことに・・・
どこかの飲み屋にいそうな、普通のいいおじさん姿のジェイソン、岡田英樹さん。一言、一言が自虐の雰囲気を醸していて面白い。
普通の男だったのに、急に自分は所詮ダメみたいな、これまた自虐的な男に急変して場を沸かす藤本直樹さん(劇団潮流)。
・お化け屋敷
幽霊役として、やって来た新人バイトを指導する先輩。
うらめしや〜。
元気いっぱいに明るくやるので全然、怖くない。
貞子のようにと言えば、生まれたての羊のようだし、もっと這えと言えば、匍匐前進。
話を聞く気があるのか、平然としているバイトに、もう疲れて・・・
コントとしては、ありがちなネタなのだが、一番面白かったかな。
先輩、バイトの全く隙間の無い、マシンガンのようなボケとツッコミの応酬が見事。
アホ丸出しのバイト、山本なぎささんの飄々とした姿、激しくツッコむ先輩、初恋双葉さん(魔法のチョコレート)の疲れ切って、逆にどんどんテンション上がっていく姿の対比が笑える。
・THE 交渉人
彼女の家でDVDを鑑賞するカップル。
男は、あまり興味が無いのか、ほとんど寝てる。
もう、寝ようという男の言葉に、女はなかなか言うことを聞かない。
とにかく、寝たい。スリープではなく、プレイ的な意味で。
なりふり構わぬ男の説得。
その貪欲なまでの寝たい気持ちは、彼女の男を真摯に想う気持ちを台無しにし・・・
女の気を惹かそうと、あらゆる手段を使って必死に三文芝居をする男、成瀬トモヒロさん。その下手さは、役者生命を脅かすくらいに、ひどい演技を上手く演じる。男が見ていて、気持ちは分かるが、どんどん情けなくなってしまう面白さ。
・孤独なパイロット
2機の飛行機。
国の命令に従い、特攻に近い指令を受けているらしい。
リンドバーグに憧れ、パイロットになった男。その能力は高く、すぐに軍人として頭角を表し、英雄と呼ばれた。そんな男に憧れ、このラストフライトを志願した女性。
もう一機の飛行機に、無線で指示を送る。
そちらでは、打って変わって楽しい雰囲気。こんな中で、普通にしりとりをして遊んでいるらしい。
もう、長時間やり続けているらしく、なかなか言葉が出てこない。
リ、リ、リ。リンゴじゃなくて、昔、流行ったあのバンド。今すぐ、キスミー。
ここまで出かかってるんだけど。
そんな中、無線からもう一機の飛行機からの指示が・・・
シリアスな空間、おふざけの空間の二面舞台として、これを言葉遊びでつなげる。
少々、無理なところもあるが、上手く出来ている。
英雄になりきって気取りまくった機長、熊田洋司さんと先ほどのお化け屋敷とは別人のようなキレる女性をかっこよく演じる山本なぎささんが、どこか影のある大人のシリアス空間を創り出す。
一方、何かの飲み会かというくらいに、若者のお遊び空間を創り出す、藤本直樹さんと小澤美代さん(hima*neko style)。
同じ時間軸にいてるのかと疑うくらいのギャップある設定の中での、言葉のつながりが心地よい。
・岡田、人間やめるってよ
岡田くん。
いつもガンダム人形を持ち歩き、クラスのマドンナの飲みさしのジュースを金で買うようなちょっと気持ち悪い男。
成瀬くんは、そんないつも一人でいる岡田くんに、声をかけて友達になった同級生。
でも、岡田くん、トラックに轢かれて重傷を負う。
怪しげな医師に手術された結果、岡田くんは、ロボットに。
電子レンジ、スマホ充電機能付き。計算は人以上に時間がかかり、間違うこともある。
それに、昔の岡田くんの頃のことは全部忘れている。
こんなの岡田くんじゃない。
僕のことを思い出して、あのマドンナの子のことを思い出して。
成瀬くんの必死の願いは・・・
岡田英樹さんの独断場。うわ~っていう悲しい姿で、コミカルな中にも哀愁を漂わせたキャラを熱演。
ちょこちょこと出てくる、学校の先生、春海るりさんの、生徒への愛情をかけらも感じない冷たい飄々とした姿、怪しげなピンタゴンとかいう医師、熊田洋司さんのテンションマックスの弾けたキャラも印象に残ります。
・ダブルブッキングにご用心
彼女の誕生日に、彼女を連れてきたレストラン。
ふと見ると、喫煙席に知っている女性がいる。二股かけている彼女だ。
ダブルブッキング。そうか、今日は彼女と付き合って一年目の記念日だった。
何とかごまかさなくては。今日は禁煙席に座ろう。
ウェイターに事情を話して、協力してもらう。
トイレに行くとか、携帯の電波が悪いとかいって、二人の彼女の間を行き来する。
誕生日プレゼントは、記念日の方の彼女に流れで渡してしまった。
その代わり、その彼女からもらったプレゼントを、誕生日の方の彼女に。中身は趣味の悪いトランクスだったが。
もう限界。この場を逃げ出そうとしたところに、さらに・・・
これもコントとしてはありがちだが、短い時間でとてもまとまっており、非常に楽しく観れた。
一番しっかり出来上がっているなあ、とてもしっかりとコント短編作品を創られるなあと感じた作品。
この作品の様なテンポの良さが、公演自体のテンポの良さにそのままつながっているようだった。
二股かける男、藤本直樹さんの追い詰められる緊迫感が楽しい。
それにウェイターの熊田洋司さんが、いい味付けをしている。
| 固定リンク
「演劇」カテゴリの記事
- 【決定】2016年 観劇作品ベスト10 その3(2016.12.31)
- 2016年度 観劇作品ベスト10 その2(2016.12.30)
- 2016年度 観劇作品ベスト10 その1(2016.12.30)
- メビウス【劇団ショウダウン】161209(2016.12.09)
- イヤホンマン【ピンク地底人】161130(2016.12.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント