R【JAGGER KIDS】130809
2013年08月09日 新大阪KOKO PLAZA(大阪市立青少年センター)2階エクスプレス・ココ
先日、拝見した一人芝居INDEPENDENT:13トライアルで見事に予選を突破した周藤寿英さんが出演されているみたいなので、ちょっと観に行ってみる。
いやあ、凄いですね。こういうところで鍛えられているんだ。そりゃあ、大人に交じっても善戦するのは当たり前だわ。
頑張らないかんね。この子たちじゃなくて、私がね。そんな気にさせられます。
元気いっぱいに頑張る人の姿を見るのは、本当に気持ちがいい。
夏が来ない。
八月になっても気温が上がらず、いつまでたっても夏が来ない。
その原因を探るため、 捜査員のコタロウとマユキは、街外れの倉庫を調べる。
そこには、今や高度なロボット工学が進んだ時代では、時代遅れでしかない人間型ロボットが放置されていた。
倉庫には両親がロボット研究者であり、留守を任されている子供が二人。と、まだ子供の二人が試作した人間型ロボットが一体。いい子なんだが、口が異常に悪いという欠陥ロボット。
放置された人間型ロボットたちは、もう動かない。でも、どこか悲しそうな表情をして、今にも動きだしそうだ。
この人間型ロボットたちは、かつては人間と一緒に暮らしていた。
コタロウとマユキは、二人からそんなロボットたちの昔の人間との話を聞き始める。
母を亡くした姉妹のお手伝いロボットとして派遣されたロボミー。
幼い妹はまだ母の死を受け入れられない。
みんなでお花見をしたことがある、今は枯れてしまった桜の花がまた咲けば、母は戻ってくると毎日、桜の木の前にたたずむ。
姉や友達、そして、どこか母の面影があるロボミーのおかげで、少しずつ元気を取り戻して行く妹。
感情を持たないロボミーは、妹の悲しさは理解できない。もちろん、死ということも。
でも、妹の誕生日に偽の桜の花吹雪を作って喜んでもらおうとし、枯れた桜の木から種を取り出し、その傍にみんなで一緒に植える。
このロボミーは、人間型ロボットの一番目の成功例らしい。
この後も、ロボミーは、姉妹と共に暮らし、やがて、妹も死んで、この倉庫に戻って来た。
ライバル同士の子役のマネージャーとして派遣されたロボルとロボック。
わがまま言いたい放題で、ライバル意識剥き出しの二人に各々付いたので毎日大変。
人はどうして、ケンカするのか。
二人も子役がやがて、大人になると、この倉庫に戻って来る。
この頃になると、ロボットに感情を持たせる技術が出来たらしい。
それまでに製造されたロボミーやロボル、ロボックにもそんな感情機能が取り付けられる。
怒ったり、悲しんだり。
サーカス団の一員として派遣されたロボナとロボリアン。
ロボットという能力を活かして大活躍。ただ、少々、長けすぎているところがあるみたいだが。
ロボナもロボリアンも感情を持っているので、みんなから褒められると喜びまくる。そして、片方ばかり褒めると、嫉妬でへこんだりする。
なかなか感情起伏が制御できていないみたいで、扱いが大変だ。
そんな楽しいサーカス団生活も終わり。
売れ行きが悪いので解散することになった。
何とかしようとロボナもロボリアンもみんなにはっぱをかけるが、仕方がないとみんなあきらめてしまう。
勉強もしないといけないし、いつまでもサーカスをしているわけにもいかない。ちょうど良かったかもしれない。
本当はずっとサーカスをしたいんじゃないの。
どうして、人は本当の事を言わないの。嘘をつくの。どうして我慢してしまうの。
結局、サーカス団は解散し、二人も倉庫に戻ってくる。
そんな五体の人間型ロボットが最後に派遣された先は、悪い組織。
拳銃片手に子供を人質に部屋に立てこもる。
警察が介入してこようとしたので、プログラムどおり、子供を殺そうとするが、ロボミーはその中の子供の一人にあの時の妹の面影を見出し、子供たちを逃がすという予定外の行動を起こす。
それ以来、ロボットたちは、もう利用価値が無いとされ、倉庫に放置される。
その中で、ロボットたちは、人間と共に過ごした時間を振り返りながら、自分たちにいまだ理解できない人間を想い続ける。
人は死んでしまう。もう、会えないのだろうか。
あの妹が言っていたように、桜の花が咲けば、また出会えるのか。
どうやら、夏が来ない理由はここにあるらしい。
ロボミーの発する特殊電波が桜の花を咲かそうと季節を春で止めているみたいだ。
倉庫にダンスグループが、いい練習場所になりそうとやって来る。
あの時の姉妹、ケンカばかりの子役たち、サーカス団のみんなの面影がある人たち。
この人たちは、昔、共に暮らした人ではない。
でも、人はこうして命を繋いでいっている。
では、出会った人たちとはやはりもう会えないのか。
それは違う。人には心がある。その心の中でずっとその人は刻み続けられる。
そんなことを知ったロボットたち。
あの時、植えた新しい桜の木。今は汚染が進み、もう花など咲かすはずないのだが、ロボットたちの真摯な願いに応え、いつまでもあなたの心に生き続けると言っているかのように、桜吹雪が舞う。
人間と共に生き、過ごしたロボットたち。
感情も手に入れて、人間により近づいたが、人間のことはまだ理解できていない。
ロボットを通じて、人の素晴らしいところを見出し、同時にいつの間にか失ってしまったことに気付かせているような感じです。
人はずっと生き続けることは出来ないし、現実を見ないといけない。本当のことを言えず我慢しないといけないこともある。嘘だってつかないといけない。
死ぬことが無く、無限の時間の中で理想をひたすら追求することができ、感情のままに本当のことだけ言えばいいロボットにとっては、どうして人間はそうなのかと不思議なのかもしれません。
でも、限りある生の中で懸命に生きて、その生を繋いでいくことが出来る、ロボットには出来ない人の大きな力に、ロボットに備え付けられた小さな心が動かされたように思います。
この作品に登場するロボットたちは、当然ロボットなので、人間には至らず、それはあたかも未熟な人間の姿の様に見えます。
それでも、その与えられた小さい心の中で、必死に人を想い続け、自分たちと人の違い、自分たちに欠けているものを見詰めようとしています。
それは、どんな高度なロボット工学で創られた高機能ロボットよりも素晴らしく、それこそが成長と言えるような気がします。
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