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2013年8月15日 (木)

C.T.T. Osaka Trial No.15【C.T.T.大阪事務局】130814

2013年08月14日 ウィングフィールド

No.12を拝見して以来。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/ctt-osaka-trial.html
今回はNo.15。
いつの間にやっていたのだろう。全くチェックできていませんでした。

今回は、辻企画、森林浴、カウパー団の三団体。
試演会と称しているだけあって、試し過ぎだろってぐらいの随分と衝撃的な演出が多い。
そして、それだけに訳が分からないなあっといった感じに。
訳が分からないという感想を抱くことは、私の場合、けっこうあって、昔は、イコール面白くないといったところに結びつけていたのだが、最近はその考えもだいぶ変わってきた。

訳が分からないのは、確かにそうだったとしても、幾つかのパターンがある。
一つは本当にそれで面白くないもの。他の人の感想で見どころに関して詳しく解説を受けても、どうしてもそう思わざるを得ないことがある。ただ、これは実は意外に少ない。今回、拝見した3作品もこのカテゴリーには入らない。
こうしてブログを書いたりするから、言葉で書くのが難しいので、そういう訳が分からないの一言で書くしかないのだが、何か心にじわじわと作品が伝えたいメッセージが伝わってきている作品。コンテンポラリーダンスとか、あらすじが無く、心で訴えかけてくるようなパターンで描かれている作品に多い。このタイプはけっこう魅力を感じつつあり、好んで観に行くことが多くなった。今回の辻企画の作品がこれに当たる。
作品の伝えたいことは分からないのだが、とにかく印象に強烈残ってしまう作品。アングラとか言われる老舗劇団の作品や、昔の作品を拝見した時に多い。それと、たいがい惹きつけられて目が離せなくなる凄い役者さんがいらっしゃる。ついつい観に行くのを躊躇してしまうことが多いのだが、勉強のつもりで観に行くようにしている。今回ではカウパー団がこれに当たる。
漠然としているが、かなり具体的に何を描こうとしているかが分かるような気がするのだが、その核心にまで行き着かない。話としては分かるが、それで何を言いたいのか、何を伝えたいのか、作家の考えの理解にまで至らない作品。あらすじというか、設定が詰め込み過ぎで、まとまりが無く、私の頭がキャパオーバーになって途中で思考が停止してしまう。なぜか若手の劇団に多いように思っている。若手の劇団だとお知り合いになった方が多かったりするので、正直、また分からなくてつらい思いをするんだろうなと思いながらも、観に行くことが多い。今回の森林浴はまさにこのタイプにぴったりとはまる。私が苦手としているある若手の劇団とすごく似た印象を受けた。

・「私、秘密知っているの」 辻企画

ビフォートークと称して、この作品をずっと観てきたクマコさんとかいう単なる人形を椅子に座らせ、作・演の司辻有香さんがインタビューをし始める。
その後ろで、作品名をささやきながら、二人の女性が床に服を散乱させる。
ビフォートーク終了。暗転。
二人の女性が裸になり、服を脱ぎ着する。
乱れていく制服が面白くて、ルールなんてどうでもよくなったと言いながら。
そのうち、互いに服をめちゃくちゃに着せ合ったり
して、二人とも乱れた服装になる。
二人は立ちつくし、乱れていく制服が面白くて、ルールなんて、意味なってどうでもよくなったと、ずっと繰り返す。
そのうち、一人の女性は座り込み、作品名をつぶやき続ける。

制服はまあ、社会とか決められた物のことなのだろうなあ。
これが乱れていく中で、この服はこう着るとかいうルールや、その服が持つ意味、着る意味がどんどん薄れていくような感じだろうか。薄くなるというかは、混とんとして、本当にどうでもよくなってくる感覚の方が強いか。
二人の女性のうち、一人はこれまでに他公演で拝見したことがある方で顔を覚えている。失礼ながら、もう一人の方はよく知らなかった。
だから、二人の区別は登場した時点ですぐつく。そして、裸になられても、区別がつく。これは顔を見なくても、何となくの体つきとかで。
これが、お二人が服を着せ合ったりしてくんずほぐれつ状態になった時に、どっちが自分の知っている人だったか分からなくなる。そして、また、互いに分かれて、乱れた服装で立ち尽くす時には、もちろん、区別はつくが、最初の時に比べると、明確な違いを持って見ていないような感覚を得る。
乱れると、人は個性を失うのではないか。
裸とか、制服をきちんと着ている時の方が、個性を見出しにくいような気がするが、本当は、その時の方が、その人のことをきちんとその人としてしっかり見ているのかなあ。
制服は個性を失わせるとか、みんな平等に裸になってなんて言うけど、これは逆で、そうすることで人は他人とは違う自分を発しているのかもしれない。
乱れた制服。乱すと何か面白いから、そうすると、いつの間にか、均一化された人たちを生み出す。制服を決められた社会として考えたりすれば、乱れた社会は管理しやすい無個性の人民を量産できるのか。どこかの共産主義的な考えとは真逆の統制の考え方だが、そんな一面もあるのかなあと思ったり。そんな、何か怖いことが、知っている秘密なのだろうか。

・「キノコ蜘蛛」 森林浴 

舞台は120階のマンション。
両脇に窓枠だろうか、そこから顔を出す女性が会話をする。
真ん中は、テーブルが組み立てられ、暗幕が付けられ下は見えなくなっている。
そこから、風船やら、膨らませたビニール手袋やらが出てくる。

よく分からないが、地球の手から遠く離れたところへ向かっている人たちみたいである。
博士が登場したりして、糖を分解する寄生蜘蛛とか、音をエネルギーにしたりとか、科学技術の発展も描かれる。
はるか階下では、恐らくは戦争が起こって、人が住めなくなっている。
科学技術の発展と共に、人はどんどんと高度になっていく。
それは、同時に地球から離れていくことに繋がっているといった感じだろうか。
ギリシャ神話のイカロスみたいなイメージかな。
現代科学の警鐘、そこから生まれる潜む核戦争への恐怖を描いているような感じである。
ラストに5色のロケット風船がテーブル下から出てきて、打ち上げられようとする。
アフタートークによると、一つは飛んでしまったが、本当は不発に終わる予定だったらしい。
作・演の方の解説によると、核の五大国をイメージしていたらしい。
これが何に見えたかを気にされていたが、分かった人はいらっしゃったのかなあ。
私は正解からはあまりにも程遠く、書くのが恥ずかしいが、虹。
お偉いさん方は、もう火星にまで逃げてしまっていることが途中で語られる。
残された人が、中途半端な高さで彷徨っているわけだ。だから、この人たちは、高いところに逃げるのではなく、地面の世界をもう一度、自分たちが住める世界に戻すべきだろう。
地面に戻るきっかけとして、空を仰がないと見えない虹の存在に気付いたりしたのかなあと考えていた。

・「onomatopoeia」 カウパー団

舞台奥から一本の紐が曲がりくねって、床に置かれる。
客席にトランクみたいなものが用意されており、そこからも紐。
境界線みたいなものが出来上がる。
舞台にはシップが散乱する。
トランクには、ボウルに入った生クリームと泡だて器。パンケーキの生地も入っている。
その前に、人が入れるくらいに大きいピニール袋。
そんなセットを赤いコートに赤い帽子を身に纏った女性が創りあげる。

女性は赤いコートを脱ぎ捨てて裸になる。
赤い帽子と、右手には赤い手袋、左足にハイヒールといった格好。
震える足取りで、トランクが置かれた客席から、舞台を一歩一歩、慎重に進む。
倒れる。シップを貼り付け、また歩み始める。
戻ってくる。
ビニール袋の中に入り、したり顔で生クリームをかき混ぜる。
そして、また、同じように舞台へ・・・
結局、それを繰り返す中で、パンケーキが完成し、最後に女性が膣に仕込んでいた羽根がついた紐を出して終わる。

ジェンダーみたいなものを描いているのだろうか。
この世界に苦しみながらも、力強い女性の姿みたいなものが浮かび上がる。
イメージとしては、満身創痍の女性が、男女の境界がある世界を必死に歩んでいる。
差し伸べてくれる男の手は無い。
自分で湿布を貼って、何とか歩く。
もちろん、女性として、世間的に見られるように赤い帽子にハイヒールで身だしなみを整えて。さらには、料理なんかも出来ることをアピールする。
最後に膣から出てくる紐は、境界線と繋がる。自分の手で、その境界線を変えてしまうような意志だろうか。
上記した男の手助けが無いというのは、途中、舞台上に男の人がぽつんと現れて、ずっと端っこに座っていたので。でも、これ、アフタートークで聞いた限りでは、お客さんだったらしい。確かに、好きなように場所をかえて観ろと最初に言われていたのだが。
何のことやら分からないが、とにかく強烈な印象が残る作品である。作品というか、この演じる宮階真紀さんという方に。

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