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2013年8月25日 (日)

くろい紙に文字をかく【ProjectS∀S】130824

2013年08月24日 アトリエS-pace

死生観みたいなことを描いているのだろうか。
死んでしまってお終いではなく、まだ続きがある。死ぬことで自分の生をどう完結するのかを決めなくてはいけない時間が設けられている。
そんなことを、この作品中の生と死が交錯している不思議な世界で突き詰めようとしているような気がする。

死後の世界。
文字が重ねて書かれた真っ黒の紙。
人が生きてきた証が詰められている
ところどころは読めるが、重なっていたりして全ては読み取れない。
これが読めるようになった時に未練がなくなる。そして、そこに署名をすれば消えることができる。
その消える日が来るまでを過ごす施設。
そんなところがあるらしい。
地獄なのか天国なのか。
2階に上がれば、現世を見ることができる。
日々の暮らしは特に現世と何も変わらない。普通に食べて、寝て、各々が好きなことをして。
唯一違うのは死ねないことぐらいか。

この施設を仕切る男。どこか本部から派遣されているみたいだ。こんな施設が幾つもあり、ここはその中の一つなのか。地域で分かれているのか、年代なのか、死んだ理由なのか。
その下で働く、まだまだ新米の女性。施設側の人として、やって来る人の管理をする。そんな仕事の意味合いをまだ自分の中でも模索している最中のようだ。
食事や身の回りを担当する女性。施設側の人として、ここで存在し続ける覚悟をしたような強い意志を感じる。
この三人も、本当はやって来る他の人と同じである。消えることを望まず、ここで過ごすことを決めただけみたいだ。

施設には様々な人が過ごしている。
演劇部の三人。公演中の事故で亡くなったらしい。事故の原因となったリーダーは、他の二人への謝罪の気持ちが強いのか、残された現世の演劇部員の姿を見ることが出来ないでいる。そして、ここで、何の目的のためなのか、稽古に励む。明確にあった目的に向かって進んでいた満たされた人生を突然、遮断されてしまった感じか。
弟に殺された病気だった女性。続いてやって来た弟。多くは語られないが、家庭環境に問題を抱えていた様子。病気でこの先が短く、その短い時すら悪い環境で苦しむくらいならと殺したのだろうか。満たされない人生に諦めを感じ、終止符を自ら打った弟。その行動を否定することが出来なかった姉。
先立った男。跡を追うという選択をした女性。これも、多くは語られない。男はどうして自分の人生を止めたのか。そして、その死を自らも死ぬということで受け入れた女性。
施設の外へ定期的に冒険に出る男。目的があるのか、理由があるのか。冒険というか、彷徨うことで、そこから何かを拾い出せないかと模索しているような感じ。
色々と事情を抱えているのか、いつも一緒にいる三人の女性。各々の死の理由は同じく語られていない。

そんな施設で、ある者は消えることを選択し、ある者はこの施設から外へ出ることを選択し、ある者はここでもう一度自分たちが満たされることを行おうとし始め、ある者はそんな人たちと共に過ごして自分を見詰めてみようかと決心する。

この世界は、生きている世界と見た目は変わらない。
違うのは死ぬことが無いということで、現世ではいつやって来るか分からない死を、消えるという形で自分で決めなくてはいけないことだろう。
死ぬことが無いというのが、結局、終わりは自分で見出すというところに繋がっている。
そのために、自分で目的を作り、行動の理由も作り、存在しなくてはいけない。
現世では満たされようが、満たされまいが、死はやって来る。生を諦め、自ら死を選択することも出来る。
でも、ここでは未練が無くなり、満たされた時に、消える権利を得ることが出来る。行使するかどうかは自由。満たされないからといって、諦めて消えることは出来ない。
結局、人は最後、満たされるというか、自分が生きてきた証を全て見詰めて納得してからでないと消えることが出来ないということか。
輪廻転生のような考えならば、そうしないと新たな生をもらうことが出来ないということになろうか。

人生いろいろのように、死の形もいろいろ。
自分がどの形で死ぬなんてことは当然、分からないけど、どんな死であろうと、その生を見詰める時間は残されている。死と向き合ってこそ、自分の生の尊さを感じることができるのかもしれない。
この作品で、触れられているのは普通の人のリアルな死。特に、何か壮絶な人の死は出てこない。
同じ時代を過ごしてきた人たちと、死と生を体験し学んだこと、想うことを分かち合っていくことがこの施設の役割なのかな。

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