家【努力クラブ】130701
2013年07月01日 アトリエ劇研
コンプレックスの塊。
淡々と流れる時間。
鬱屈した雰囲気で単調に展開する話に退屈にもなるし、必然的に眠くもなる。そして、本当に寝た。
でも、起きても、そんな雰囲気は全く変わっていない。
いったいいつになったら終わるのか。いつまで、心苦しい想いをさせ続けるのか。なんか、もうちょっと思いっ切り笑える部分は無いのか。もう、早く終わって欲しい。
観劇中に本当に思っていた感想である。
面白いという言葉はふさわしくないようには思うが、少なくとも興味惹かれる作品だった。なぜか、ざわついた心がねっとりと消えずに残っている。
笑えないのは、自分もあんな堕落したところがあるからかもしれない。
ダメになっていくと言いながらも特に何をするわけでもなく、つらい、救われたいとか言いながら、生きている男の姿を覗き見しているような作品。
男は毎日のように職場で嫌な上司に叱られる。
もうどうでもいい、自分はあんな出来もしない上司に叱られて可哀想なんて思っているから、反省など全くしない。口先だけで、謝罪と、改善の言葉を述べるだけ。
同僚は、そんな男を心無く上っ面で軽く励ます。
男もそんなことを感じているのか、同僚は仕事も出来て全く叱られないことを妬んでいるのか、一緒に食事とかはしない。表面だけの付き合い。
男にとっては、叱られることは身に降りかかってくる不条理な事故みたいなもので、日々、被害者となって家に戻っている。
家に戻れば、女がいる。
従順に男を見詰めてくれる子、甘えさせてくれる子、全てを共にしようという覚悟をしてくれている子、男に何か依存のようなものを求めている子、男と同じように堕落した感覚を持っている子、同僚の指示で男を観察するために接触している子。
男は、各々の個性を持つ女に、自分の生き辛さを愚痴り、慰めてもらう。
ただ、それも、そのうち、しょうもない、面白くない、クズと言い出す子が現れ始め、男のイライラはさらに高まっていく。
女を殴れれば良かった。そんなことを言いながら、女を自分と同じような立場にまで陥れて、気持ちが分かり合って話せる人を作ろうとする男。
やがて、一人の女を残して、みんな男の下を去る。
もう、どうでもいい。
どこか遠くに行きたい。
いつでも一緒について来ると言ったよね。
最後に残った女と共に何処かへ向かおうとする。
女は覚悟を決める。
でも、それすら男は途中で諦める。やっぱり辞めておく。
いつまでも、愚痴を言いながら、自分は不幸だと言いながら堕落して生きている方が楽なのだ。
女はそのままどこか遠くへ向かう。
残された男は、風俗の呼び込みの男について行く。
そこで、また新しい、自分を癒す者たちを集めるのだろうか。
かなり分からないところがある上に、少し意識を飛ばしてしまったので、全然違う話になっているかも。
でも、自分ではだいたいこんな感じで話の筋は理解しました。
全てが男の妄想みたいに見えるところもあるし、男がずっと気にしていた部屋に感じる気配は同僚で、この男とはまた違った形で生き辛さを感じている同僚の道楽のような実験観察日記のようにも見えます。
そして、こうしてブログを書いて思うのは、これは完全にキャバクラに悪い形ではまった男の姿が描かれてますよね。
仕事の愚痴を語り、毎日つらいよと言いながら、慰めを求める。
真剣に聞いてくれる子もいれば、甘えさせてくれる子も。自分の厭世観や堕落した感覚に同調して分かち合うような場合だって。
でも、毎回、そんなことばかりでは、最初の新鮮な慰めは得られなくなってきます。そうなるとさらに男は増長し、悪循環が始まる。そのうち、会社だって、この作品と同じように首になるかもしれない。
家に戻って感じる気配は後ろめたさが生み出したものでしょう。
そして、最後は全てを失い、どこか遠くへ逃げようとする姿。でも、それすらきっとできないのです。生活がありますから。せいぜい、近場の安目の新しいキャバクラを開拓して、またそこで同じことを繰り返す。
結局、帰るべき場所、守るべき人がいない男が、あの憧れの家を夢見ながら犯す過ちを切なくドロドロと描いているように思います。
嫌な作品でした・・・
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