オレンジのハイウェイ【月面クロワッサン】130713
2013年07月13日 インディペンデントシアター2nd
筋は大きくは変わっていないのだろうが、どこをどうしたとかは分からないが、かなり京都で拝見した時と作品の雰囲気は変わっている。
(京都公演の感想:http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-5.html)
<↑ 思いっきりネタバレしていますのでご注意>
より、自分たちが、今、伝えたいことを露出させたような感じか。
主張激し過ぎる作品は、個人的に少し毛嫌いする傾向があるのだが、この作品はとても心地よい。
やりたいことをやる、現実的に生きていくなんて狭間で揺れる若い人たちの姿が、等身大で描かれている。
もう、自分が中年の域に入っているからか、別に達観しているわけではないが、その姿が痛々しかったり、微笑ましかったり、羨ましかったり。そして、そんな苦しみながらも、それを奥に潜めて、楽しく頑張るなんて結論に自分を持っていく姿に勇気が湧いてくる。
若い世代はもちろん、全世代に通じる激励、そして、自分の道を徹底的に見詰めて、頑張ってみるという覚悟が伝わる、いい作品に仕上がっているように感じる。
公演はあと、日曜日に2回。
大阪での観劇を中心にしている方は、京都の劇団だからというわけでは無いだろうが、少し違和感があるかもしれない。
熱さを秘めた話だが、がむしゃらではなく、とてもスマートな雰囲気でそれを展開する。でも、伝わってくる想いはきっと同じである。
今、モヤモヤして不安に感じていることの答えの一つが見つかったりもするのではないだろうか。
是非、劇場に足を運んで、登場人物たちが心に秘めた不安と戦いながら、自分の道を見つけ出すまでの姿を、楽しく笑いながら感じて欲しい。
今回は、まあ、京都で観たばかりだし、違う公演もたくさんあるしで、辞めておくかなと思っていたが、やっぱり足を運んでみた。
理由は4つ。
初観劇時にけっこう衝撃を受けたお気に入り京都の劇団が、せっかく大阪で公演をするのだから、観に行かなくてはという義務感。
やっぱり、自分の目で確かめないと、お薦めも出来ないしね。
もしかしたら、空回りして、作品の魅力が損なわれている可能性もあるし。
これは、全くの杞憂だった。
上記したように、非常に力強い作品となっている。
これなら、自信を持ってお奨めできる。
ただ、残念なことに、もう明日2回しか公演が無い。
せめてもの願いを込めて、このブログを急いでアップするべく、頑張って書いている。
大変やましい理由だけど、女優さんを観に行こうと思った。
これは可愛いらしい女優さんと綺麗な女優さんが二人、この劇団にいるのだが、それを単純に観て、目の保養をしようというだけでなく、京都公演後のある方のブログで絶賛されていたことを確認したかったことがある。同一舞台でたくさんの登場人物がいる時に、メインとなっていないところでもきちんと豊かな表情を作って、舞台の雰囲気を作り上げている。
これは今回は、特にずっと出ずっぱりなので、じっくり観ていたが、確かにそこでさらにもう一つの物語が生まれているぐらいに演じられていた。ただ、あまりじっくり観ていると、そのまま見惚れて、話に置いて行かれてしまうので、途中で辞めた。
客席は、どうも女性が多かったような気がしたが、男性はあまり足を運んでいなかったのかな。
ファンになってもいいぐらいの、なかなかの魅力的な方がいらっしゃるのだがなあ。ちなみに、ここの制作さんもたまに役者さんとしても拝見するが綺麗な方である。
京都公演に比べて、もっと笑えて、展開のある見やすい作品になっていると聞いていたので、その違いが感じられるかを確認したかった。
笑いはどうだろうか。京都公演の方が、馴染みの客が多いためか、客席からの笑い声はもっと大きかったように思う。ただ、笑えることだけが面白いに通じるわけでもなく、私は今回の作品の方が好ましい印象である。
展開の違いは正直、細かなところは分からない。
ただ、舞台の組み方が大きく異なる。
京都公演では、舞台中央に車のスペース、上手前方の小さなスペースがラジオ放送の場となっていた。車のスペースが一つなので、男二人、女二人が入れ替わってシーンを展開する形になる。また、同一空間に両者が存在するシーンなどもあり、確かに混乱を招いて観にくい印象は今から考えるとあったかも。
今回は、舞台真ん中にラジオ放送のスペース。両側に男二人の車、女二人の車と分けてスペースを設けている。これは確かに分かりやすい。空間も時間もズレているのだが、それがうまく交錯して観ることが出来る。
また、中心にラジオ放送の場を置くことで、作品の焦点が、男二人の会話、女二人の会話にあるのではなく、そこから、生まれる自分たちの気持ちを伝えたい、発信したいということが、そんなラジオ放送の場に集約されていくようなイメージとなり、よりメッセージ性の強い作品となっている感じである。
あとは、作品名のオレンジの意味合いを感じ取る。
前回、拝見した時、観劇された他の方から、作品名のオレンジに関する言及があり、そこをきちんと感じられていないなと思っていた。
ラストはハイウェイで朝を迎えるシーンで締められる。
朝焼け。これまで夜中に走り続けてきたハイウェイで目にするオレンジの光。これからの進む道への起点。
そんな捉え方をされている方がいらっしゃった。
前回、拝見した時は、その朝焼けをオレンジと同一視出来なかったのだが、確かにそんな出発の色として捉えることが出来るような気もする。
ただ、私は前回もそうだが、作品名のオレンジは、ハイウェイを夜に走ると光景として浮かび上がるオレンジ色の光の線みたいなものをイメージしていた。
これは、今回、拝見した後でも、あまり変わっていない。むしろ、舞台両側の天井に光るオレンジ色のラインが飾られており、そんなイメージが膨らんだ。
互いのことをあまり知らない会社員たち。
互いの本当の気持ちを伝え合っていなかった男二人。
同級生の男のこと、相手が今、どんなことをして、どんな気持ちでいるのかを、何となく互いに知ろうとしていない女二人。
ラジオジャックに寄せられる数々のSNSを通じた投稿。
みんな、自分のことを伝えたい。知って欲しい。そんな強い想いを抱きながら生きているのだろうか。
オレンジ色の光の線。
これを作り出す一つ一つは、オレンジ色の揺らぐ光の電燈である。
この力強くも弱々しくも見える温かい光が、上記したような人の各々の想いなのではないだろうか。
自分たち、友達、同僚・・・、そんな各々の光が高速で走ることによって繋がる。
それは、光の線となり、どこか先、未来へと導く道となる。
もちろん、その行き着く先は、そのオレンジ色の光一つ一つに宿る自分たちの思い描く未来。
作品の中での、自分が1年後にイメージした自分となるかというところにつながっているように感じた。
走り出したい。
自分の心の中に、本当にある真剣な想いがまだ残っているから。
もう消えそうなくらいに弱々しい光がポツポツとあるだけになってしまったかもしれないが、懸命に走ればそれは繋がって、自分の思い描く本当の未来へと連れて行ってくれるのではないだろうか。
そんな気持ちになる、勇気が湧いてくる作品であった。
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