若葉夢【HPF高校演劇祭 大谷高校】130728
2013年07月28日 シアトリカル應典院
一昨年からHPFの作品を拝見しているのだが、一番、高校演劇という言葉から私が想像していた作品に初めて出会った。
意外に、ここまで、ただ無条件に楽しくしてしまう作品は無かったような気がする。
高校生らしく、元気いっぱいのキラキラ光り輝く姿にとても魅了された。
女子高校生のサーカス団。
プロレベルの大技はもちろん、出来ないので、ほとんどをエアーで乗り切っている。
でも、エアーだったら何でも出来る。
本番前の楽屋では、ピエロ達が、思い思いのことを言って、まとまりなくおかしな掛け合いをしている。
みんなピエロである、このサーカス団。まともな芸が出来るのはエリカしかいない。
エリカがみんなのまとめ役なのだ。
でも、エリカは来ない。
大学進学のために、このサーカス団を引退する決意をしたようだ。
舞台では、野村さんが場をつないでいる。
楽屋のピエロたちの仲間には入れない。
だって、女子高生じゃないから。
この野村さん、あの有名なオパンポン創造社の野村侑志さん。
どんなピエロよりも、ピエロであるという姿をしている。
遂に、本番のショーが始まってしまう。
エリカ抜きで頑張るしかない。
エセ火の輪くぐり、エアージャグリング、バルーンアート、組み体操、ダンス、歌姫の歌、・・・
やれることは精一杯、磨いた技を魅せる。やれないことはエアー。
でも、どんな演目も、自分たちも客も楽しく、みんな一丸になって、舞台を楽しむ。
やっぱりエリカと一緒にしたい。
塾に行って、エリカを連れ出そう。
でも、ショーの最中である。客をほったらかしにはできない。
行って来い。サーカス団の顧問の先生が登場し、舞台は繋いでおくと言って、みんなを塾に向かわせる。
本当の顧問、高杉守先生。
塾へ向かう、ピエロたち。
一方、エリカは、やはり、自分のしたいことは諦められないと、模試を抜け出し、サーカス団のショーの劇場へ。
でも、みんないない。
ショーも終わってしまっている。
先生がけっこううけて締めたみたいだ。
すれ違い。とんだピエロ・・・
まあ、華やかな衣装に身を纏った、可愛らしく微笑ましい女子高生たちによるショータイムである。
とても楽しそうにイキイキとされているので、自然と引き込まれて楽しくなってくる。
この作品の感想は、人を楽しい気持ちにさせるということに尽きるだろう。
一応、HPFでは、役者さん全員にコメントすることにしているのだが、今回はご容赦。
威圧感があるくらいに大所帯だったので。
皆さん、とても個性的で、色々な点で目を引くのだが、強いて言えば、ダンサーのお三方は、高校生とは思えない色気も兼ね備えた魅力的なパフォーマンスを披露されていたように思う。
楽しかったの一言というのも何なので、演劇作品としても考えてみる。
サーカスのショーと、このHPFの舞台が同調しているのかな。
夏休みの大事な時期なので、当然、HPFに時間を費やすのが厳しく、受験勉強を選択せねばならないこともあるだろう。
でも、自分の好きなことをしたい気持ちは抑え難いし、一緒に頑張って楽しくやってきた仲間の魅力は、捨てきれない。
エアーを中心にしているのは、まだまだ色々なことを習得するには経験不足だが、本物ではないかもしれないが、何でも出来るという自分たちの可能性。
野村さんは、既に舞台で活躍している小劇場の役者さんの象徴。続いて、自分たちがそんなご活躍の舞台をさらに盛り上げるつもりか。
ショーは、かなりレベルが高そうなものと、おちゃらけたものが混在する。まだまだ、未熟でエアーに頼るところもあるが、各々が自分の出来ることを身につけ、舞台で芸を披露できるようになってきた。
各々がこのサーカス団という演劇部の中で、鍛錬を積み上げ、得意とする芸もたくさんある。
そして、顧問の先生の見守り。
たとえ、ピエロだとしても、無限の可能性を秘めている自分たちは、出会った仲間たちと一緒に楽しく、客に自分たちの成果を見せていく。
といった感じの、これまでの学生生活で得たことを、想いを込めて楽しく創り上げられた作品のように感じる。
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