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2013年6月 4日 (火)

梨の礫の梨【宮川サキ+Sun!! サキトサンズ 二人芝居】130603

2013年06月03日 南国風食酒BAR 73波

昨年に引き続き、観劇。
(昨年の中崎町公演での感想:http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/sun120607-9908.html)
読み返すと、ずいぶんと偏った視点で見ているような・・・
まあ、精神状況がそんな感じだったんだろうな。
原因もよく分かっているが、プライバシー過ぎるので恥ずかしいから書かない。
不思議なことに、今回はその真逆の精神状態での観劇となる。
でも、感じたことはやはり似ているかもしれない。
不遇の人生で死を見詰める女性。そんな女性がどうか生を見詰めて歩みを進めるようになって欲しい。そんな願いが私は込められているように感じます。

今回は、岸和田の本当のバーでの公演。
この作品にぴったりの雰囲気で、二人の名女優の圧巻される会話劇が繰り広げられました。

<上記リンクはあらすじを書いていませんが、今回は少し触れています。まだまだ武者修行と称して、この公演は続くようです。大きなネタバレはしないように書いているつもりですが、重々お気を付けください>

とあるバー。
カウンターには10年物のマッカランと、二つの丸氷のロックグラスが置かれる。
妙齢女性が関西おばちゃん丸出しで、マスターに熱弁をふるう。
電車で荷物を席に置いたまま座っているおばちゃんとの正義の戦い。

そんな中、一人の若い女性がやって来る。
呼ばれたのか、呼んだのか。
長年の付き合いがあるかのような二人の会話が始まる。

それほど所得もないから、そんなにいい酒は飲めない。
でも、大事な思い出のある、このバーで時を過ごす。
あの人と出会った大切な場所。
いまどき珠算塾なんてしている真面目な人だった。
歳も離れていたからちょうど良かったのかな。
結婚。35歳だった。何もなければしていたのだろうか。
何かあの人に出来たのだろうか。
戻れるなら、あの頃に戻りたいかな。

あの人にとって、自分はどんな存在だったのか。
小石みたいにちっぽけなものだったのかな。
あの時、あなたが私を捨てたように。
7歳で一人になってから、自分の人生はもう余生みたいに思っている。
ずっと、ずっと。
だから、すぐにとは言わないけど、もうしばらくしたら、自分もと思っている。

あなたが教えてくれたこのバー。
あなたと本当は一緒に普通に飲みたかった。
小石を投げ続けても、ずっと梨の礫の人生。
あなたを愛する気持ちと、憎む気持ちが交錯し、その感情が高まった時、あなたにその礫が当たる。
繋がっている。
お母ちゃん・・・
梨の礫の人生は、作品名どおり、無しとなってリセットされ、女性は新しい人生への起点を見出す。

妙齢女性のその人生にピリオドを打つことやむ無しぐらいの不遇の人生を描きながら、それでも生きて欲しいという願いが込められているのかな。
死を身近に見る経験をしてしまった女性だからこそ、その自分の近くにある死を見るのではなく、生を見つめて欲しい。
女性を愛した母親も男も、きっと今となっては、ごめんね、そうあって欲しいと、必死で女性に小石を投げ続けているのかもしれない。
最後、女性は母親のロックグラスから氷を取り出し、母親にぶつけます。実際は床にぶつけ、その礫を当てるみたいな感じですが。
これは女性が投げた小石が母親に当たって梨の礫の終わりと観ていましたが、母親のロックグラスの中の氷という母親の礫を自らに当てたという捉え方なのかもしれません。

今回拝見して、何となく気になったのが冒頭の電車の話。
正義を主張する女性役の宮川サキさん(sunday)は、それはもう話し方も何もかも巧みな方なので、その話しっぷりが面白くて仕方がないわけです。
満員電車なのに荷物を席に置いてしれっと座っているおばちゃんの前に立って、電車がすき始めても頑張って目の前で睨みつけた。自分の降りる駅が過ぎようとも。そして、最後、何か用なのかと聞いてくるおばちゃんに、その荷物のところに座りたいと言う。おばちゃんは怪訝そうな顔をして降りていく。女性は意地張って、そこにドカっと座る。

一方、若い女性、つまりは母親の方はsun!!さん(ミジンコターボ)が演じていますが、これまた、ちょっととぼけたような飄々さを醸して話します。
目の前の老人に席を譲ろうとして立ったら断られる。日本人なので三回は断るのかなと思い、何回か勧めたら、最後はちょっとキレ気味に断られる。しばらくして、自分の隣の人が降りたら、その席に老人が座る。どうもと言いながら。はあ~、ぐらいしか言い返せなかったけど。

何でいきなりこんな話なのかなと思っていたのですが、これは何となく各々の今の心情を表す伏線になっているのかな。
自分の怒り、気持ちが分からないおばちゃんをお母さん。それをずっと睨み続ける女性。いつの日か、その怒りは何だったのかもよく分からないものとなる。残ったことと言えば、駅を乗り過ごしてえらい損をした自分。
自分の気持ちに、もういいよと拒絶し、しつこいと怒る老人は娘。あなたがわざわざ、席を譲ってまで私を座らせてくれる必要は無い。自分で席は見つけ、そこに座りますから、あなたはあなたでその席にしっかりと身を置いておいてください。
みたいな感覚。
何か、自分で勝手に気にして、感情を複雑にしているけど、相手は相手で自分の考えをもって生きている。それに囚われて自分の人生に支障が出るようなことはしなくていいよと伝えているようなエピソードに見えました。
これが、この作品での最終的に、母娘互いに、その相手の生き方に囚われることなく、各々の選んだ生き方を尊重するような考えにつながっているように感じます。

千手観音?
前回、拝見した時も気になっていたのだが、今回も何か感じ取れることは無かったなあ。
じゃれあっている二人が可愛いなあぐらいしか。
きっと何か意味合いがあるんでしょうね。
だって、普通なら母娘の遊んだ思い出は、いないいないばあとか、高い高いとかだろうから。
わざわざ、こんな仏様を出してくるのは、何を描こうとしているのか。
また、次回、拝見した時の自分の宿題にしておこうとかと思います。
だから、またいつの日か戻って来てくれれば・・・

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