おぼろ≪星version≫【STAR★JACKS】130613
2013年06月13日 江坂スペース・シアター
これは凄い、最高だ。 って書きたいところだが、控えておく。
もう一度、どこかでもう一つのversionを観に伺おうと日程調整中。
ここで最高って書いちゃうと、次の時に書けなくなってしまう。
ただでさえ、ボキャブラリーの限界を感じて、ブログに感想書くのに苦慮しているのに。
ゲキバカのDVDで拝見して、いつか生で観たいと楽しみにしていた作品だから、ハードルは自分の中でめちゃくちゃに上がっている。
それにSTAR★JACKSだから。
カッコ良くて当たり前、人情溢れる演技で泣かせれて当たり前だ。
もっともっと、声失うくらいに心震わされるレベルを求めても何も悪くない。
後半に向けてさらに色々なところがブラッシュアップするのは間違いないだろう。
だったら、今回はまあ普通でしたという感想にとどめておく方が賢明か。
<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで。売り切れ回続出みたいですが、当日券は一応出るみたいです。是非、この泣けて笑ってのお祭りの様な公演を体感していただきたいと思います>
あらすじはゲキバカのDVDで観た同作品の感想を参照。
少し変わったところもあるように思うが、基本的には大きく違わないだろう。
(ゲキバカDVDの感想:http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/dvd-660f.html)
そんなにしっかり覚えているわけではないが、役は手下中心に増えており、ラストが多分、けっこう違う。あと、自分の中でよく覚えているキャラの顛末が。
このあたりを含めて、役者さんの感想と共に記す。
お気に入りの作品で、何度かDVDで観ているので、ある程度は役を覚えているのだが、この劇団バージョンで誰がどの役をするのかすごく興味があった。
おぼろ小僧は予想通り。まあ、ドヰタイジさんだよな。男だなあって感じの姿。ちょっとカッコよ過ぎるよね。最後のおぼろ小僧の名誉をかけた立ち回りは圧巻。歌舞伎のような決めポーズもバッチリで魅了されます。
意外だったのは、捨丸の浜口望海さん。名前は変えたのか。たしか悪太郎だったはず。金髪なんだけど、異人さんとの間に出来た子だから。親に捨てられ、世に捨てられ、こんなに悪になってしまったという、結果の姿より、その原因をイメージさせるような役名になって、何か創り手の優しさを感じるなあと。でも、この役は本当に救いようがないくらい悪くて汚い。あまりも悪過ぎて、ちょっと怖くなるくらいに人の心を持っていない。勧善懲悪の基本とはいえ、どうしてここまで悪に徹したキャラにしているのか疑問に感じるくらい。これも、また、一つの悪を貫くという男の姿を描いているのだろうか。浜口さんがスマートな感じの男前だから、この気味悪い雰囲気を漂わす悪はどうなのかなって思ってたけど、けっこうはまっていた。いやらし過ぎる、最低だなって唾吐きたくなるような男を見事に熱演していた。
この捨丸、偽おぼろ小僧で、本物のおぼろ小僧と最後に対決して負けます。もちろん、おぼろ小僧は義賊ですから、最後のとどめはさしません。たしか、DVDではそれでどうなったかはうやむやになっていたはず。こちらでは、復活して、さらに執拗におぼろを狙います。そして、本当のラスト、歴史に刻まれた雪の夜におぼろ小僧が捕まって死亡というシーンで、もう一度、おぼろ小僧と対決。この時、偽おぼろ小僧が捕まって、本物のおぼろ小僧は助かるみたいな形になっていました。偽おぼろ小僧も可哀そうといえばそうなのですが、この方が、悪は滅びたって感じでいいですね。
手下の二人もこの劇団の方。中鶴間大陽さんと銭山伊織さん。捨丸のちょっといっちゃってる悪っぷりに呼応した汚らしさをプンプンとさせた嫌なキャラでした。
おぼろの弟?、オカマのお花が藤間宏衛門さん。女形。ばっちり。動きもしなやか。このキャラがこの作品の人情もの要素を高めています。どうしようもない人生の運命に翻弄される悲哀。そこにほんわかした楽しい時間があるからこそ、そんな悲しい時がより強く浮き上がって来て、心を揺さぶられます。
DVDではおぼろ小僧も含めたケツ丸出しの銭湯シーンがあるのですが、こちらではベッドシーンで肉食系女子になっていました。
おぼろ小僧の家によく勝手に出入りするおばちゃん、野村ますみさん(真紅組)。この役はDVDでもあったと思うけど、こんな、おぼろ小僧幼少期に面倒見ていた太っ腹おばちゃんキャラだったかな。おぼろ小僧もお花も悪いことしていますが、本当の悪に染まることなく、筋の通った義賊として生きている今がある歴史をきちんと思わせるキャラになっています。どっか適当だけど、優しく大きく包み込んできたような貫録ある姿が素敵。
平賀源内が松木賢三さん(Rooter)。これも、意外。
以前に拝見した時にとにかく渋くてかっこいい男だったから、この役はなあと。
ちょっと頼りなくて、甘えたさんなんですよね。弱さを見せる男。これが似合わないと思いきや、何か可愛らしい。こういうので、きっと女性の心を掴んでしまうんだろうな。
奥さんの山根千佳さん(TAKE IT EASY)はぴったりだった。きついオーラが漂っていて、毒舌が効いて、しっかり者で、かつ可愛げがある女性。
銭形平次は福地教光さん(バンタムクラスステージ)。この方が捨丸すると思ってた。だって、悪いといえば、この方だから。まあ、こちらも悪いのだが、こっちは少し、いやだいぶ間が抜けていて、救いようがあるのです。少しおどけた三枚目部分も残しながら、決めるところはバッチリと悪さを醸していました。
この銭形平次の手下が増えてるかなあ。ちょっと混乱しているところがあるので、配役を勘違いしているかもしれません。
まず、私の一番大好きなキャラ、ゲス吉でしょ。板東浩考さん(劇団五期会)。
これは騙されたなあ。ゲス吉はバカでゲスい奴なのですが、根は本当にいい子で、みんなから嫌われているように扱われますが、本当はみんなから愛されているのです。バカというかは、子供の様な純粋さからくるデリカシーの無さみたいな感じを漂わせたキャラになっていました。でも、裏切り者の手によって殺されてしまう。自分が一番信じていた銭形の兄貴に。仲間に抱きかかえられて、幸せだと言いながら息絶えるシーン。ゲス吉の純粋さも相まって、それはもう涙が。でも、私は今回、このシーンでは全く涙ぐみませんでした。少しはきたけどね。DVDでは、最後にサイボーグみたいになって復活することを知っていたから。そして、ラストは、他の仲間と弥次さん喜多さんになって全国を旅するというその後の話付き。と思っていたら、この作品では復帰しません。そのまま、お別れだったのですね。よくよく考えたら、手下の数が増えていて、生き残った二人が弥次さん喜多さんになっていました。その時になって初めて、あ~、ゲス吉、本当に帰らない人になってしまったのかあと少し涙が。
その増えたキャラが恐らく、鉄太郎、藤井誠さん。DVDでもいたんだったけかなあ。よく覚えていません。唯一、手下でまともな人です。頭がツンツンしていて、悪そうなのですが、裏切りもしないし、騙されもしない。劇団員の方なので、まともな役担当になっているのかな。
もう一人の手下。調子に乗って、女に情報を漏らしてしまうけん、倉田操さん。騙されやすそうなおとなしさとスケベそうな雰囲気を醸す、しっかりせえよとツッコミたくなるようなキャラになられています。
その裏切り者の女二人組、すぎもとみさきさんとまるいあかねさん(ともにょ企画)。お顔と名前を存じ上げなく、配役表見て、消去法で書いているので、多分このお二人だと。銭形同様、ちょっと間が抜けているのですが、やはりここは女性の巧妙さの方が浮き立つ。裏切りを問い詰められて、逆ギレのようにする表情。嫌な表情だあ。お前が悪いんだろってことで、そこを指摘すると、逆にこちらが全部悪いかのようにそんな顔する女性っていますよね。まあ、自分の経験論だからいいんだけど。とにかく、うわ~、この二人嫌いってなりました。尻叩き100発では生ぬるい思いますがね。
おきよちゃんは、絶対的な自信でこの方だと。林遊眠さん(劇団ショウダウン)。ストーリーテラーのような役どころも兼ねています。この方の一人芝居を観た方なら分かりますよね。この点でも、この役が最高にはまっていることを。明るく元気な女の子。舞台の楽しい雰囲気を見事に創り上げられていました。
一緒に末吉とかいう人がいてますね。カワナベチカシさん。これはDVDではいなかった思うけど。この方、味があって面白いんですよね。お調子者みたいなところがあるけど、何か実直な一面も覗かせる。おきよちゃんとの絶妙なコンビで、話をスムーズに展開しています。
月からやって来た女の子。三原悠里さんと橘ゆいさん。
多分、本当に女の子で現役の中高生でしょうね。
<2013.06.15 訂正:橘さんは大学卒業したばかりらしいです。実は三原さんが高校生だということは知っていたので、上に中高生と書いたのは、本気で中学生だと思っていたのです。申し訳ありません。若く見えるということでご容赦を。モデルとしてもご活躍の女優さんみたいです>
これは・・・
目を剥きますね。見事なキャラ作りに。
最高という言葉はまだ書かないと上記しましたが、この点だけは最高だったと記しておきます。
私が観た限りでは、上記した役者さん、まずまずの年齢の方も多いと思いますが、完全にこの子たちに食われてしまっているのではないでしょうか。
本当に月からやって来た未来人じゃないかと思わすぐらいに、世間離れした天真爛漫な言動。
この作品は、色々と裏切りや恨みが交錯して、数々の悲哀が生まれます。それでも、そんなこと全てが、これからの人生、さらには、はるか未来に至るまで希望に通じているように思わせるところがあります。
この二人の純粋過ぎる姿が、数々の悲哀を希望に浄化させてしまっているように感じます。
三原さんは以前に、アトリエサンクスで拝見して、少女の心のもろさと強さの揺れ動きを等身大で演じた役で覚えている。その微妙な心の揺れが、抱きしめて守ってあげたくなるくらいにとても愛おしい姿でしたが、今回は引きますね。とても近づけません。
橘さんは、そのおふざけキャラで笑いをかなりかっさらわれていました。DVDでも登場して、けっこう面白くて笑ってしまうハンバーグマン。さらにバージョンアップして登場するとは思っていなかった。貫録の姿です。
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