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2013年6月28日 (金)

サイコロジカル・イリュージョン 五感の迷宮【アカツキサトシ】130627

2013年06月27日 カフェ+ギャラリー can tutku

メイド姿を拝みに行くというあまりにも不純な動機で伺った前回公演で、すっかり楽しみになってしまったドラマギと称されるdrama×magickの新しいエンターテイメント公演。
(前回の感想:
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/magick130323-58.html

これが本当に楽しいんだ。
わずか60分ぐらいなのだが、その間、どっぷりと独特なカフェの雰囲気の中でマジシャン、アカツキサトシさんの世界に入り込める。
何か、客もいつの間にか一体感が生まれて、みんなで一緒の時間を楽しんでいるという感覚がとても強くなる。
基本的に客いじりされるのが分かっている公演では、最前列には絶対座らないのだが、これだけは別。
ちょっと舞台にあげさせられて、不思議な体験を身を持ってしてみたいなんて思ってしまう。
私にとっては珍しい気持ちにさせられる不思議な魅力がある公演である。

次回は12月。
待ち遠しい・・・

<以下、種明かしなどは全く分からないのでしていませんが、どんなことが起こったのかをレポ調で書いてしまっています。重篤なネタバレになりますので、重々お気を付け下さい。公演終了まで白字にします。公演は土曜日まで>

受付でカフェ公演らしく、マドレーヌとティーバッグをもらう。
中におかしな形をしたパズルのピースも入っている。
まあ、何かあるんだろうなと。

  

まずは、スライドで何枚かの名画が円形に並んだものを見せられる。
3~12の好きな数字を選んで、左回りに進む。今度は逆に進んで、その絵を覚えておく。
これは、まあ、トリックを使って、みんなが同じを絵を選ぶ仕組みになっていることは分かる。

  

メイドさん登場。水木たねさん。
いつものごとく、毒っ気のある感じで、封筒に入っているアカツキサトシさんからのメッセージを読み上げる。
初めから来ることを予測していたかのように、最前列の紫色の服を着ている人を舞台にあげるように指示が。

  

・味覚

  

舞台にあげられた紫色の服を着ている人。
とりあえずは、水を一杯。
もちろん、無味無臭みたいだ。
テーブルの上には5枚のカード。
甘い、辛い、などの味覚のキーワードが書かれている。
1枚選んで、紫色の服を着ている人だけが見る。私たちは分からない。実はちょっと見えてしまったのだが、見えなかったことにする。酸っぱい。
そして、水をもう一杯。
すると、何と、あの水が選んだカードの味に。
・・・とはなりませんでした。
変わらず、無味無臭みたいです。
メイドが圧力をかけますが、やはり答えは同じ。
どうするんだとメイドに呼び出され、ようやく登場するアカツキさん。トイレにいたみたい。
今度はメイドが、その水を飲んで一言。酸っぱい。
んっ、何でだろう。思い込み?いや、メイドはこの時点でカードを知らないのでは。

  

・嗅覚

  

舞台に額縁が3つ。
新聞紙に覆われて中身は分からないが、どれか一つは5万円の絵である。
今回は、缶の中から突如現れた黒猫人形に見初められた人が舞台にあがる。
2人選ばれる。
アカツキさんが、黒猫人形を投げて、受け取ってしまった人が、不幸が訪れるかのように犠牲となる人だ。
三色の香水をかいで、お気に入りの色を選ぶ。
そして、その色に対応したカードを選ぶ。カードには数字が書いてあり、その数字が書かれた額縁をナイフで突き刺して引き裂く。
もし、5万円の絵を選んでしまっていたら、その絵は傷物に。もちろん、弁償だ。領収書もあるから、言い逃れが出来ない。
選ばれた二つの額縁。空の額縁だった。
人の嗅覚が絶対に選ばないであろう香りなんてものがあるのだろうか。
そして、残りの一つの絵はモナリザ。パズルの絵だ。
冒頭のスライドでみんなが覚えた絵になっている。
 

  

・聴覚

  

強烈なホッチキス。
引き金を引いて、針を打ち込むようなタイプで、ベニヤ板ぐらいは貫いちゃうようなやつ。コーナンで買ってきたらしい。
5つのうち一つだけ針を入れる。
ホッチキスをシャカシャカ振る。
微妙に針が入っている物は音が違う。
でも、本当に微妙。
選ばれた人は、ちょっとクラブとかで活躍してそうな音楽好きっぽい人。
ホッチキスがシャッフルされる。
ホッチキスを振って、先ほどの音の記憶を頼りに針の入っている物を選ぶ。
悩むことなくすぐに選ばれていた。
選ばなかった4つのホッチキスをアカツキさんやメイドの手や首に向けて打つ。
もし、間違っていたら・・・
マジシャンの商売道具である手、女優さんの美しい身体を傷物にすることになる。
今度は弁償じゃすまない。
もちろん、全て正解。選んだホッチキスには確かに針が入っていた。
私は区別が全くつかなかった。よかった。黒猫に選ばれていたら、今頃、傷害罪で警察行きだ。
しかし、どうして分かったのだろうか。
全く躊躇せず選ばれていたが、聴覚鋭い人を黒猫はきちんと選んだのか。

  

・視覚

  

アカツキさんの思い出話が始まる。
マジシャンとして、自分の力を過信するぐらいに勢いがあった頃。
ある家のパーティーに招かれ、得意のマジックを披露。
みんな楽しそうに盛り上がる。
でも、一人の少女だけは全く笑わず、無表情。
面白くないのだろうか。みんな、喜んでくれているから、自分のマジックが悪い訳ではないはず。
主人に聞いてみると、彼女は視覚障害者。
確かにマジックの基本は視覚で楽しむものがほとんど。
マジシャンのプライドをかけて、翌日、あるマジックを少女に披露する。
トランプを使って、選んだカードを言い当てるというごく普通のマジック。
視覚障害の少女役として一人が選ばれ、その時のことを再現する。
ただ、カードを選ばせても見えないからダメなので、想像させる。
でも、それだけだと客には分からない。口にしたら、マジシャンに聞こえてしまう。
だから、例えばハートなら2枚、スペードなら3枚とかマークに対応した数字を決めておき、その数だけカードを机の上に置いてもらう。もちろん、マジシャンは見ない。
次に数字に対応する分だけカードをまた、机の上に置く。
これで、客は少女が想像したカードを共有して認識することが出来る。
この状態で、カードをシャッフルして想像したカードを言い当てる。
どうなってるのか全く分からないが、見事に当てる。
そして、さらに、これは視覚を無視して、想像だけの世界のマジックだとばかりに、いつの間にかカードは全て白紙になってしまっている。

要はテレパシーですな。
そうじゃないと、こんなおかしなこと、理解できない。
それに、きっと力を使って頭がぼんやりしたのだろう。
次のマジックの段取りを忘れてしまったみたいで、ちょっとパニくっている。
メイドが気付け薬とばかりにきつい顔して、その段取りを誘導し、我を取り戻されていた。

  

・触覚

  

モナリザのピースがいつの間にか一枚無くなっている。
きっと隙を見て、メイドがどこかにやったのだ。
でも、初めから無かったとアカツキさんは言い張る。
いくらなんでも、そんな訳ない。
客のみんなも初めはあったと言っている。
それならばと、あの最初に受付でもらった袋に入っていたピースを集めることに。
この中にはまるピースがあれば、やはり最初から無かったということだ。
モナリザを2つ買って、もう一つのピースだけ袋に詰めているのではないだろうか。いや、そんなことはない。5万円もする代物を2つも買うほどお金を持っているようには悪いけど見えない。
全員の分を袋に集めて、さらに、トランクに入っていたピースも入れて、その中から手触りで選ぶ。
思い起こせば、もうこのカフェに入った時から、今回のテーマである五感の迷宮に入り込んでいたわけだ。
モナリザの完成と共に、私たちはこの迷宮から脱出できる。
選ばれた方はごく普通の女性。この方に全てを託して大丈夫なのだろうか。
チャンスは3回。
1回目は惜しい。でも、はまらない。触覚の限界か。
2回目は集中力切れたか、全然話にならないカードを。
で、3回目で見事に。
追い詰められたプレッシャーが触覚を最大限に引き起こしたか。それとも、第六感を発動したのか。
何はともあれ、私たちは、この迷宮から脱出して、カフェを後にする。

  

単なる手先の器用さで魅せるだけでなく、人の心理を鋭く突いた新感覚のマジック。
このアカツキさんに導かれる空間は、何とも不思議で楽しい世界でした。

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