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2013年6月16日 (日)

虹の架け橋大作戦【演劇ユニット月の虹】130615

2013年06月15日 インディペンデントシアター1st

前回、拝見した時の印象から、こんな暑苦しい日が続く時こそ、元気いっぱいのここはいいんじゃないかと思って観に伺う。
何となく、こうなるんではと思っていたが、逆に暑苦しくなったか。もちろん、心地よさを伴ってだが。

感想は前回とあまり変わらず。
(
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/120609-8713.html)
ドタバタの中で愛を描く。前回はドタバタが過ぎて、その愛の形の焦点がぼやけてしまっている印象を受けたが、今回は比較的スマートにすっきりとしているように感じる。
盛り込み過ぎなのか、少々くどくて疲れるのは、ここの劇団の持ち味なのだろう。
相変わらず、びっくりするくらい濃いなあ。
最後までその濃さが、全く薄まらないんだから凄いものだ。

やくざの組が経営する夜のラウンジ。
No.1の芽衣子の下に姪っ子の球恵がやって来る。
水商売には向いていない子だけど、まあ半年ぐらい務めさせたら、諦めて田舎に帰るだろうと。
芽衣子には男がいる。
もちろん、組で将来を期待されている男。夜の町に睨みをきかす。宵の明星なんて言われているみたい。
女癖は悪いみたいで、球恵にも手を出してしまう。

それから7年。
芽衣子の男は刑務所から出所。鉄砲玉を返り討ちにした組長の身代わりになっていたようだ。
これからは金バッチをつけた幹部となっていれば良かったのだが、残念なことに組は潰れた。組長も今では、病院ですっかりボケてしまった。当然、あのラウンジも無くなってしまった。
球恵は、店への借金を残して、どこかの男と逃亡したらしい。
迎えに来たのは、おじきとその手下。そして、芽衣子。
まだ、組長がしっかりしていた頃に渡されていた慰労金を男に渡す。
ただ、この金を使って、どこか大きな組織に身を寄せようと企んでいる様子。
うまいこと言ってその気にさせようとするが、男は行きたいところがあるから少し待って欲しいという。

男が向かった先は、ある離島。
ここに球恵がいるという情報を手にいれてやって来た。
芽衣子も一緒に。
と言っても、連れて来たのではない。知らぬうちに勝手についてきている。
だって、芽衣子は、死んでいるから。ムショ暮らしの間に、自宅の風呂場のガスが漏れる不慮の事故で死んでしまったらしい。
男には見えていない。
球恵に、男を奪われた恨みはある。男に未練は残っている。でも、それほどといったわけでは無い。でも、なぜか成仏できずにこうして幽霊のように彷徨っているのだ。

球恵は、ここで従姉妹夫婦の下に身を寄せ、逃げた男と結婚して、子供も一人もうけている。
しがないたこ焼き屋だが、球恵の提案したスジとコンニャクを種にしたたこ焼きは人気のメニューになっている。男が大好きだったスジコンというものだ。
夫は地元の漁協で真面目に暮らしている。望月満。その名前から、自分は満月。あなたをいつでも見ていて照らすみたいな言葉でプロポーズしたみたいだが。

男が島にやって来たことを知った球恵は怯える。
店への借金の取り立て、男と逃げた恨み。やはり見つかってしまった。でも、こんな日が来ることを望んでいた自分もいる。まだ、会いたいという気持ちがあったのだろうか。
夫は自分が話をつけると言って、男と一緒に港の喫茶店へ。

話し合う二人。いや、芽衣子も一緒にいる。
男は今さら、球恵をどうこうする気は無い。
少し、夫と話をして、自分はこの場を去るつもりだ。
のはずだったのだが、夫は霊感が強いみたいで、芽衣子のことが見えるみたい。
まさか死んだとは思っていなかった男は驚愕。
そして、夫を通じて、芽衣子と色々と話をする。
まだ、自分のことを慕ってくれていたのか。
島を出て、線香の一本でもあげなくては。
ただ、男はその前にあることを確かめたかったみたいだ。
それは子供。ムショ暮らしの中で、球恵に子供が出来たことを知った時、もしかしたら、自分の子供なのではないかという気持ちがどんどん膨らんできた。
でも、それも、もう調べる必要は無いだろう。
いい旦那と一緒に幸せに暮らしているのだ。
自分は球恵と会う必要もない。ただ、もう一度、遠くから球恵を覗いて、島を後にすると言って立ち去る。
夫も球恵や従妹夫婦が心配しているに違いないと、安心させるために急いで家に帰ることに。

残された芽衣子。
何となく気に食わない。
球恵ばっかり。自分のことは忘れていたのに。
そんなところに、男を追いかけてやって来たおじきと手下の姿。
逃げられてはかなわんと、尾行していたみたいだ。
幽霊の芽衣子は、彼らにちょっといたずらを仕掛ける。
姿が見えないのをいいことに、彼らに言葉を吹き込み、球恵の子供を誘拐させようとさせる。

家に戻ってきた夫。
もう大丈夫だと球恵を安心させる。
しかし、そこに一本の電話。
おじきと手下。
子供を誘拐した。返して欲しければ、この島に来た男が持っているお金を俺たちに渡すように仕向けろと。
それを影から聞いていた男は、姿を現す。
球恵との久しぶりの再会。
全ては自分が蒔いた種。
ここは自分に任せて欲しい。あの連中の目的は、自分が持っているお金。これを渡せば全てが解決する。必ず、子供は取り返すからと。

先ほど、話をして悪い人では無いことが分かっている夫は、男を信用する。
身代金の受け渡しの場所を確認し、そこに向かおうとした時、何と球恵の子供が普通に帰ってくる。
抜けたところのある、おじきと手下。
恐らく、球恵の子供の友達を間違って誘拐したに違いない。
それならば、警察に電話すればいい。自分たちとは関係ない話だから。
でも、球恵の子供は、自分の大切な友達を救って欲しいと男に懇願する。
この子は、もしかしたら自分の子供かもしれない。
だったら。
男は、球恵の子供と友達を救い出すと約束をし、身代金受け渡しの現場に向かう。

おじきと手下はせっぱ詰まっている。
昔は夜の町を闊歩していた男。
お金を受け取っただけで、すまされないのではないかと疑心暗鬼に。
そのため、お金を受けとっても、素直に人質を返そうとしない。
約束が違うと怒り出す男。
さらには、従妹夫婦たちが現れて、現場はめちゃくちゃに。
色々と大事になってしまったことにビビり、おじきはついに拳銃を手にする。
しかし、幽霊の芽衣子が姿が見えないことを活かし、その場を収拾する。

無事解決。
ありがとう、おばちゃん、いやお姉ちゃん。
球恵の子供がそう芽衣子に言う。
みんな見えないのに、球恵の子供には見えているみたいだ。
夫も見える。
血のつながりだろう。
自分の子供では無い。
はっきりとした男は、ムショ暮らしで自分を見詰める中、帰る場所、家族の存在への想いが大きくなったことを告白する。でも、ここにそれは無かった。
それを手に入れた球恵。球恵を照らす夫、そして子供。従妹夫婦たち。
祝福の気持ちを述べて、自分は夜の町でしか生きられないけど、また新たな人生を踏み出す決意をする。

芽衣子。もし、まだ近くにいるなら、しばらく一緒に自分に付きまとうかと言う男。
その言葉に喜ぶ芽衣子だったが、もうそれは無理な話となった。
自分が男と一緒に暮らしていた頃、店でNo.1になることばかり考えていて、男の寂しさに気付いてあげられなかった。男が帰る場所を作ってあげられなかった。
男の言葉を聞いて、そんな気持ちになった時、この世の未練が無くなってしまったみたいだ。
空から虹が一直線に降りてくる。
その虹を歩いて、向うの世界に行くことになっているみたいだ。
芽衣子は、最後に全ての人に見える姿となり、姪っ子の球恵、この島の人たち、そして、自分の愛した男に別れを告げて、空彼方に歩いていく。

ちょっとしんみりですね。
しんみりとはさせないように、最後の最後まで、濃いキャラを登場させ、切なさを覆い被せて隠してしまっているのですが、それでも、滲み出てくるものがあります。
あ~、芽衣子が死んでなければ、男がこれからの人生で照らす人になって、男の見詰めていたものもいつか手に入ったかもしれない。
でも、死んだからこそ、その男の気持ちがこうして伝わったわけだし。
人生はうまくいかない。
そんなうまくいかない中で、色々な出会いから、人を想ったり想われたりする経験をして。
妬みや恨みなどもたくさんはびこる世の中だけど、そこにある人の優しい想いってのは気付かないことが多いだけで、必ずどこかにあるのだなあなんてことを感じました。

男は血のつながりみたいなことを意識していたみたいですが、自分の子供はいわば赤の他人と一緒に作るわけですよね。
まず、そんな他人を愛し、愛される幸せを知らないと、単に血がつながっているだけでは子供を愛せないと思うんです。自分の寂しさや孤独感を紛れさせることは出来るのでしょうが。
だから、仮にこの作品で球恵の子供が男の子供だったとしても、それは男の偏愛になるだけで、きっと男がムショで自分を見詰めて思い描いた家族は作り上げられない。
つらいでしょうが、これで良かったのかな。
男は、漠然と気付いているでしょう。
7年も世間を離れていても、自分のことを何らかの形で待っている人たちがいたことを。
想われていた自分。これを知った時、今度は人を想える自分が現れ始めるように思います。
宵の明星と呼ばれた男。今度、出会った人には、自分のためではなく、その人を照らして輝かせられるようになっているでしょう。そして、男自身もそんな出会った人から照らされ、輝くことでしょう。
そんな明けの明星がきっと現れる。
話は、さすがは自分を満月と言って、あなたを照らすとプロポーズした、臭すぎる男。そんな夫の優しい言葉で締められています。

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