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2013年6月29日 (土)

ロッキュー!【劇団赤鬼 岡本拓朗プロデュース】130629

2013年06月29日 神戸電子専門学校 ソニックホール

以前に拝見した時はいつだったかななんて思って、ブログを見返して、ついでに感想も見直したら、ほとんどその時と変わらないですわ。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/jumpin-juck-toy.html
専門学校の生徒さんなのか、スタッフの方々の丁寧な対応、舞台に出演されている方の懸命さ、揃った名役者さんのさすがの魅力、プロデューサーの岡本拓朗さんから感じる純粋な熱さ。
もう2年前の記事ですが、その時感じたことが、そのまま今日も再現された感じです。

また、好きな話だったからなあ。
父の人生をたどる息子の姿なんて設定が。
ご自分方の想いを作品を通じてぶつけてきているようで、熱く、そして面白く、そして感動するといった作品でした。
よかった。素敵な話だった。

<以下、ネタバレ注意。公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

老舗の劇場、シアター・ライジング。
30年前の火災事故からも立て直し、何とかこれまで運営を続けてきた。
笹部修司という熱い男が演芸場を買い取って作られた劇場。
率いる劇団は、旗揚げ公演から着々と動員を伸ばし、一世風靡した時代もあった。
その火災事故で笹部修司は志半ばで亡くなる。
二人の男の子を育てながら、残された妻は、その劇場を何とか維持しようと必死に頑張った。
そんな苦労がたたったのか、数年前に亡くなる。長男の修一に劇場を守って欲しいという言葉を残して。

父である、修司は、芝居の鬼だった。一緒に遊んでもらった覚えもない。自分たち兄弟や母のことを顧みず、好きなことだけしてきた男。そんな悪いイメージがどうしてもぬぐえない。
それでも、修一も最初は、あまり興味も無い演劇の世界に足を突っ込み、母のためにと一生懸命頑張ってきた。
でも、動員は衰退する一方。劇団員もどんどん辞めて行く。
今、残っている中心メンバーは弟の健司、ロックバンドをしている男、ラジオDJをしている女。あとは、若手が数人だけ。
それと、掃除のおじさん。
運営費の借金は膨らむ一方でいかがわしい闇金にまで手を出してしまったから、もう普通に返せる額ではなくなっている。劇場も実は担保に入れてしまっている。
起死回生を狙って、次回公演にかけようと思ったが、それももはや無理か。
ロックバンドの男はレコードデビューのチャンスがあるみたいだし、ラジオDJの女にはテレビレポーターの仕事も入りそうらしい。見切りをつけて、そちらに専念するの人生かもしない。それに、ラジオDJの女をいつまでも待たせることもできまい。
もう解散だ。

弟の健司は、そんなやけになって逃げ出そうとする兄を見限り、自分たちで何とかしようと働きかけるが、何一つうまくいかない。脚本や演出は、全部、ずっと修一がやってきたのだから。
やっぱり、兄が必要なのだ。
そして、修一もまた、劇場に未練があるのか、知らぬ間に足を運んでいたりする。
劇場に住む天使に導かれるように。

そんな中、劇団員がある日記を発見する。
修司が火災事故の前からずっとつけていた日記。
これを脚本にすれば。あの小劇場の一時代を作った笹部修司の伝記として。
でも、日記だけを読んで脚本が出来るのか。細かなところまではとても分からない。
最適な人がいた。掃除のおじさん。
実はこの日記を密かに置いたのも彼だった。
彼は、修司とは劇団を作る前からの仲で、父のあらゆることを知っているまさに生き字引だったのだ。
これで、何とかなるかも。
まるで、天使が全てを段取りしてくれたかのように都合よく話が進んだ。
後は、自分が、そして、みんなで頑張るだけだ。

日記を読みながら、掃除のおじさんと共に父の人生を振り返る。
その言葉の裏にあるものまで読み取らないといけない。
同時にそれを芝居にしていく。
おじさんとの出会い、母との出会い。
劇団を始めるきっかけ。あの火災事故。日記に込められた父の想い。そして、修一や家族への想い。
長年の時を経て、ようやく父と心が通じ合った時、父が作り上げたこの劇場に住む天使の力によって、修一は父と再会し、あの頃、交わせなかった言葉を互いに伝え合う。

開演の時間が近づく。
あの頃の修司と同じように熱い気持ちを胸に秘めた表情をしているみんな。
きっと、うまくいくだろう。
もう、迷うことはない。
ロックバンドの男は大事な知らせが入るかもしれない携帯電話を切る。
そして、修一は小道具の指輪をラジオDJの女に渡す。

修司の最初は母と付き合いたい、いいところを見せたいというところから始まった、演劇への想いが、30年後の今にまで繋がれていく。
その熱き想いを受け取るのはもちろん、修一。母を通じて、共に時を過ごした親友である掃除のおじさんを通じて、そして、かつて父の下に多くの仲間が集ったように、修一の周りに今、集まっている同士を通じて。
そんな日が必ず来ることを信じて、この劇場でずっと修一をはじめ、みんなを見守ってきた妖精たちもいる。
修司の想いが、時を超えて多くの人たちの気持ちを揺さぶり、今、修一の手によって一つの絆で結ばれた。
そんな、温かくも勇気が奮い立つような気持ちにさせられる話だった。

役者さんは、やはり、修一役の土性正照さんの熱演が際立って光っていたかな。
一つ一つ父の想いを確かめるように、その想いを見詰め、胸にしまいこんでいく。そこから生まれる父を描いたストーリー。優しく、真剣に人を想い、演劇を想う強い心が感じられて、その姿に心震えた。
ラストの父である修司役の岡本拓朗さんとの会話は、圧倒的な惹きつけ方だった。
客席には背を向けた形になるが、その父につらかったと甘えたいような弱い心と、自分はあなた以上に熱き想いを演劇にぶつけるという強い心が同居し、人間味溢れる素晴らしい姿が見られる。

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