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2013年6月 9日 (日)

ライト家族【劇団ガバメンツ】130608

2013年06月08日 道頓堀 ZAZA HOUSE

私の29本目の観劇作品。
そして、上手い具合に、今回は1229本目の観劇。1200本振りの再会でした。
お恥ずかしいことに、しっかり内容を覚えておらず、どなたが出演されていたのかも分からず。ただ、ライト兄弟が二人兄弟じゃなかったことだけ知識として残っていたという具合。
ただ、観ているうちに記憶が甦ってきました。
そうそう、あんな犬がいて、連作の小説みたいに、エピソードがうまくつながったりして、うまく出来た作品だなあと感動したのでした。確か好きな作家の伊坂幸太郎みたいだなあとか思ったんだっけな。

今回は演出が全然違うと思うんですよね。
記憶が定かじゃないのですが、前はしっかりと机とか舞台セットが組まれていたような気がするのですが。
感覚的には前回拝見したREADING REと似た感じでしょうか。回想しながら、そのエピソードをつなげていき、一つの家族を浮かび上がらせていく。
そこには、あんな偉業を果たした兄弟のいる家族なのに、何か普通のありふれた家族。
かしこまってもいない、普通に愛し合ったり、妬みあったり、助けあったり。
そんな姿に、そうそう、これが家族なんだよなって思わせられる、特に何も無いけど、嬉しい気持ちになる作品。

<以下、ネタバレしますので、ご注意ください。大阪は日曜日まで。東京は21日から公演があります。日が長いため、白字にはしていませんので、重々、ご注意願います>

1903年、アメリカ。
ウィルバー・ライト、オービル・ライト。いわゆるライト兄弟は世界初の動力付き飛行機の人間を載せた飛行を成功させる。

物語はその歴史的な出来事の直前から始まる。
いい風を待って、自宅で長女キャサリンと過ごすライト兄弟。
ついにこの日がやって来た。成功は間違いないはず。
一躍有名になるであろうライト兄弟。
何が欲しい。
幼き頃からずっと一緒だった作り物のけったいな犬。本物が欲しいなあと、オービル。
何もいらない、初めての飛行成功の事実がありさえすればと、ウィルバー。
で、どちらが乗るの。
乗れるのは一人だけ。
世界初は一人。
口論になる二人をキャサリンがなだめる。
というか、どうしてお兄ちゃんたちはいつもそうなのかと怒り、終いには泣き散らす。
そして、二人はこれまでのことを遡って行く。

長男、ロイクリンは優しいけど、あんまり出来る人ではなかった。スポーツも勉強も。無理して野球とかしてたみたいだけど。
次男、ローリンは幼き頃から現実主義。勉強していい大学入って、いい会社に務めて、切ないくらいに金持ちになるつもりみたい。
ウィルバーとオービルは、昔から好奇心旺盛。
近所のエドとはみんな仲良し。
もっとも、人のいいエドはけっこういいように利用されたりしてたみたいだが。

長女が生まれた。
ローリンが猿みたいな顔なんて言ったら父親にぶん殴られる。
名前はどうしよう。
父親が提案する初めての女の名前やフサコとかいう変なこだわりのある名前はとりあえず却下。
ウィルバーとオービルが決めていいことに。
名前は大切なものだからつけるらしい。だから大好きな名前にすればいい。だったら、決まり。
キャサリン。大好きな母親の名前と同じ。

雪が積もったら、することと言えば、雪合戦。
エドと一緒にみんなで遊ぶ。
エドがソリを持ってきた。
乗せてもらおう。
でも、やって来たアイーダに割り込まれてしまう。
エドはアイーダに気心があるので仕方が無い。
家に帰って、ソリを母親にねだる。
欲しい物があれば、自分で設計して作りなさい。
そんな方針だ。
だって、母親は鉄鉱石から鍋を作るぐらいに徹底した人だから。
オービルはこの頃から能力を発揮する。
本当にソリを設計して、いとも簡単に作ってしまう。
乗りたがるキャサリンを連れて、外に出ようとしたら、父親に叱られる。
怪我したらどうするんだ。
だったら、自分がまず乗るとロイクリン。大丈夫だったら、次は僕がと続く兄弟。安全を完璧に確かめて、キャサリンが乗ればいい。
優しい子たちに育っている。父親も母親も子供たちを微笑ましく見守る。
そんな子たちに父親はプレゼント。
紙で作ったプロペラみたいな空飛ぶおもちゃ。
興味津々の子供たち。特にウィルバーとオービルは目を輝かす。
名付けてキャサリン一号。
ライト兄弟、いや家族の空への夢の第一歩。

ウィルバーとオービルはエドと一緒に印刷工場を営み始める。
もっとも、ウィルバーとオービルは新しい印刷機の開発にすっかり夢中で、営業はエドが頑張らないといけない。
でも、頑張る気になることが一つ。
一緒に勤め始めたアイーダがエドの恋人に。
エドにとっては、雪合戦をしていた頃からの夢がかなったといったところだ。
でも、男と女。色々ある。
ウィルバーは当時を回想しながら、誇らしげに語る。
アイーダが自分に迫って来た。当時、女を知らない自分はどうしていいか分からなかったが、印刷工場の片隅の部屋で。まずシャワーをアイーダに浴びさせて・・・
と、まあそれだけで、その後はアイーダが外に出てしまったので、何も無かったのだが、二人は実は精神的に結びついていた。
オービルがそれを聞いて、自分の回想も語る。
アイーダが外に出た。そして、きっと満足した顔で戻って来たはず。
その間、実は自分はモーテルでアイーダと・・・
何かエドが可哀そうだが、まあいいだろう。
今は、エドはアイーダと結婚して幸せに暮らしているのだから。

一方、ロイクリンとローリンは家を出て、地道に働いている。
ロイクリンは野球選手を歌手をと色々と志したみたいだが、今はしがないキャンディー工場で働いているようだ。
ローリンは幼き頃の堅実さのまま、いい会社に就職。
何をしているのか、放浪者のウィルバーとオービルを抱える実家のことを案じて、キャサリンに仕送りを毎月しているようだ。
各々婚約者が出来る。
家に戻って、母親に報告。
理由がある。
母親の病は重い。早く結婚して、安心させたかったみたいだ。
母親は自分の病状を知ってか知らずか、家を増築するつもりでいる。
昔と変わらず、設計図を作って、自分で基礎工事をする勢い。
二人が連れて来た婚約者はちょっと変わっている。
母親もちょっと心配で乗り気では無い。
でも、それでいいのかもしれない。
まあ、ロイクリンの婚約者は大工の娘で基礎工事ぐらいは出来ると言っているし、ローリンの婚約者は土木の勉強をしているので、設計図が書ける。
母親は残された時間で、設計図を書き換える。家族構成が自分の考えていたのと変わりそうだから。
数か月後、母親は亡くなる。

オービルが腸チフスになった。
もうやばいかもしれない。
なのに、なかなか休養しようとせず、印刷機の設計に夢中だ。
誰かがそれを伝えるべきだろうか。
家族会議が始まる。
こんな時に母親がいてくれれば。
ロイクリン夫婦は離婚が決まっているみたいで、もうそれどころではないみたい。妻はもうライト家と関わるつもりはない様子。
ウィルバーは相変わらず、自分も印刷機の設計に夢中で、オービルのことはあまり気にしてない。
そんな中、ローリンがある新聞記事を手渡す。
これを見せれば、少しは気が静まるだろう。
それはリリエンタールの飛行事故死の記事。
それを見たオービルは、愕然とする。
しかし、この失敗を解析すれば、もう失敗することなく空を飛べる日が来るとあくまで前向き。
逆に元気になってしまったくらい。
そして、この時から本格的な飛行機の開発が始まる。

・・・

実際は回想は時系列にはなっておらず、バラバラにエピソードが語られる。
一応、思い出せる限り、それをつなぎ合わせて、まとめて書いてみました。
役者さんは全員、舞台からはけることなく、後ろに座り、エピソードごとに各々が登場されます。
残りの人は何をしているかと言うと、スケッチブックに絵を書いています。情景描写から、町の人の顔、そして、エピソードのキーワードになるものなど。
なかなか不思議な演出でとても面白いです。

決して仲のいい兄弟では無い。
コンプレックス、妬みがプンプンとしている。でも、同時にどこかいつでも繋がっている感じがするのも確か。
男のプライドを掛けた意地の張り合いみたいな感じかもしれない。
それをかつては母親、今はキャサリンが唯一の女性として、調和させている。
回想を一通り終えても、ウィルバーとオービルは、どちらが飛行機に乗るか、まだ揉めている。
誰のおかげで空を飛べるのか。
それは、俺がこんな設計をしたから、こんな発想豊かなアイディアを出したから・・・
お兄ちゃんたちはまだ分かっていない。
そんなこと関係ない。
二人が空を飛べるのは、今、空を飛ばない家族がいたからではないのか。回想している中で、どちらが貢献したかを突き詰めるのではなく、そんな家族が自分たちの周囲にいつもいたことをどうして分からないのか。

最後、結局、コイン勝負でどちらが乗るかを決める。
勝ったのは表を選んだウィルバー。
でも、そのコインはどちらも表のものだった。
ウィルバーは言う。先に表裏を選択するのがオービルだったら、意味が無かったわけで決してイカサマではないと。
納得できないキャサリンではあるが、二人は初飛行へと向かう。
この描写が実は初演の時も分からなかったのを覚えています。
史実では、初飛行はオービル。ウィルバーはその前に確かに乗ったみたいですが、失敗に終わったみたいです。
ウィルバーが最後までこんなことをして、最初に乗ったのはどうしてなのかな。
初演時には分からないままで放ったらかしましたが、今回は自分なりに考えてみます。
ソリのエピソードなんかが関係しているのでしょうか。
ロイクリン、ローリンも、父親から初めてもらった紙のプロペラのようなおもちゃには、とても興味津々の表情を浮かべています。
きっと生活とか、家族を養うとか色々な要素が無ければ、自分たちも空飛ぶ二人の兄弟のようになっていたのかもしれません。でも、ロイクリンとローリンは、空を飛ぶことをあきらめた、そんな夢とは別の道を選択した。その想いは下の兄弟に強く託していたのかもしれません。だって、なんだかんだ言って、ずっと面倒見ていたみたいだし、ローリンがリリエンタールの記事を持っていたのも気にしていた証拠でしょう。
だとすれば、ウィルバーは順番から言って、失敗の危険のある初飛行を自分が行い、万全の態勢で最後の兄弟オービルに引き継ぐことこそが、ライト家族のこれまでの集大成だと考えたような気がします。
さらに言えば、ソリのエピソードのように、最後は本当に安全を確かめて、ただ楽しむことが出来ることを証明したソリをキャサリンに手渡そうとしたように、この飛行機もそうだったのではないでしょうか。
キャサリンが乗ったのかどうかは知りませんが、少なくとも私たちは、彼らの、そしてその後をさらに引き継いだライト兄弟たちのような技術者の手によって確実となった飛行機に乗ることが今、出来るわけです。
そんな原点が、ライト兄弟に、さらにそこを突き詰めて、そんな兄弟を生み出したライト家族にあることを伝えているように感じます。

広くおおらかに子供たちの好奇心を刺激したお父さん、何でも自分でやってみることをモットーとしながら優しく子供たちを愛したお母さん。
自分の能力にコンプレックスを持ったり、異常なくらいに堅物だけど、兄弟に目を常に向けていたお兄さん。
そして、最後まであきらめず、夢を信じて行動したライト兄弟。
彼らを支え、兄弟たちの心の拠り所だったであろう長女。
そんな家族の存在が、歴史的に大きな初飛行という一ページに隠されてることを紐解いてみたような作品なのかなと感じます。
そして、そんな家族の存在から生まれた発明、発見が、今の私たちの生活にまで関わっている。
時を超えて、ずっと紡がれている絆。
ミクロな視点で家族を感じさせますが、引いてマクロな視点で見ると、人類皆兄弟ではありませんが、自分の今の生が、家族はもちろん、これまでの歴史の中の一つの形として存在しているような尊い気持ちも生まれてくるようです。

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